ひと夏の試練 (墓場編)
(はじめに「ひと夏の試練 (プロローグ編)」 をお読みくださいませ)
計5人の人間にしがみつかれながら暗闇をひたすら進んでいくと、いきなり開けた場所に出ました。
暗闇に浮かび上がる長方形の石、
何やら文字が書き付けられた奇怪な形の木板…
「あ、墓場やな…」
不吉な単語に反応してか、計10本の腕が一層強い力であたしの身体をギュウと掴みます。
あ、この文だけでももう立派なホラーや。
…ああもう、しゃあないなあ。もうこうなったら、皆あたしにしっかりつかまっとくんやで。
…え?誰や、足なんか掴んどる奴は?もう、こんなときに妙なイタズラはやめ
「うッぎゃあああああ●×☆∵#С@%!!!!」
あたしの右足首を掴んだ11本目の腕は…
傍らに転がる棺桶から忽然と現れた女、
…正確には、かつては女だったであろうおぞましい死体のものだったのです。
どうやら、この一撃であたしの脳内ヒューズは脆くも弾け飛んだようです。
それまでの冷静なあたしはどこへやら、
奇声を発しながら掴まれた方の足をやみくもに振り回し、
おぞましい亡者の、……否、おぞましい亡者という設定下にある生きた人間の手を、
火事場の馬鹿力をこめて、
ローファーで蹴っ飛ばしました。
「っ何すんねん離せやゴルァァァ!!!」
…ふと我に返ると、さっきまであたしにしがみついていたはずの友人+知らない人4人が、お化けより恐いものを見るような目つきで遠巻きにこちらを見ていました。
…嗚呼嗚呼、身を挺して皆を危険から護ったのに。
それが今じゃ、あたしが危険物扱いかいな。
―こんばんは、「鉄線花」改め「有刺鉄線」です。(しかもサビたの)
…あら。
のんきに冗談こいてる間に、またヤバイ予感がちょっぴりしてきましたよ皆さん!
「これ、……どっち行ったらええんや?」
そう…あたしのたったひとつの欠点が「方向音痴」なのです。
「たったひとつの欠点」がいくつあるのかという質問は受け付けられません、あしからず。
そ、それは置いといて…
さあ、方向音痴変人女子高生率いる成り行き運命共同体集団は、
果たして無事に現世へ戻ることができるのでしょうか!?
「ひと夏の試練 (墓場編)」 ―終―
明日もお楽しみにねッ!
(「夏休み子供アニメ大会」エンディング風)
この場をお借りして…
あの時のお化け役の方、ほんまに申し訳ありませんでした。さぞかし痛かったことでしょう。
お詫びといっちゃあナンですが、(死後○日という設定だったにも関わらず)貴女の爪に妙にツヤがあったこととかは黙っておくことにします。