夫が僕のところにあったと持ってきた古いアルバム。農村の2回目の卒業生。なぜかちびっこの男の子が多くて、やたらと子供っぽいクラスだった。
健二
ジャガイモの皮をむいたら
健二が転がり出たよ
嘘つきカワウソのことばも
信じてついていくおひとよし
素直さだけをお陽様に差し出す子
でも反対に女の子はしっかりした子が多かった。
礼子
礼子はいつも
着実な大地にポジションを置く
そして夢の中だけで空をとぶ
小説もドラマも
礼子の脳みそはたべられない
俊夫
曲馬団の親方に追いかけられているうちに
彫刻刀で削られた細い脚がはやくなったのさ
人間になったピノッキオは
神様から善良さをいただいた俊夫
三枝子
土に落ちた種から生まれた三枝子
三枝子ももうじきはじけてとぶよ
あらい木綿の前掛けで
十人も丈夫な子を産むよ
古い陸軍の馬小屋の建材で戦後すぐ建てられたという校舎は。重い机を運んだりしていると床が抜け、相棒が急にめり込んだり、大切なものが隙間や節穴から落っこちたり。
でも素朴な人情に包まれて幸せな十年間を過ごさせてもらった。最初の卒業生、高校進学率50パーセント、この人たちが70パーセント最後は90パーセント。3年ごとに社会も変わったけれど、私にとっては忘れられない思い出の場所である。


