梨木香歩『西の魔女が死んだ』は、不登校の少女と祖母の交流を通じて「生きる力」や「家族愛」を描いた作品で、世代を超えたつながりや、自然の中での暮らしの知恵が印象的です。
読書感想文
『西の魔女が死んだ』を読んで
梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』を読んで、心が静かに温かくなるような感覚を覚えた。物語は、不登校になった少女まいと、イギリス人の祖母とのひと夏の生活を描いている。派手な出来事は少ないが、自然に囲まれた暮らしや祖母の言葉の一つひとつが深く胸に残った。
学校に行けなくなり、心が疲れていたまいは、田舎に住む祖母のもとで過ごすことになる。祖母は優しく、そして凛とした人で、まいに「魔女の修行」を教える。といっても、ほうきを飛ばすような魔法ではなく、早寝早起きや食事の支度、畑仕事など、日々の生活を整えることだ。最初は単純に思えることも、実際には心と体を支える大切な基盤であることが次第にわかってくる。その過程を読むうちに、私も「生きる力」とは特別な才能ではなく、生活を一つずつ大切にすることから生まれるのだと気づかされた。
特に印象に残ったのは、祖母が「自分で決めることの大切さ」を語る場面だ。まいは不登校であることに罪悪感を抱き、どうしたらよいかわからなくなる。しかし祖母は、「自分が選んだことなら大丈夫」と教える。その言葉は、周りの期待や常識に縛られがちな私たちにとって、とても勇気を与えてくれる。自分の意志で選ぶことが、生きる力の第一歩なのだと思った。
また、祖母との生活を通じて描かれる「家族愛」にも心を打たれた。祖母はまいに対して過干渉することなく、しかし確かに寄り添い、信じてくれる。愛情とは、ただ優しくすることだけではなく、相手の自由を尊重し、信じて見守ることでもあるのだ。私はこの関係を読んで、自分の家族についても考えた。時には意見がぶつかることもあるが、家族の存在が自分を支えていることは確かだ。だからこそ、素直に「ありがとう」と伝えることを忘れたくないと思った。
この作品は、死をも静かに受け入れる姿勢も描いている。タイトルにある「西の魔女が死んだ」は、祖母の最期を表している。しかしその死は悲劇ではなく、自然の一部として穏やかに描かれる。まいにとって祖母はもういないが、その教えや思いは心に生き続ける。読んでいて、死を「終わり」ではなく「つながりの形を変えるもの」として受け止める視点に救われる気がした。
現代社会では、効率や結果ばかりが重視され、心が置き去りにされがちだ。けれど、この物語は「ゆっくり生きることの意味」を改めて教えてくれる。スマートフォンやSNSで常に忙しい日常を送る私たちだからこそ、まいと祖母のように自然の中で静かに過ごす時間が必要なのかもしれない。
『西の魔女が死んだ』は、派手さはなくても、心の奥に静かにしみ込む力を持った本だった。生きる力は日常の中にあり、家族の愛は形を変えても続いていく。この物語から学んだことを胸に、私も自分の生活を大切にし、家族との時間をより大事にしていきたい。
要点まとめ
- 選んだ本:梨木香歩『西の魔女が死んだ』
- 感想の柱:
- 「魔女の修行」=生活を整えることが生きる力につながると実感
- 「自分で決める大切さ」という祖母の言葉に勇気をもらった
- 家族愛とは相手を信じて見守ることだと気づいた
- 死を自然に受け止める視点が心を救った
- 忙しい社会の中で「ゆっくり生きること」の意味を学んだ
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