シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年) | 勝手に映画紹介!?

シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年)

 

【鑑賞日:2024年10月4日】

 

来週の月曜日から…母親がまた入院する。事前に決まっていた定期的な検査、治療のため、そこまで心配することのものでもないんだけど、週の中頃までは色々とバタつくかもしれない。そんなわけで…忙しくなる前に見ておこうと、本日公開の「シビル・ウォー アメリカ最後の日」を初回上映で見てきた。他にも何本か、本日公開の映画で見たいものがあるんだけど…これから見に行くのは難しいかな?母親が問題なく、予定通りの日程で退院してくれば来週の「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」は普通に見に行けると思う…朝は生憎の雨だったので、車で映画館へ。

 

連邦政府から19の州が離脱したアメリカ…西部勢力と呼ばれるテキサスとカリフォルニアの同盟軍と政府軍の間で内戦が勃発…激しい武力衝突が繰り返されていた。権威主義的な現大統領は“歴史的勝利が目前”とテレビで演説するが…実際は、首都ワシントンD.C.の陥落が目前だと噂されていた。女性戦場カメラマンのリー・スミスと相棒のジョエルは…各地で取材を続けながら、今度はワシントンD.C.に向かい、大統領の独占インタビューを狙っていた。知り合いの老記者サミー、新人カメラマンのジェシーも同行することになり、4人は車で移動を続けるが…。

 

内戦が起き、国中が真っ二つに別れてしまった近未来のアメリカという…これから実際に起きてもおかしくないようなような設定を活かした架空の戦争映画。今もどこかで起きている民族同士の争いを…アメリカに置き換えて、リアルに描く。最初、この映画の情報を聞いた時に、真っ先に思い出したのは…アニメ映画の「うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー」…あの映画の中で、面堂終太郎と幼馴染のトンちゃん、お互いに大資産家の御曹司が些細なことで喧嘩を始めて、それが町を巻き込んだ戦争になり、お隣同志が敵味方に別れて戦うという展開があった。

 

てっきり…ああいう感じの内容を、アメリカに置き換えてやってる、もっとエンタメよりの戦争アクションなのかなと…近いといえば、ある日突然、ソ連を主とした共産国が攻めてきて、アメリカ中が戦場になる「若き勇者たち」(リメイク版の「レッド・ドーン」は敵が北朝鮮に変更になっている)みたいな戦争アクションだとばかり思ってた。そうしたら、主に話を転がしていくのはジャーナリスト、戦場カメラマンたちでして…現役バリバリの男女コンビに、足手まといになりそうなロートル記者と新人の若手女性カメラマンを1人ずつ加えた、男女4人のロードムービーだった。

 

なんでその4人が一緒に行動するようになったのかは、実際に映画を見てもらうとして、4人は、各地での激しい戦闘をその都度、取材しながら…戦場の最前線を目指して車で移動、果ては陥落間近のワシントンに乗り込んで、劣勢に追い込まれている大統領のインタビューをもぎ取ってやろうという野望、使命感に燃えていた。時に感覚を麻痺させながら、戦争との向き合い方を模索し、葛藤を続けるジャーナリストたちの姿は、マイケル・ウィンターボトム監督の「ウェルカム・トゥ・サラエボ」やロジャー・スポティスウッド監督の「アンダー・ファイア」あたりを思い出す。

 

乾いた視点で、都度の戦闘を切り取っていく感じなんかは…「地獄の黙示録」あたりだろうか?本作の監督と脚本を務めるのがアレックス・ガーランド…ダニー・ボイル監督の「28日後…」の脚本家としても有名な人だけあり、どことなくゾンビ映画、ポストアポカリプス映画の香りもする。ホラー映画ばりの衝撃を味わえる死体描写の生々しさ。戦闘シーンの多くはBGMを排し、SEと環境音で見せている。戦場の凄まじい銃撃音は「プライベート・ライアン」や「ヒート」を彷彿とさせられ、“普通のシネコン”で見ていても、耳を劈く爆音、腹に響く重低音がなかなか強烈だ!

 

近作「エイリアン:ロムルス」での好演が記憶に新しいケイリー・スピーニーが、キルスティン・ダンスト演じる戦場カメラマンに憧れる、ひよっこカメラマン役で出ている。「エイリアン:ロムルス」では…リプリー顔負けのタフな女戦士へ成長していく姿がなかなか印象的だったけど、本作でも…最初は右も左もわからない初心さがにじみ出し、全ての行動がフラグにさえ見えてしまう、正直、どこかで脱落するのではないかという危うさをまとってたんだけど…そういったものを吹き飛ばし、見事な成長ぶりを見せる。いや、成長というよりは染まったという感覚の方が近いか?

 

戦場の空気に毒されていく感じだろうか?ケイリー・スピーニー演じるひよっこカメラマンがベテランカメラマンのキルスティン・ダンストをも凌ぐ突貫娘に成長するのを目の当たりにし…北野武監督の「その男、凶暴につき」で、芦川誠演じる無垢な新人刑事が、最後にはすっかり悪に染まってしまうというオチを見た時に近いゾクゾク感を味わった。戦争ってヤベェ、怖いっていうのと同時に…人間の慣れの恐ろしさも伝わってくる。そんなケイリー・スピーニーの演技と相まり、「ホワイトハウス・ダウン」さながらのクライマックスの銃撃戦は半端ない緊張感と臨場感だ。

 

 

監督:アレックス・ガーランド

出演:キルステン・ダンスト ワグネル・モウラ ケイリー・スピーニー スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン

 

 

【映画のスコア集らしい…】

Civil War (Original Score)

Civil War (Original Score)






 

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