カント 『純粋理性批判 5』 | 英現堂のブログ・・・

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      読んだ本の紹介

カント5

 

カントの『純粋理性批判』の第5巻。

 

その1:世界に時間の端緒があり、空間の限界があるのか?

 世界の中の現象は、時間と空間がセットで認識され、世界の外には時間も空間もない。それを知ることができない。有限でも無限でもない。

 

その2:合成された実体はすべて単純な部分で構成されているのか?

 空間は無限に分割できるが、実体を無限に分割してあるところで完結することはない。

 

その3:自然法則に基づいた因果関係だけで、自由意志に基づいた原因を作り出せるのか?

 人間は運命に操られているだけではない。自然法則による因果関係とは別に、理性による意志で、それを回避できることもある。

 

その4:世界にはその原因であるような絶対に必然的な存在が存在するのか?

 神のような絶対的な存在、これも知ることができないが、それを考えることを止めることはできないとし、次の第6巻へと続く。

 

 世界の中の経験は、現象であり、知ることの限界を訴えるが、現象(経験)世界とは別に、物自体、叡知的な存在が両立していると考えている。それを考えることのへ欲求から抜け出せない。