悪い男 | 映画を観よう

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悪い男
¥4,320


韓国 2001年

チョ・ジェヒョン、ソ・ウォン、チェ・ドンムン、キム・ユンテ、キム・ジョンヨン

監督・脚本:キム・ギドク 『うつせみ』、『サマリア』、『コースト・ガード』


【ストーリー】

ある昼下がり、恋人と待ち合わせをしていた女子大生ソナ(ソ・ウォン)は、やっと現れた彼氏のもとへ駆け寄ろうとした瞬間、さっきまで隣に座っていたガラの悪い男に唇を奪われる。周りに居た人々に取り押さえられ袋叩きにあう男は、売春街を取り仕切るヤクザの頭ハンギ(チェ・ジェヒョン)だった。ハンギは、ソナにも唾を吐かれて罵られ、深い屈辱を味わうが、ハンギは、その後ソナを落としいれ、自分の取り仕切る売春宿へと売り飛ばしてしまう。せめて、最初の客は恋人に・・・と願うソナだったが、ハンギによってその願いは空しく潰される。決してソナに手を出すわけではないハンギ。そして、見ず知らずの男に抱かれるソナを毎日マジックミラー越しに見守るのだった…。



誠心誠意、君を傷つけ、そして愛す。

参りました・・・。

決して、決して万人受けする作品ではありません(苦笑)

そして、オススメするにはかなりの勇気がいる作品です

そんなこの作品を、観てしまいました・・・


これはもう、観てしまった・・・という表現が一番だと思います。


坊主頭で寡黙なハンギは、何を考えているのかわからない・・

売春宿を取り仕切るヤクザの頭だから、もちろんワルなのだけれど

ソナに対するハンギの行いは説明しがたい


観ていてもハッキリ言って気持ちのいいものじゃないし

ソナには親も兄弟もいないのか??と思ってしまう

娘が居なくなっても探しにこない??

いや、田舎から大学に出てきた娘が

売春宿に売り飛ばされたなんて思うわけ無いか・・とか

あまりにも不条理な世界に、なんともいえない不快感に包まれます


それなのに、なぜなんだろう・・・

ハンギの真っ直ぐにソナを見つめる視線

自分で陥れたくせに、彼女に手を出すわけでもない・・

さらに、自分でも気づかないうちにハンギに心寄せていくソナ

憎むべき相手なのに・・・・なぜ??



よく、一緒に人質になったとか、事故で一緒に閉じ込められたとか

ある種の恐怖体験をすると、一緒にいた人は恋愛関係になるというけれど

この二人の場合、それ以上にお互いを欲するのです・・


自分以外の男に抱かれるソナをじっと見つめるハンギは

彼女を自分のテリトリーに所有することしか愛情表現が無かった

あまりにも歪んだ愛の形だけれど

いつしかそれを受け入れるソナ


人を殺した舎弟をかばって刑務所に入り死刑宣告されるハンギに

面会に行ったソナがぶつける痛々しいまでの愛の告白

死んでいく自分の最後の愛なのかソナを解放するように舎弟にいうハンギ

その舎弟にビンタを浴びせ売春宿に帰るソナ


このあたりからは、もう二人がどんな風になっていくのか

最後まで見たくて、席がたてませんでした・・・


きっと、この作品を若い頃に観ていたら・・・

腹が立って、気持ち悪くて、席を立ったでしょう

最初に書いたように、決して万人受けする作品ではありません

こんな愛の形もあるんだ・・・なんて簡単にいえる愛ではないけれど

二人にとって、これが間違いなく幸せな形なんだと

誰が認めるものでもなく、これは二人の物語なんだと・・

なぜだか、そう思えたのです




痛い、心が痛いです

焼けた石を、わかっていながら素手で掴まえたような

そんな痛みが胸を突き刺す、そんな作品です