敵の言葉である英語はもちろんだが小学校時代は、子供向けの本すら売っていなかった。

 「岩波少年文庫」と書いてあったと思うが確かではない。薄い黄土色の布で表紙が覆われていたと思うのだがこれも曖昧な記憶。古い本が家にはあった。

 日本の童話風なものは鈴木三重吉、巌谷小波のおとぎ話、北原白秋の童謡も載っていた。翻訳物は「小公子」「巌窟王」「十五少年漂流記」を覚えている。確かに「少年」向きであった。

 社宅の狭い部屋の本棚にずらっと並んだ村岡花子の翻訳本。中学生のころから売り出された。 一番初めは「王子と乞食」だったかなア。「奴隷トム物語」「あしながおじさん」

「小公女」「秘密の花園」「赤毛のアン」シリーズ。

         

 もちろんちょっと背伸びして「ジャンヌ・クリストフ」「嵐が丘」「車輪の下」以来ヘッセにもひかれた。「風と共に去りぬ」も必死で読んだ。

 高校になるとだんだん日本文学に惹かれるようになり、特に岡本かの子の作品もたくさん買い込んだっけ。

 

  それが熟睡できない中で夢となって絡みあう。「べにはこべ」のパーシー卿が嵐が丘のローレンス・オリビエになっていたり、腰が痛いからそんな夢を見たのかコルセットでウエスト絞めつけられている横にクラーク・ゲーブルが。ヴィヴィアン・リーが私の顔してたらクラーク・ゲーブルは卒倒するわ。

 このところ私は夢の中で、もう絶望的な混沌の世界をさまよっている。