青い空
あのころの空もこんなにきれいだったのだろうか。
東京大空襲の夜、対岸の品川辺りは一晩中燃え続けていた。防空壕の入り口からパラパラと落ちる焼夷弾が見えた。
あの時私たちは選ばれて生き残ったのだろうか。
ふとそんなことを考えていた。
お兄ちゃんが自転車を取り出してピアノに行くという。隣町まで急な坂を上り、滑り下りして出かけて行く。「暑いけど楽しいよ。」
ふと気づいて畑を見ると一坪菜園のトマトがもう実をつけている。
まだ公園でパラパラと子供たちが遊ぶ。
それでもある時の武漢やニューヨークは戦時中の日本と同じように見えた。コロナもまた箱舟に乗るべきものを選別する神の与えた試練なのだろうかと思ったものだ。
なかなか帰ってこないお兄ちゃんを案じて夫が電話かけたらという。大丈夫。あなたたちは少なくとも箱舟に選ばれて乗って頂戴ね。信じているよ。
気づくときれいな夕日が向こうの屋根に沈んでいく。


