インスピレーションと一流 | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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戦略コンサルでマネージャーを務める筆者が日々の出来事を独自の視座で書き綴る


マンガ“ONEPIECE”の最新刊である61巻は初版380万部と、初版数では日本記録だそうです。
発売から3日で実売200万部を超えたというニュースもありましたが、まさにバケモノマンガです。

ルフィとその仲間の絆やつながりを中心に海賊の冒険を描いたマンガですが、作者である尾田栄一郎氏は過去の任侠映画や黒澤映画にはすべて目を通しているといいます。

作者の尾田栄一郎氏がジブリの鈴木プロデューサーとインタビューを行った際に、「ONEPIECE7人の侍を意識している」、「一時代を築いたエンターテイメントに興味がある」とも語っています。

尾田氏は過去の偉大な作品からインスピレーションを得つつ、そこから新たな発想を生み出し、さらに新たな作品を作り上げているわけです。



戦略構築のお手伝いをしながらここ数年感じていることは、偉大な古典や他の分野からインスピレーションを得ることの重要性です。

例えばマイケル・ポーターやJ.B.バーニーの戦略論、フィリップ・コトラーのマーケティング論、デビット・アーカーのブランド論は15年以上前に書かれているにもかかわらず、その中には普遍的な本質があります。

また、他分野で言えば、ダーウィンの進化論から企業の組織のあり方を発想し、宗教からブランディングを学び、心理学からマーケティングの気づきを得ることがあります。

特にビジネスの発想をする上では、安易なビジネス書を読まずに、各分野の専門家の書を読むことで、そこにある本質に触れる
ことの大事さを痛感します

2011
年のパリ・コレクションで発表された2011年のDiorの春夏コレクションは、伝説のイラストレーターと言われているルネ・グリュオーからインスピレーションを得たとガリアーノは語っています。
他のオートクチュールブランドも、日本画家や陶芸家、過去の時代など、外部のインスピレーションを受けて毎年発想されます。

ある分野で一流を目指すには、同じ分野で他人がすでに達成した轍を踏んでもダメだとすれば、自分から新たな分野に発想の種を探す必要があるということだと思います。
そのためには各分野の一流に触れる必要があります。

そうしたことは芸術分野だけでなく、発想が差別化につながるビジネスにおいても同様ではないでしょうか。