樋口明雄 魔の聖職者 ロスト・ゾーン(KADOKAWA・文庫) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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魔の聖職者 ロスト・ゾーン (角川ホラー文庫) [ 樋口明雄 ]

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積読本の整理をしていて発掘した、樋口明雄センセイの「ロスト・ゾーン」シリーズを続けて読んでいる(1作目だけ入手当時読んでいたので再読、2作目以降は初めて)。ということで、シリーズ2作目、2009年3月発行の「魔の聖職者 ロスト・ゾーン」を読了。自分の住んでいる街に帰れなくなった少年を保護した、集団記憶喪失事件の謎を追うオカルト雑誌の女性記者が…少年を狙う者と護る者の対決に巻き込まれ、なかなか悍ましい目に遭う1作目。しかし…女性記者が一連の騒動に巻き込まれたのは偶然ではなく、必然だったということが1作目のラストで判明していた。今作はその続きとなる話…結局、少年は“敵の手に落ち”、その救出に向かった女性記者と、少年の守護者(何百年も生きている長命者)は、この世から消えてしまったはずの“少年の故郷の街”へと足を踏み入れる。そして、実は一連の怪現象のせいで記憶の改ざんが行われていたが、女性記者もまた“同じ街”の出身者だったのだと…。変わり果ててしまった故郷の街で必死になって少年の行方を探すが、なかなか見つからない。一方、女性記者たちの視点とは別に、一体全体、町で“何が起きていた起きていたのか?”が…新しく登場する複数の登場人物も加わって紐解かれていく。徐々に“異形な何か”によって浸食されていく日常の様子が濃密に描かれており、アクションメインで、オカルト版「ターミネーター2」だった1作目と比べると、ホラー小説としての怖さ、グロさ、面白さも増してきた印象だ。そして、一見…メインストーリーが進まず、回想シーンで尺を伸ばす、まんねり気味の海外ドラマみたいな構成だなと思ったら、実は進行形のエピソードと自然な形でまじわり、時間軸を操るノーランの映画みたいな展開だったことに驚く。作中でも引き合いに出されていたが、屍鬼と呼ばれる異形のものとのバトルシーンは…「ゾンビ」のデパート籠城を彷彿とさせる部分もあり。また、屍鬼というのは…人間の恐怖が実体化するみたいな原理なので、場合によってはトラウマになったホラー映画そっくりの化け物と対峙するような場面もあったりで、ますます映画オマージュも増えてきた感じですね。


樋口明雄 魔の聖職者 ロスト・ゾーン(KADOKAWA・文庫)