映画で人間の業を学び、仕事に活かせないか考える | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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戦略コンサルでマネージャーを務める筆者が日々の出来事を独自の視座で書き綴る


先週公開となった映画「悪人」を観てきました。

妻夫木聡と深津絵里のキャスティングで、深津絵里がモントリオール世界映画祭の最優秀女優賞をとったことでも話題となりました。もともとは吉田修一氏の長編小説である「悪人」が原作です。

外資系 戦略コンサルタントの着眼点-悪人

素晴らしい映画だとは思いますが、殺人犯との逃避行の中で徐々に追い詰められていく、閉塞感漂う映画です。いつも通り、深夜に一人で観に行ったのですが、どよーんとしながら戻ってきました。(ちなみに、いつもビールを持ってレイトショーに行くと書いた以前の記事はこちら 。)


映画の中には、明確にメッセージを伝えるものと、メッセージは受け取り手に委ねるものの2つがありますが、この映画は明確に後者です。

殺人や窃盗のように法の中で定義されたは、人間が業として持つの一部をルールを利用してあぶり出したものに過ぎず、多くの悪がそのルールに抵触しない中で渦巻いているという人間社会の姿を映画は描き出しています。

人間の業(カルマ)を象徴的にストーリーとして提示すると、この映画のような世界観になるのではないでしょうか。


観た後にどよーんとした一方で、こうした、純文学的な映画をもう少し積極的に観ていってもいいかなと思った面もあります。

実際の世界は、映画で描かれるような大小の善と悪がドロドロと入り交じりながら社会や組織を形作っているわけで、そうした複雑さを理解できずに人の心に働きかけることも、組織を動かしていくことはできません。

特にビジネスでの成功という目的関数を持った人の集まりであれば、なおさらです。

戦略コンサルに入った当時に、ビジネスのストーリー小説を読み漁り、いろいろな組織の現場の力学を学んだ記憶がありますが、ビジネス書だけでなく、こうした作品から、また違う視点で組織を動かす切り口を貰えるのではないでしょうか。

と、またプライベートで観に行った映画を仕事に繋げて考えてしまうのでした・・・