漫葉集。 -89ページ目

ひと夏の試練 (墓場編)

(はじめに「ひと夏の試練 (プロローグ編)」 をお読みくださいませ)






計5人の人間にしがみつかれながら暗闇をひたすら進んでいくと、いきなり開けた場所に出ました。


暗闇に浮かび上がる長方形の石、
何やら文字が書き付けられた奇怪な形の木板…



「あ、墓場やな…」



不吉な単語に反応してか、計10本の腕が一層強い力であたしの身体をギュウと掴みます。

あ、この文だけでももう立派なホラーや。



…ああもう、しゃあないなあ。もうこうなったら、皆あたしにしっかりつかまっとくんやで。

…え?誰や、足なんか掴んどる奴は?もう、こんなときに妙なイタズラはやめ






「うッぎゃあああああ●×☆∵#С@%!!!!」






あたしの右足首を掴んだ11本目の腕は…
傍らに転がる棺桶から忽然と現れた女、
…正確には、かつては女だったであろうおぞましい死体のものだったのです。







どうやら、この一撃であたしの脳内ヒューズは脆くも弾け飛んだようです。
それまでの冷静なあたしはどこへやら、
奇声を発しながら掴まれた方の足をやみくもに振り回し、
おぞましい亡者の、……否、おぞましい亡者という設定下にある生きた人間の手を、


火事場の馬鹿力をこめて、


ローファーで蹴っ飛ばしました。





「っ何すんねん離せやゴルァァァ!!!」






…ふと我に返ると、さっきまであたしにしがみついていたはずの友人+知らない人4人が、お化けより恐いものを見るような目つきで遠巻きにこちらを見ていました。

…嗚呼嗚呼、身を挺して皆を危険から護ったのに。

それが今じゃ、あたしが危険物扱いかいな。


―こんばんは、「鉄線花」改め「有刺鉄線」です。(しかもサビたの)








…あら。

のんきに冗談こいてる間に、またヤバイ予感がちょっぴりしてきましたよ皆さん!




「これ、……どっち行ったらええんや?」



そう…あたしのたったひとつの欠点が「方向音痴」なのです。

「たったひとつの欠点」がいくつあるのかという質問は受け付けられません、あしからず。

そ、それは置いといて…

さあ、方向音痴変人女子高生率いる成り行き運命共同体集団は、

果たして無事に現世へ戻ることができるのでしょうか!?





「ひと夏の試練 (墓場編)」 ―終―



明日もお楽しみにねッ!

(「夏休み子供アニメ大会」エンディング風)





この場をお借りして…


あの時のお化け役の方、ほんまに申し訳ありませんでした。さぞかし痛かったことでしょう。

お詫びといっちゃあナンですが、(死後○日という設定だったにも関わらず)貴女の爪に妙にツヤがあったこととかは黙っておくことにします。

ひと夏の試練 (プロローグ編)

皆さま、こんばんは。
だんだんと夏に近づいてきましたが、暑さで体調を崩したりあせもで体がカイカイになったりしてませんか?

さて、これからの季節の楽しみといえば、やっぱり太陽の下でのレジャー…


「ちょっと待てや、最近ずっと夏ネタばっかやんか」
「えーかげん飽きてきたわ」
「そもそも飽きるほど読んどらんわい、自惚れんなや阿呆!」

…。
……。
…まあ良いです。続けます。

さて、これからの季節の楽しみといえば、やっぱり太陽の下でのレジャー!
「灼熱の砂浜に、眩しすぎるあの娘の笑顔と水着姿…」
「川のせせらぎと優しい木陰が運んだ、ひとときの癒し…」



…そういうものから最も遠い処にあるアングラワールド、すなわち「お化け屋敷」のお話です。


…。
……。
もうこうなったら、意地でも続けちゃる!


高校生のとき、女友達と2人で東映太秦映画村の期間限定お化け屋敷に行ってみました。
そこでは実際にお化けの扮装をした人が脅かしていて、「かなりコワイんやでぇ…」という評判でした。


早速、入場券を買って入口に並びます。
係員さんが入口の障子を開けると、1回につき大体5~6人ずつ入って行きます。


友人「「こ、怖そう…何かあったら助けてな、鉄線ちゃん」

…などと言いつつ、まだ入ってもいないのにあたしの腕ににしがみつきます。


鉄線「アハハ、大丈夫やって」

「助けて」って…あたしゃ、お巡りさんでもスーパーマンでも、ましてや君の彼氏でもないんやでぇ?
それに、炎天下でしがみつかれると暑い。


…で、いよいよ順番がきました。
係員さん「行ってらっしゃいませぇぇ(ニヤリ…)」

背後で、障子が非情な音をたてて閉まります。
あたし達2人の他に、後ろに並んでいた大学生くらいのカップルと、中学生くらいの体育会系っぽい少年2人組が暗闇に取り残されました。


知らない人達「あ、あのう、すいません…い、い、一緒に行ってもいいですか?」

ここで断ったらそれこそ末代まで祟られかねないので、…否、断る必要もないので、一緒に行くことにしました。

知らない人達「あ、ありがとうございますぅぅ~!じゃあ、はぐれないように皆で固まって行きましょう」

怖さのためか、皆必要以上にくっつき合います。

猿ダンゴならぬ、人ダンゴの出来上がり。
ただこの人ダンゴ、どうしようもなく汗臭い…けど、しゃあない、ほな行くで…。



―ん?


―あれ?…なんかおかしいで?


ちょ、オイ!

何で、5人ともあたしにしがみついとんのや!?


まあ友人はしゃあないとして、
…中坊ども!どう見てもあんたらの方があたしより腕力あるやろ!
…カップルの男の方!初対面の女子高生の腕掴んどるヒマがあったら、彼女にエエとこ見せたらんかい!(※)

……と心の中で叫ぶだけにとどめ、結局5人を引きずるような形であたしは闇の中に足を踏み出したのです。






―続きはウェブで!

―うん。そもそも「ブログ」は「ウェブログ」の略やしな。確かに、間違ってへんのやけど。
うん、まあ、要するに、次回に続きます。




※見苦しい言い訳コーナー

わたくし、「絶対に男が女を守らなあかん!」という思想の持ち主ではありませんが、なにぶん当時はただの世間知らず女子高生でございましたので、ここんとこは堪忍してやって下さい。

君の名は

なんですかこの楽しいネーミングは?(笑)