均
真っ白い紙に
たっぷり墨を含ませた筆で
力いっぱい書いた「一」の字
このたくましい線は均
今のまんま まっすぐ伸びるんだ
奥様と娘さんの連名で届いた喪中はがきは均が六十六歳で永眠したことを告げていた。
人生は必ずしもまっすぐ伸びはしなかったけれどそれは均のやさしさのせいだとわかっている。それでももう一度出直して安定した生活を送っていた均。何時も折り目正しい年賀状を送ってきてくれていた。
太加男
太加男は風
ハンモックをゆすり
赤い風船を空にさらってゆくいたずら者
時の流れに身をまかせ
鼻歌交じりに知恵の木の実を運んでくる
チャッカリ屋のそよ風
彼は40歳で肺がんで3人の子供を残して亡くなった。
前に書いたエピソード
均は英語苦手な子に「私の兄は手紙を持っています。」を英語で「マイブラジャーハズレタ!」と教えてた。給食の配膳待っているときだった。傍にいる私の顔見ながらすまして。私は顔だけで「コラ!」均はニヤリ。
太加男は、市のし尿処理所の所長さんの息子だったトイレ掃除で個室の桟が壊れて出られなくなったら「父さんに電話して汲みだしてもらいましょう。」と中からいっていたっけ。
こんな二人のリーダーのクラスだもの底抜けに明るくって楽しかった。52年前なんだなあもう。
新婚の太加男が均の結婚式に車で来た帰り私を新居に連れて行ってくれたっけ。
陸上と剣道で鍛えた健康な少年だったのに。
いつもお野菜を送ってくれる同級生に電話した。彼は均と同じ地区、でも均はずっと東京で暮らしていたから知らなかったってショックを受けていた。
なんだか寂しい日だ。
気を取り直してお弁当。
今日のメインは黒くて見えないけれど、お兄ちゃんの大好きな秋刀魚の生姜煮。


