ふと、私が見たこの世の果てのお話をしたくなりました。


あれは、某日某国某場所。


その日、私と夫は飼い蛇のアントワン君を連れて、
サボテンの密生する山へとドライブへ出かけたのです。 
もう時は夕刻が迫っていました。 

それでもまだまだ真夏のうだるような暑さが続く夕べのひと時でした。

その場所に差し掛かった時、
私は自分にとっていつまでも、心に残る特別な風景を見たのです。

真っ赤な夕日を背景に、黒々と電柱のようにそびえる無数のサボテン。
それらが、大地の熱気に揺らめき、存在感を誇示しています。
直径20センチくらいの亀が、サボテン砂漠を横切って行く、
そのわずかな音だけが存在する静寂。

この世に果てがあるのなら、きっとここなのだと思ったのです。
私は、とうとうこの世の果てまで来てしまったのだと。
だから今、私と一緒にここにいるあなたと、これからもずっと生きていこう。





あの風景を、もう一度見に行きたい。
何としてももう一度。
何かが破綻した私たちの心を取り戻しに。


きっと、あそこに欲しいものがあるはず。

人それぞれ、その人の感じるこの世の果ての風景が、
何処かにあると信じています。 
私の場合は、あの時のあの風景でした。




※で、アントワン君はといいますと、暑い砂漠に大ハッスル。 
私の腕に巻き付いてぎゅうぎゅう締め付け、首を振って歓喜しておりました…。