山に住む者として、獲物を撃つのは命がけだ。獲れれば食える。やられれば食われる。それを受け入れている人間は、やられたらエサになるという自然の循環の中で生を終えたいと願う。
そんな男の話。主人公の名は熊爪という。
人間と熊の戦いの場面、獲物の解体の場面、人間の出産の場面など迫力満点の描写。血なまぐさいが、美しくも匂い立つ。熊爪の死の受け入れは少し早すぎる気はするが。
以下、あらすじで、ネタばれありです。
時は明治。場所は北海道東部。
ある日熊爪は、冬眠ができなかった熊<穴持たず>を追いかけて、逆に顔面をやられた男を助けた。
熊爪はこのよそ者?の<穴持たず>を倒そうと探すが、熊爪が以前に出会ったことのある<赤毛の熊>と争っている現場に遭遇する。<穴持たず>は<赤毛の熊>にやられるが、熊爪も巻き込まれ負傷する。
今度は<赤毛の熊>を撃とうとする。ようやく見つけ、死闘の末やられたと思ったが、生き延びた。熊爪はなんで殺してくれなかったのかと悔やむ。
熊爪は町に降りて行って、以前に獲物を買ってくれていた良輔の家に行く。その家も時代に遅れ落ちぶれていった。
そしてその家の盲目の陽子という娘を半ば強引に連れ出し、山に連れて行く。
自分の思い通りにならない人間との初めての暮らしが始める。身重であった陽子は、山小屋で良輔の子を産み、熊爪にも体を許すようになり、熊爪の子を宿す。
陽子は、熊爪にもう用はないと考え、殺そうとする。熊爪はここが死に場所と思い、受け入れ、逆に殺し方を教える。熊爪は息絶え、陽子は子供とともに山小屋を出ていく。
