九条の大罪(2026年)
ネトフリで先週から配信が開始され、わりと評判になっているオリジナル作品「九条の大罪」を鑑賞してみる…連ドラタイプのフォーマットで、全10話の構成。原作は映画にもなった「闇金ウシジマくん」シリーズで知られる真鍋昌平の同名コミックだそうなのだが…本作の原作どころか、“ウシジマくん”の方も原作、映像作品、ぜんぜん触れてないんだよな。作者さんのWikipediaにアクセスし、漫画の著作リストを眺めてたんだけど…「スマグラー」の映画は見たことがある、ほとんど覚えてないけど。そうだ、懸賞で当たった満島ひかりのサイン入りパンフは持ってる。
明らかに過失がある加害者や、反社会的な行いに関与した者など“悪人”も拒まず、むしろ率先して弁護を引き受けることで有名な九条間人…そんな九条が1人で切り盛りする九条法律事務所に、今まで大手の有名法律事務所で働いていた烏丸真司がやって来て、一緒に働きたいという。烏丸は周囲から“悪徳弁護士”と揶揄されることも多かい九条の人となりに大いに興味を抱いていたのだ。その直後、さっそく九条に依頼が舞い込む。懇意にしている半グレリーダーの壬生の紹介で、轢き逃げ犯・森田の弁護を担当。その方法に、烏丸は唖然とさせられる…。
主人公の“悪徳弁護士”を演じるのは柳楽くん…昔は“誰も知らなかった(是枝裕和の「誰も知らない」でデビュー、いきなりカンヌで賞を獲っちゃった)”なんて冗談を言っていた柳楽くんが、今ではすっかり演技派に成長して、オジサンは感慨深くもある。原作を読んでいないので、キャラクターにハマっているかどうかはわからないが、原作未読のオイラからすると、飄々としてるいつもの柳楽くんの持ち味が発揮されていて、とても魅力的な演技だったと思う。一見、悪徳弁護士に見えながらも、”法律に対し公明正大さを貫く姿”で彼なりの正義感が伝わってくる。
とにかく、この主人公に依頼してくる連中のクセが強すぎる…見ていて腹が立つヤツばかりなんだ。新聞やニュースを見ながら、犯罪者や加害者に対して、どこか“温い日本の法律”の数々、その理不尽な結末に憤ることも少なくないけど、ああいう感情が、ドラマを見ている最中も湧いてくる。そんな連中を、鮮やかに助けてしまう柳楽くん…最初は、他の脇役連中のように“お前何やってるんだよ”って気持ちも強かったんだけど、わりと、刑が軽くなって、シャバに戻ってきた悪党たちにも、因果応報な末路が待ってたりして、意外とその都度、溜飲が下がったりする。
今、WOWOWでジョン・グリシャムの「レインメーカー」を再映像化した連続ドラマを放送していて、あの作品も、いわゆる“悪徳弁護士”のもとで、熱血漢、正義感が強い主人公が…“法律とはなんだ”というのを学んでいくというような話で、それこそ本作を見る前は、どうせ「レインメーカー」のパクリみたいなんだろうなとは思っていたのだが…ちょっと想像していたものと違ったな。っていうか、この「九条の大罪」は、リーガルサスペンスのはずなんだけど、お約束の“法廷でのやり取り”がほとんど描かれない、出てくるのは最初と、途中の回想くらいじゃなかった?
あとは、意外と水面下で決着がついちゃうことも多い(裁判よりも、拘留中の接見が多い)…だからなのか、シリーズ全体のテンポ感が、かなり早いよね。だいたいエピソードを2話くらい使って、一つの大きな事件を扱うことが多かったけど、前後の話がうまく連鎖していったりもしてね、段々と…九条が闇に飲まれていく感じが、スリリングで惹きつけられた。ただ、ネトフリドラマだからなのか、スタイルも海外ドラマ的なところがあって、10話も見せておいて、シリーズを見終わったカタルシスがなかったのはいささか残念…続編を作る気満々な伏線未回収の多さ!
イッキ見できるドラマとしての面白さ・中毒性みたいなのは、以前話題になった、同じネトフリドラマの「地面師たち」の方が上かなと思った。個人的には、主人公のライバル的な女弁護士として、香椎由宇が出てたのが良かった。相変わらず凛々しいな。最初に話の流れで、満島ひかりのサイン入りパンフの話をしたけど、そういえば、香椎由宇のサインも昔、懸賞で当てて持ってるなと…思い出す。昨年、「爆弾」を見て、福田雄一映画じゃない佐藤二朗はちゃんと演技派だなって思ったけど、ムロツヨシにも当てはまるな…大物ヤクザ役、意外と不気味でしたよ。
監督:土井裕泰 山本剛義 足立博
出演:柳楽優弥 松村北斗 池田エライザ 町田啓太 音尾琢真 ムロツヨシ 岩松了 香椎由宇 生田斗真
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