クール・キャンデー 推理小説 (祥伝社文庫) [ 若竹七海 ] |
ここ最近の“このミス”上位ランクインや、テレビ番組などでの紹介で…ジワジワと人気をぶり返している若竹七海。そんな事情もあるからか、ブックオフの108円コーナーの中に“有隣堂 限定復刊”の帯がついた綺麗な(美しいじゃなくて、新しいという意味ね)な本があったので手にしてみた…「クールキャンディー」。初版は平成12年(2000年)と今から17年も前なんだけど…入手した本は平成29年(2017年)4月の第4刷発行分。でも、仰々しく“有隣堂 限定復刊”と謳ってたわりに…普通に他のネットショッピングでも取り扱いがあったりする(笑)ちなみに楽天ブックスのアフィ画像とはカバーが異なっている、復刊時に変わったのだろうか?えーと、若竹七海の作品は、けっこう前に何冊か読んでるんですけど、このブログを始める前の話なので、相当前ですね…どの作品を読んだのかもちょっと覚えていない。本作に登場する架空の都市“葉崎市”を舞台にしたコージーミステリーだったのは確かだけど、登場キャラクターは違うと思う。夏休み直前、そして14歳の誕生日直前でもある主人公の少女・渚のもとに…義姉の死が伝えられるところから物語は始まる。義姉=兄の嫁なんだけど、けっこうクールに受け止めてる渚ちゃん。彼女の“大人に負けじ”と背伸びした視点がコミカルで痛快。身内の死だけでもかなり大変なんだけど、その後に次々と明かされる複雑な家庭環境。兄とは腹違いとか、父親が失踪してるとか出てくる出てくる、なるほど“こまっしゃくれた”言動も納得だなと。そもそも義姉の死は自殺であり、その原因は“ストーカーによるレイプ”らしいなどなど、どこまで本当なのか?そうこうしてるうちに、自殺の原因を作ったストーカー犯まで不審死を遂げ、大好きな“兄”が警察に犯人の疑いをかけられてしまったことで…自分が“濡れ衣を晴らす”と頑張っちゃうわけですけど…。家庭環境は複雑だけど、決して家族関係が悪いわけではない…だからこそ、半ば予想通りだった“真相”なんかも、切なくなる。最後の一文が最大のオチでもありますので、間違っても後ろからページを開かないように(笑)特に巻末解説があるわけでもないので、その必要はないと思いますけど。160ページしかないので、短時間でサクサクって気軽に読めます…ただ、自分が入手した復刊版の帯にも書かれていた推薦文“ナメてかかると痛い目みるのでご注意を!”がまさに言いえて妙でして、がっつりとミステリーを読んだという気分にもさせてくれます。