大氷原(1962年)

チャンネルNECOにて…今年の7月に他界した和泉雅子の追悼特集。特に和泉雅子のファンというわけでもないのだが…日活映画なので、他にも好きな役者さんがいっぱい出てるし、円盤化されていないような貴重な作品もありそうだから、未見のものは追いかけてみようかなと…そんなわけで宍戸錠と共演した「大氷原」をエアチェックしておいたので鑑賞。樺太から流氷に乗って日本へやって来た宍戸錠が、銃の腕を見込まれ、アザラシ狩りの職に就くも…その一方で、両親を殺した復讐相手も探していたというお話。監督は「ギターを持った渡り鳥」の斎藤武市。
北海道の最北端…サケやマスを食い荒らす害獣のアザラシを駆除するトッカリ船“海洋丸”が、流氷の中を進んでいた。やがて船員が流氷の上で助けを求める男を発見!救助された男は、樺太からやって来た新井鉄次と名乗る。戦争中に両親を殺された鉄次は“ニフブン”と呼ばれるギリヤークに育てられたが、終戦になり…北海道にいるシャーマンのおかね姿さんに会いに来たという。しかし、鉄次の本当の目的は両親を殺した男への復讐だった。やがて金が入用になった鉄次は、海洋丸が所属する金沢海産事務所にハンターとして世話になるのだが…。
漁業被害を避けるために、アザラシを駆除する専門家…その専門家が乗り込むのが通称トッカリ船。トッカリはアイヌ語でアザラシのことらしい。まず、トッカリ船の船員が…流氷の上で助けを求める宍戸錠を見つけて救助する。宍戸錠は“俺は日本人だ”と前置きをしたうえで、自分が流氷に乗って、樺太からやって来た経緯を説明。戦争中、とある日本人のせいで両親を殺害されてしまった宍戸は、そのまま“ニフブン”と呼ばれる先住民に育てられたんだけど…終戦を機に、日本に戻って来たと。一応、目的は北海道にいる“身内の婆さん”に会うためだという。
船員たちからも“密入国だろ”と疑われるも…“だから日本人だ”と強調する宍戸錠。とりあえず、北海道までたどり着き、“正確な居所もわからない婆さん”のもとへと向かう。道すがら、地元の女性が、ガラの悪い連中に襲われそうになっているところを助けるんだけど、それが本作のヒロインになる和泉雅子。後に和泉雅子も宍戸錠と同じ“ニフブン”の出身であり、宍戸錠が会いに来た“身内の婆さん”の養女でもあった判明…婆さんとも再会できるんだけど…“戦後日本の文化や法律”に疎い、ある意味野生児のような宍戸錠は、トラブルばかり起こすのだった。
腹が減ったと…狩りに出かけたものの、他人の家で飼ってる鶏を勝手に持って来ちゃったり、家を建て直すと言っては、他人の所有する森林で伐採してきちゃったりと…一昔前の少年漫画のギャグみたいだ。結果的に借金をこさえてしまった宍戸錠は、助けてもらったトッカリ船を運営する会社に雇ってくれと直談判。銃の腕を買われて、一緒にアザラシ狩りを始めるんだけど…最初は“大飯ぐらい”のくせに、“アザラシは殺したくない”などと抜かし、まともに働かなかったり。他にも、宍戸錠が現れるまではナンバー1だったハンターの男との間で確執が生まれる。
実はライバルハンターも“周囲には出自を隠している”けど…“ニフブン”の出身であり、なんと和泉雅子の許嫁であったのだ!しかし、許嫁なんていうのは…親が決めたものであり、ライバルハンター本人には全くその気がない。というのも、雇い主であるトッカリ船の会社の社長の娘に惚れていて…許嫁・和泉雅子の存在を疎ましいとさえ思っているのよ。和泉雅子の方は、“律儀”な性格なので…ライバルハンターのことを一途に思い続けてるんだけど。一方、社長の娘は…宍戸錠を気に入ってしまい、その宍戸錠は、どうやら和泉雅子に一目惚れしたっぽい。
ただ、一見、ワイルドな宍戸錠は…和泉雅子に惚れていることなんて、最初はおくびにも出さず、今でいうツンデレっぽさも感じるのだった。恋愛部分に関しては…それぞれすれ違いまくってる四角関係、予想以上に壮絶で、切ない展開にもなった。また、宍戸錠が北海道にやって来たのには、もう1つ大きな理由が…それは両親が殺されたきっかけを作った“日本人”に復讐することなんだけど、その居所がぜんぜんわからないらしいんだ。途中で、地元のやくざも絡み、最終的には陰謀に巻き込まれ、ある程度予想はできた“お前だったか”の真犯人と最終対決!
“トッカリ”“ニフブン”など聞き慣れない言葉、方言やなまりも多く…最初はセリフを追いかけるのがちょっと大変だった。文字放送に対応してるので、字幕で確かめると、確かに劇中の少数民族たちのことを“ニフブン”って言ってるんだけど…この言葉をネットでググっても、ぜんぜん説明が出てこないのよね。それこそギリヤークの別名として“ニヴフ、ニブフ、ニグヴン、ニクブン”という似た言葉はあるらしく、きっとこれらと同じ意味なんだろうなと。オイラの年代だと和泉雅子ってオバサンになってからのイメージが強いが…幸薄げで、儚げで、とてもめんこかった。
監督:斎藤武市
出演:宍戸錠 和泉雅子 小高雄二 沢本忠雄 大坂志郎 中原早苗 高品格 木浦佑三 近藤宏 松尾嘉代
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