ヴェニスの商人 | 映画を観よう

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ヴェニスの商人
¥3,420

THE MERCHANT OF VENICE

アメリカ/イタリア/ルクセンブルグ/イギリス 2004年


アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジョセフ・ファインズ、リン・コリンズ、ズレイカ・ロビンソン、クリス・マーシャル、チャーリー・コックス、マッケンジー・クルック、ヘザー・ゴールデンハーシュ、ジョン・セッションズ、グレゴール・フィッシャー、ロン・クック、アラン・コーデュナー、アントン・ロジャース、デヴィッド・ヘアウッド


監督・脚本:マイケル・ラドフォード 『イル・ポスティーノ』
原作:ウィリアム・シェークスピア 『ロミオとジュリエット』
音楽:ジョスリン・プーク 『ハイジ』
衣装:サミー・シェルドン 『キンキーブーツ』


【ストーリー】

1596年頃ヨーロッパの貿易の中枢として栄えた運河の街ヴェニスでは、土地を持つことを許されないユダヤ人たちは、ゲットーと呼ばれる高い塀で囲まれた町の中に隔離される生活を余儀なくされる。土地も財産も持つことができない彼らだが、金貸し業を営んでいた。ユダヤ人である彼らは、宗教の違いと高金利で金を貸す行為がキリスト教の教えに反するとみなされ、常に赤い帽子を被ることと、街中ではキリスト教徒たちからの暴行の恐怖にさらされていた。

シャイロック(アル・パチーノ)も、そんな金貸しのひとりで、顔見知りの貿易商アントーニオ(ジェレミー・アイアンズ)から、顔にツバをはきかけられる屈辱を味わっていた。ところが、そんなある日、アントーニオと彼の親友バッサーニオ(ジョセフ・ファインズ)から、金を貸して欲しいと頼まれる。驚いたシャイロックだったが、3000ダカットもの大金をナント!無利子で貸すという。しかし、それには条件があった。「3ヵ月の期限内に借金が返せなかったら、アントーニオの心臓近くの胸の肉1ポンドを引き替えにもらう」というのだ。常軌を逸したシャイロックの申し出にアントーニオはたじろぐが、バッサーニオのためにその条件をのむのだが・・・。




これも、今頃・・ですが
やっと観ることができた作品!


シェイクスピア劇の仰々しくて長い台詞
実は、結構好きなのです


この作品の中でも、シェイクスピアだなぁ~と頷く台詞がありましたが
やはり、ずいぶんとわかり易く描かれていると思いました


題名はヴェニスの商人ですからアントーニオが主役

ジェレミー・アイアンズは相変わらず品があってセクシーで

年老いた自分の価値がなくなっていると嘆いていたけれど

いかにもキリスト教信者で苦労しらず・・という雰囲気は見事でした


けれど、今回はアル・パチーノに圧倒されました

あの眼光鋭い目、苦悩に満ちた深いしわの入った顔

高利貸しで、お金は浴びるほど裕福なはずなのに

決して満ち足りた生活をしているようには見えず

妻も無く、娘とみすぼらしい使用人がいるだけ・・・


どの時代でも、どの国でも宗教の違いは

決してお互いの歩み寄りを許さないけれど

この時代は特にそうだったことがよくわかります



この作品は、あの法廷でのやり取りが有名で

二人の間に立つ法学博士(今の検事や弁護士といったところですね)は

公明正大にシャイロックの言い分を受け入れたかに見せて
結局は、全てアントーニオにいいように進んでいく


「一滴の血も流すな・・・」というところまではいいのです

でも、そこから先はもうどんどん坂道を転がるように

シャイロックの立場が不利になる一方

そして、ついには彼の財産も全て国とアントーニオのものに・・・


なんてこったい!!これじゃ茶番だ!!


学生時代に読んだ本では

強欲で情けも無いような高利貸しのシャイロックというイメージだったけれど

この作品で、アル・パチーノという役者の見せるシャイロックは

どうしても彼に肩入れしてしまうほどの説得力ある演技だったのです


今までキリスト教徒に迫害され続けていた男は

そのキリスト教徒に娘を奪われ

多額のお金を貸した保証人の破産を知り

その怒りを、今までの蓄積された怒りをアントーニオに向けた・・・

どうしようもない怒りをキリスト教徒であるヴェニスの商人に向けただけなのに


このあたりからの裁判には、一人画面の前で怒ってました(汗

さらに!!アントーニオがいかにもキリスト教徒らしく(?)

シャイロックの財産を取り上げずに、半分は娘に行くようにと申し出るという

慈悲深いところを見せてくれるのです・・・


ところが・・・です

ユダヤ人であるシャイロックにキリスト教へ改宗しろという条件を出す・・・

それは、シャイロックはもう死んだも同然では・・・と絶句しました

やはり、そうなのか・・・と


それにしても・・・・

その公明正大に裁判を進めていく法学博士こそ

バッサーニオの妻ポーシャ(リン・コリンズ)

才色兼備の彼女は財産だけではなく

溢れるほどの知識の持ち主だったわけで・・・

見事に男装してこの名裁き(?)を行うわけです


このあたり、いかにもシェイクスピアですねぇ~~~~

彼らの時代、女性は公職につけなかったわけですから

シェイクスピア劇には頭脳明晰な女性が男装して登場する作品が多いです


そして、どの作品でも・・・感じるのですが

結局、一番怖いのは女性かなぁ~~~~と(苦笑)



まぁ、それにしても見事な配役

それだけでもうっとり~♪とさせていただきました!!

衣装も画面に広がる景色も音楽も

どれを取っても、大作というに相応しい作品♪


ラスト、ユダヤ教徒の集まりに入れず

閉まる扉の前に佇むシャイロックの姿に胸が痛みました・・・

これは、DVD買わないとなぁ~~~と思った作品です!!