今の会社を作って6ヶ月程たった昭和64年の1月に昭和天皇が御崩御なされた。

その数日後、当時の都議会議員の秘書から相談を受けた。

内容は『八王子警察の幹部に会ってくれないか?』というものであった。

私は了解をし八王子警察に出向いた。

私を待っていたのは副署長であった。

『私に何をしろというのですか?』という質問に対しての答えは下記のような内容だった。

『昭和天皇が御崩御され約1ヶ月後に大喪の礼が行われることになっているが八王子には御陵があり当日は世界中の国家の王室や元首が御陵にいらっしゃるために世界中のマスコミが昭和天皇及び御陵の取材ために八王子にホテルをとってあり、あと何日かで大挙して来ることになっている。

当日まで宿泊の予定なのだか゛そんな時に暴走族が何百台、例え数十台であっても走ってしまったら世界中に八王子の恥、いや日本の恥を知らしめてしまう。

だからなんとか力を貸してくれないか。』というものだった。

八王子警察のNo.2がつい何年か前までは警察にとって目の敵であった私に対して頭を下げる姿を見て心が動かされた。

私はそこで少し考えてからこう答えた。

『この話は聞かなかったことにしてください。だけれども私は私の考えで勝手に動きますから。』

私はその時こう考えていた。

『確かに副署長がいっていることは解るし、昭和天皇の喪に服す気持ちも強くある。

だけれども警察の要請で走らせる事やめさせたら八王子中の後輩達からこの間まで先頭切って警察と戦っていたのにもう警察の犬になったかのように思われるのも癪であったのもあったし、何よりも警察からの要請によって動いた私の頼みに対して八王子中の後輩達が走る事やめてくれたとして大喪の礼以降に約束を守ったのだから一度警察公認の集会を開くことを頼んでくださいとか言われたり、警察に捕まりそうな奴を見逃してくれだとか言われても副署長だって立場上了解出来る訳ない。

だから警察に頼まれた事はなかったことにしたほうが皆の立場が守る事が出来る。』

つづく