久しぶりの先生のご出演に天夢は開始前には満員、三階のスクリーン会場も満員になる程の大盛況でした。

2月中旬に緊急入院した社主である田村。3月に入って、入院が長引くかもしれないという状況下で、田村の経過をお話いただくこともあり、先生にはピンチヒッターをお願いしていました。当初の予定では、テーマは1月に出版された渾身の一冊『時代のカナリア』について。幼い頃の戦争末期を体験した人として、また男性社会の時代をひたむきに生きてきた働く女性として、女性本来の本能、役目を自身の体験を通して率直な思いでまとめ上げた大推薦の著書です。

そんな予定でしたが…、内容は一転して、先生が人生のパートナーとして、戦友として生きる上で支え合ってきた田村を追悼し、二人の出会いから入院中の様子まで熱く語っていただきました。

 

エルヴィス・プレスリーが縁で結ばれた二人。出会いから結婚に至るまでやエイトスター・ダイヤモンド誕生など簡単に話され、メインは、入院して亡くなるまでの田村の様子を中心に話してくださいました。(田村著『地球はダイヤモンド』に記述)

 

先生は田村と離婚後は元の旦那を“元旦ちゃん’と呼んでいました。

「おめでたい人だったからです」と先生は笑いながらおっしゃいます。

「好いた、惚れた、恨みも辛みもなくなって、ここ15年間はとても仲が良く、親友のような間柄でした」。二人の間にお孫さんが生まれて、クリスマスや正月などご自宅を行き来するにつれて交流が深まっていったそうです。

 

田村は120歳まで生きると言って盛大にパーティーまで開いたのですが、2月18日に緊急入院。コロナ感染でした。幼少期から長年続いていた持病の喘息が影響していたのか肺炎がかなりの状況で進行していました。呼吸する力も弱く、一時はICUにも入りました。高齢者がコロナにかかると、疾患持ちはかなり支障がでてくるという知識は多くの人がお持ちでしょうが、田村の状態を目の当たりにすると、本当に危険だと実感です。3月3日には一般病棟に戻れましたがその4日後、田村は意識不明となり、4月14日の朝7時44分に亡くなります。享年81歳。首の後ろに起きた大きな脳梗塞が原因でした。

「…いまこうして黒い額縁に入っていて、私はそれを額縁ごと抱きしめて…気がついてみたら私あなたを好きだったのね、愛していたのね」という内容の歌を先生が作詞されました。作詞家になって、泣きながら書いた詩は初めてだそうです。

 

最後に先生は

「たった一度の人生、しっかり生きること。田村さんはしっかり生きたと思います。田村さんの意思として、何がこれからどのくらい出来るか分からないけど、田村さんが出来なかったことをやっていきたいなと…見果てぬ夢ですね」

エルヴィスが歌う、ミュージカル『ラ・マンチャの男』の主題歌『見果てぬ夢』を聞きながら閉会いたしました。

湯川先生、お客様、ありがとうございました。

次週5月20日は中森じゅあん先生をお迎えいたします。

 

『時代のカナリア』   湯川れい子(著)集英社 1,760円(税込)

『地球はダイヤモンド』 田村駿禮 (著)地湧社 1,200円(税込)