「保元の乱」の本質とは「有能すぎる切れ者の派閥には小物ばかりが集まる」という身も蓋もない真理です | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

 さきほどの話 の続きです、夜の羽田空港から、「平清盛」の話をします。

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 一般ウケしない、数字は取れなくても、やはり「乱」そのものの派手な戦争を描く前に、派閥が形成されていく過程を丁寧に描いてくれるのは、たいへんいいことです。

 次週の予告編に出てましたが、為義(小日向)は、太閤忠実(国村)に命ぜられて、忠通(堀部)の屋敷に強引に押し入り、藤原摂関家の「氏長者」のシルシ「朱器盤台」なるもの(私もどんなもんか知りません)を強奪するんですね。そのはなしはここに。
 為義さん、これは軽率というか、ホントにただの「犬」です。ドラマの描かれ方はいささか極端に情けないですが、いちおう史実というヤツを調べてみても、ダメですねこのひと。息子(玉木)に愛想つかされて離反されるのも、仕方ないところだな、という気がしてしまいます。

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 保元の乱というのは、教科書的には「崇徳上皇方」と「後白河天皇方」の戦い、ということになってるけど、実情としては「左大臣頼長方」と「非頼長方」の戦争ですね。ほんとは関白忠通方、といいたいところだけど、堀部クンには悪いけど、小物だし。
 要は「豪腕・頼長」がリーダーとしてヒトを集めて朝廷を乗っとろうとする、すると、それがイヤな連中が反対側に集った、という感じです。
 しかし、頼長側には、失礼ながら、ロクな人材が集ってないんです。崇徳上皇といい、為義といい。
 これって、どういうことか。

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 たぶん、頼長は優秀すぎるんです。すると不思議なことに(というか当然というか)、頼長にシッポをを振っておんぶにだっこ、みたいな、ちっさい人間しか集ってこないんです。頼長とかろうじて対等にモノが言えそうなヤツは、罵倒されて気分いいわけないから、みんな反発して敵方に奔る。
 こないだの頼長(山本耕史)と忠盛(中井貴一)のやりとりを見てても、なんであんな言い方しちゃうんだろうなこのヒト、って思いますよね。あれじゃあ、敵ばっか作るよ、そりゃ。
 まあ、あれはドラマだけど、実際、あんなヤツだったんだろうな、というところを見事に描いてます。
 能力があっても人徳のない人物って、そんなもんなんだろうなと思います。教訓として貴重ですね、これは。