先日はMBAのマーケティングの限界について書きましたが、一方でこうしたマーケティングをしっかりできることは、モノやサービスを売っていく上で欠かせません。
(先日のMBAマーケティングの限界についての記事はこちら 。)
特にこうした分析マーケティングをしっかりおこなっている企業の代表は、東京ディズニーリゾート(TDR)を展開しているオリエンタルランドでしょう。
日本での事業開始時の1dayパスは3900円でしたが、その後5800円まで徐々に値上げしており、2000年代に入ってからも2回値上げをしています。
それにもかかわらず、2009年には過去2番目に多い入場者数となりました。
当然、東京ディズニーシーやホテルの開業、新たなアトラクションで魅力が高まったことも要因とはなっていますが、その背景には膨大なアンケート調査やインタビューによるデータ分析を通じたマーケティングが存在しています。
TDRは、来店した客に対してかなり大規模なアンケート調査を定期的に実施しています。
このアンケートを通じ、顧客の年齢と同行形態(誰と来ているか。友達同士や家族連れなど。)、リピートの回数を明らかにし、顧客のセグメントを10以上に分類して、価格の感応度や訴求できている打ち手を分析します。
つまり、どういった目的で来ている人はいくらぐらいまでお金を払っていいと考えているか?どのようなサービスを望んでいるのか?ということを科学的に分析し、価格の設定やリピート率の向上に向けた打ち手を検討しています。
こうして導きだされた適切な打ち手の設定によって、2000年と2006年に実施した値上げ時も、それにもかかわらず来場者数はそれぞれ前年比で4~5%増となりました。
TDRで働く知り合いは、TDRのリピート率向上に向けたデータの蓄積とその分析のノウハウはかなりのものがあると胸を張っていましたが、これまでの打ち手と成果を見るとその通りであるように感じます。
ちなみに彼は、一方でTDRはデータを離れたマーケティングが苦手だとも言っていましたが、2008年のシルク・ドゥ・ソレーユシアターの招致や、今年から始めたイースター(復活祭)イベントの導入を見ていると、そんなこともないように思えます。
(余談ですがTDRは日本でハロウィーンを広めましたが、イースターも広がるかもしれません。以前もこちらの記事 に書きました。そのときは、TDRの次は感謝祭でターキーが踊るのでは?と書きましたが見事に外れました。)
前回はデータ分析によるマーケティングの限界にフォーカスをして書きましたが、こうしたデータを分析したマーケティングも極めて重要であることを、TDRの成功は教えてくれています。