英語には冠詞という種類の語があります。日本語には無い種類の語なので、日本人には少し難しいコンセプトかもしれませんが、少しコツを覚えると、結構ちゃんと使えるようになるものです。
冠詞とは名詞の前につく帽子のようなものです。かぶらなくちゃいけないときもあるし、無くてもいいときもあります。
英語の冠詞はa, an, theという3種類ありますが、いつどれを使えばいいのかわからないといった質問がよくあります。
基本的な考え方はこうです。
aまたはanは、話し手と聞き手が全く同じモノ(数えられる名詞)を頭にイメージできない場合に使います。反対に、theは話し手も聞き手も「ああ、あれのことね。」と、同じモノがイメージできる場合に使います。
例えば、友達に昨日あなたが公園に行った時に見かけた犬の話をするとしましょう。最初に、「昨日イーストサイド公園で犬を見かけたんだけどね。」と話を切り出す時に使う文章では、「犬」といっても「ある犬」という意味合いで、特定な犬ではなく、話し手がイメージしている犬を聞き手はまだイメージできませんよね。なので、この場合はa dog、つまり、
I saw a dog at Eastside Park yesterday.
.となります。次に「その犬がホント小さくてね。」と続けるとしましょう。この場合、文章に出てくる「犬」は、ある一匹の犬というどの犬でもいい設定から、「公園で見かけた犬」という特定された犬に設定が変わってくるので、2回目から話に登場してくる際はthe dogとなり、
The dog was really small.
.という英文になります。ちょうど、theの部分を日本語に直すと「その」「あの」といった部分に当たります。
ここまでをまとめると、話で初めて登場してきたときは、a / an、 2回目以降はtheを使うということです。
しかし例外もあります。太陽や、月を英語で言う場合はいつも、話に初めて登場する時でも、the sun, the moonといったようにtheを使いますが、その理由はわかりますか?それは、太陽も月もこの世に一つしかない特定されたものだからです。a sun やa moonと言ってしまっては、宇宙にいくつも太陽や月があることになってしまい、そのうちの一つの太陽、そのうちの一つの月、といった意味になってしまいます。なので、この世に1つしかなくて、「太陽」「月」と言えばあれしかないといった状況の場合は、話の中で初めて出てきた時でもいきなりtheを使います。
ほかにも、話に初めて登場してきた時でもいきなりtheが使える場合の例を挙げておきましょう。
「私の部屋から椅子持ってきてくれる?」という文で会話を始める場合、部屋に椅子が一つしかなければ「唯一の椅子」=「特定の椅子」=話し手も聞き手もどの椅子のことかわかっている(同じ椅子をイメージできる)ので、
Will you bring me the chair from my room?
という文でいきなり会話を始めても大丈夫です。
Can you bring me a chair from my room?
という風にa chairを使った文だと、部屋に複数の椅子があって、そのうちの一つならどれでもいいので持ってきて、といった意味合いになります。他にも、「首の後ろを痛めちゃった。」なんて時の「後ろ」も後ろという場所は特定の唯一の場所なので
I hurt the back of my neck.
とtheを使います。
または、話し手も聞き手も、現在または以前にその名詞(モノ)について見聞きして内容を共有しており、お互いに特定の何のモノについて話しているかわかっている場合、会話の切り出しでもいきなりtheを使う場合があります。例えば、次のシチュエーションです。友人と図書館に行きました。図書館に子供も数人いましたが、ある子供がとてもうるさかったとします。あなたも友人もその子供の様子を目撃しました。図書館を出た後にお互い顔を見合わせて、「かなりうるさい子供だったね。」と会話を始める場合、お互いにどの子供のことをさしているのかわかっているので、初めて会話に登場させる場合でも、
The child was pretty noisy.
とtheを使います。
ここまでは、数えられる名詞について述べましたが、数えられない名詞についても同じルールが当てはまります。つまり話し手のイメージする同じ名詞が上記の例のような状況で聞き手にもイメージされ、特定のモノである場合、theを使います。ただ、数えられない名詞なので、初めて会話に出す不特定の名詞の場合でもa / anは使わずに不特定の量をあらわす、「いくらかの量の」という意味合いのsomeをつけます。
例えば、「食後にコーヒーを飲んだんだけど、すっごく濃かった。」という場合、
I had some coffee after dinner, but the coffee was very strong.
となり、2回目に出てくるcoffeeはこの人が食後に飲んだ特定のコーヒーという設定になるのでthe coffeeとなるわけです。
ちなみに、冠詞は帽子のようなもので、いる時といらない時があるといいましたが、総称の意味で名詞を使う時は、冠詞は使いません。数えられない名詞はその名詞のみ(例:wine)、数えられる名詞の場合は複数形(例:dogs)にするというルールがあります。例えば「今日のスピーチのトピックは犬です。」という文章に出てくる「犬」は、特定の犬のことではなく、犬の総称のことですよね。なので、この場合はdogsというように、複数形にして使います。数えられない名詞の時も、「今日はワインについて話しましょう。」という風に、ワインが総称として使われている時は、
I'll talk about wine today.
と冠詞をつけません。
最後にまとめると、総称の場合はどんな名詞であっても冠詞は要らない、それ以外は、話し手と聞き手が同じ画像を頭にイメージできる状態かどうかで使う冠詞を決めるのが法則です。