
2010年現在、オレはまもなく40になる。
十数年前、あれほど周囲にいたミュージシャン仲間のほとんどは足を洗ってしまった。自宅で日々楽器を手にしたり、イベント的に弾ける仲間がたまに集まってスタジオでジャムることはあるのかもしれないが、定期的にスタジオに入ったりライブをするようなバンドを同年代で続けている者は数人ってところだ。
どこの常識なのだろう? 30歳になるまで売れるかどうかが見切りをつけるポイントなのだそうだ。就職、結婚、世間体、様々な大人の事情により、皆あっさりと音楽を捨ててしまった。今も付き合いのある奴もいるからあまり大きな声で否定は出来ないが、なにもやめることはないと思う。会社員になったらメジャーアーティストを目指してはいけないのか? 定期的にライブをやったら結婚生活に支障をきたすのか? 当時「ケジメ」という言葉をよく耳にしたが、オレには上手いこと理由をつけて逃げているようにしか見えなかった。
自分ではめた足かせを自分で外すのは自由なのだから、理由や言い訳なんていらない。
エイトマイルロードはオレが30のときに結成したバンドだ。当時からメンバーは4人とも週5日以上出勤の職に就いている。
かつて20代の頃そうしたように極力バイトを減らし、週3回4回とスタジオに入り、共同生活をしながら事務所やレーベルに売り込みをかけているミュージシャンの方々は甘く見るなとおっしゃるかもしれない。
がしかし、オレは昔からこう考えている。
物事を成し遂げるにあたってのペースやスタイルは自分で決める権利がある。
二兎を追ってなにが悪い? 目標があるからといって日常生活において節制しなければいけない理由なんてない。それで本当に音楽で飯を食う気があるのか?と意義を唱える方もいるだろう。だが、オレは胸を張って言える、「もちろんそのつもりだ」と。そしてこうも付け加える。
売れたいには売れたいが、それ以上に飢えたくない。 メンバー4人で呑んでいてこんな話が出たことがある。
「仮にどこかの物好きな事務所がオレらについて、仕事を辞めろと言われたらどうする?」と。
メンバーには妻子持ちだっている。そう簡単に無収入になるわけにはいかない。オレに限っては絶対に即辞めるねと豪語するが、さて実際そうなったときはどうだろう、自分の言葉を守る自信はない。
いずれにしても最終的にはこういう結論に至る。
「そうなったらそうなったで、そのときに考えよう」と。
そして手をあげ、店員を呼んで中生のおかわりを4つ注文するのだ。このバンドが長く続いてるのは、あまり物事を深く考えていない人間が集まっているからなのかもしれない。