この本に出会ったのは、ブリスとの共同訓練中のことでした。
訓練士の講義の中でこの本が話題になり、気になってサピエ図書館でダウンロードしました。
本書では、当時の時代を背景に日本最初の盲導犬にまつわる3つのエピソードが紹介されています。
⭐︎1938年3月、横浜港に到着したアメリカハーバード大学生ゴルドン君と彼の盲導犬オルティ。彼らは世界一周の旅の途中で来日しました。
⭐︎1939年5月、日本最初の盲導犬として神戸港に上陸したのは、ドイツからやってきたルティ、アスター、リタ、ボド。この4頭のシェパードたちと視力を失った負傷兵たちとの絆。
⭐︎このドイツの犬と日本の軍用犬との間に生まれたチトセたち和製盲導犬の話。
(エピソードの順番は本と異なります。)
これらの話は、日本が日中戦争から第二次世界大戦へと突き進む時代の中で語られています。
この本を読み進めていくうちに、ドイツから来た4頭の盲導犬たちの末路が悲劇的でしたので、一度読むのをやめてしまいました。
戦争による混乱と食糧不足の中で、ほとんど餓死寸前で亡くなったり、空襲の際に行方不明になったりと、彼らの運命は過酷なものでした。
それでも、彼らについて書きとめておきたいと思ったのは、戦時中に目を負傷した兵士たちに寄り添い、生きる希望を与えてくれた尊い存在だったからです。
彼らは聡明で献身的であり、戦時下の中で輝いていたのです。
そんな4頭のシェパード、ルティ、アスター、リタ、ボドそれぞれのエピソードを数回にわたってブログに書き綴っていきたいと思います。
なぜなら、彼らの献身的な精神は、犬種は変わったものの、盲導犬たちに受け継がれ、今もユーザーたちに新たな一歩を踏み出す勇気を与え続けているのですから。