2022.10.16 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA | コノミのレポ用ブログ

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2022.10.16
舞台「A・NUMBER」
@紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA



約4か月ぶりのシゲさん!

今年だけで2回も舞台見に行けるとは思わなかったな💃


Twitterで「結構難解」「先にパンフレット読み込んでから見た方がいい」という声を割と見たので、先にパンフレットを購入し熟読。
結果的にこれがとても良かった。特に「B1とB2は台本より前に一度会っているという解釈をすることにした」という点。これがなかったら全然話がよく分からなかったと思う……


★父親の人物像
父親のセリフがとことん薄っぺらい!(演技がどうこうじゃなくて人物像の話ね)
初っ端から息子の言うことをオウム返しして「そうだよなぁ」って言ってるだけ。だからさっきまで「Aだよなぁ、わかるわかる」とか言ってても、息子が「そういうことじゃないんだよ、Bってことだよ」と言えば一瞬で「そうだよBだよな!」と手のひらクルックル。
他にも、取って付けたような「愛してる」とか、「おまえには良くしてやったんだ」とか……なんだか、「外から見た自分」のことしか考えてない人なんだろうなと思った。自分が良い人に見られるためなら息子の気持ちはお構いなしの、自己中心的な人。
他にも、荒れまくってるB1の目の前で「お前は完璧だった」と言うことにすごく違和感を覚えたんだけど、「みんな“こんな綺麗な赤ちゃんは見たことがない”と言った」ってところから、自分に都合の悪いことは見ないようにしてるんだなと思った。
訴えるか!みたいな話が出てくるのも唐突で不自然で、息子の気持ちをちゃんと見ようとしている感じが一切伝わってこなかったのが不気味だった……



★遺伝か環境か
「その人の特性を決めるのは環境か遺伝か」という論争は発達心理学の授業で最初に扱われるほど今まで盛んに議論されてきた話題なんだけど、それを再び考えさせられるような物語だったなと。
シゲさんが演じる3人の息子たちは、持っている遺伝情報は全く同じ。つまりこの3人の性格とかの差は育った環境によって形作られたもの。
特に対照的だなと思ったのが、クローン息子が何人もいるという事実を知った後の2人と1人の態度。
B1とB2は、それぞれアプローチは違えど混乱し、父親を憎み、詰め寄る。
それに対して3人目は、「それでもこの人生は僕のものだから」と言いたげで落ち着いている様子。
遺伝子情報は全く同じと考えると、これは育った環境の差だろうな……と思う。
前述の通り父親は自己中心的な人だから、きっと子育てにおいても自分のことしか考えてないんだろうなと。それでB1の時は面倒なことから目を背けて、結果的に虐待になった。だから次は「良い父親」になろうとしてB2を育てたが、それも「息子にとっての良い父親」ではなく「世間一般から見た良い父親」というだけ。「時々は飯も作ったし絵本も読んだ」「しかしあの絵本はダメだな(←息子本人が楽しんでたかどうかではなく自身の主観の話しかしていない)」という発言からも窺えるように、B2としっかり向き合って子育てできていたわけではないのではないだろうか。そんな父親に育てられたB2は、やはり自身のアイデンティティを上手く形成できずに育ったため、自分が生まれた真実を知った時に今までの人生が揺らぎ、混乱してしまったのではないか、という考察。
まぁ、3人目は初対面の他人を相手に話してるからB1やB2と比べると遠慮みたいなものはあるだろうけど……それにしても、あれだけ話を振られてるのに闇がある印象を一切受けなかったってことはそういうことなんだろうな。
5場で「個人的なことが聞きたいんだ」と何度も聞くシーンからも、本当にこの父親は「他の人から見た『父親である自分』」を認知することでしか「自分」というものを確立できないんだなと思った。「個人的なことが聞きたい」の真意が見てる側として掴めそうで掴めない感じだったのがこれまた不気味。



★シゲさんの演技
月並みな感想になっちゃうけど、3役の演じ分けが本当にすごかったし、Twitterでみんな言ってたけどB1があまりにも性癖すぎて……父親に思いっきり寄りかかりながら話してたとことか最高だった……
あとはB1が幼少期の虐待の記憶を思い出してる時かな?トラウマが蘇る感じで手を震わせてたのが好きすぎたし、B2の一人称が「ボク」なのも可愛いのとどういう風に育てられたのかが見えてくる感じがめちゃくちゃ好きだなって思ったし、5場では雰囲気がガラッと変わってさっきとは真逆の明るいキャラクターになってるのとか、役が切り替わる度に感動した……
「青い靴下が好き!」のところが70分の中で唯一笑えるシーンだと思うんだけど、空回ってる感じが全くしなくて、4場までとギャップがありすぎるのに上手く溶け込んでるのがすごいなと思った……



★カーテンコール
確か計4回。3回目と4回目はスタオベの後、お2人からご挨拶。

戸「話してもいいですか!?!?」(←いつまでも拍手が鳴り止まないのに対して)
戸「千秋楽ということでご挨拶させていただこうと思います」
戸「今ご覧いただいた通り、結構難解というか、1回で理解するのが難しいお芝居だったと思います。益岡さんと上村さんと何度も話し合って、我々なりの“正解”をお届けできるよう努力してきました」

戸「東京公演はこれで終わりですが、これから地方公演が始まります。1回では分からなかった!という方は、ぜひ地方まで足を運んでください(笑)」
戸「もう何も出ませんよ!?」(←またもや拍手が鳴り止まないのに対して。ここすごいシゲさんの素に近い感じが出てて好きだった)
戸「続きが聞きたい方は名古屋へお越しください(笑)」

舞台から袖に戻っていくとき、毎回益岡さんがシゲさんの背中にポンっと手を当ててたのが「お父さん……!!😭😭」って感じで好きすぎた……