成熟市場でのプロジェクト | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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戦略コンサルでマネージャーを務める筆者が日々の出来事を独自の視座で書き綴る


既存の成熟したビジネスをターンアラウンドしたいという要望を受けてプロジェクトが始まることがあるのですが、なかなか簡単なことではありません。

特に市場が縮小に向かっているビジネスであれば尚更です。

製紙業界や印刷、着物などのように新しい技術や代替品に乗り換えられてしまう業界や、オートバイやタバコ、ハードリカーのようにトレンドと規制の影響の両方を受ける業界、学習塾のように少子化の影響を受けるものなど、長期的な流れとして縮小が止まらないビジネスは多岐に渡ります。

また住宅業界も、一度建てられた建物が次の世代に相続されていくことを考えると、建て替えやリフォームなどを考えても、人口の減っていく中で市場の縮小は免れません。

こうした業界でいかに戦うかというプロジェクトをもらう場合、現在の市場を、現在のビジネス構造でいかに再拡大させるかと考えても答えがない場合がほとんどです。

また、そうした市場でいかにシェアを拡大するかを考えても、中長期的にはあまり意味がありません。多少のシェアの拡大による売上・利益増は、市場の縮小によってすぐに相殺されてしまうからです。

例えばオートバイ(2輪車)の国内市場は1982年から台数ベースで1/6になり、そのトレンドは今も変わりません。そうした市場でいかにシェアを高めても、限界があります。

プロジェクトにおいて海外展開という答えが許されれば、そちらへのリソースシフトを提案したいところですが、先日の記事にも書いたように「国内で」という条件を付けられることが多くあります。(先日の記事はこちら 。)

既存の市場構造の中でビジネスの再拡大するというテーマでプロジェクトを請け負うことは自殺行為ですので、そうした時には、変わりつつある市場構造を長期的に広く捉え、新たに出現する市場を既存の市場と紐付けて取り込むことでその事業の売上と利益を拡大するという形に目的を設定しなおして検討を開始します。

これについては明日書きたいと思います。

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