カリフォルニア州ロサンゼルス。
アリゾナから到着したグレイハウンド(長距離バス)から降り立った怪しげな女。
赤い旅行バッグを大切そうに抱えている。
年は24~5歳。アジア人。 ついでに妊娠6週目。何を隠そう、6年前のこの私だ。
お腹に痛みを感じたので、乗り継ぎのバスを遅らせてベンチで寝ることにした。 赤いバッグを枕に、コートに包まって横になる。 3月とはいえまだまだ寒い。 はたからみれば怪しいホームレスだ。
危険? 怪しい人物に危険は少ない。
危険なのは旅行者と可愛い女の子とひとりをビクビク怖がる連中のみ。
赤いバッグの中には開けてビックリ、用心棒もいる。
回復したので、乗り継ぎのバス亭へむかった。 まずい・・。
何と、黒人のいかめしい警察官が乗客の持ち物チェックをしているではないか。 やばい・・。 私は赤いかばんを抱きしめる。
私は観念した。 ただし、最後のあがきのつもりでちょっと細工を施す・・
警察官は赤いかばんをあけ、中身をごそごそかき回し、ぎょっと手を止める。 出そうとした中身を引っ込め、もういい、と私にかばんを突き返す。 ・・成功だ。
ロサンゼルスからオレゴンへ、そして目的地シアトルへ。 私は旅を続ける。 ひとり、ふたり・・いや三人だ。 私、お腹の子、そしてかばんの・・
シアトルに着いた私はかばんを開ける。 開けたとたん、ありったけの下着がドバッ・・。 仕方がないのだ。 警官の目をそらす為だ。
その一番下から頭を持ち上げた一匹。
ニシキヘビのアントワン君。
おとなしくしていてくれてありがとう。
2007年11月14日 mixiより
※お詫び
上記に誤りが一点あります。
警察官にかばんの中身を調べられたのはロサンゼルスで間違いないですが、ベンチで休息を取ったのはサンフランシスコ近くのナントカという停留所でした。
6年前の記憶を辿っての事、あやふやな分はどうぞお許しください。
