聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年) | 勝手に映画紹介!?

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年)


聖地には蜘蛛が巣を張る [DVD]

 

WOWOWでエアチェックしておいた「聖地には蜘蛛が巣を張る」を鑑賞…デンマーク、ドイツ、スウェーデン、フランスの合作映画、イラン(この間、ヘリの墜落事故で大統領が亡くなったところだな)の聖地マシュハドで娼婦が連続して殺されるという実際の事件に着想を得て描かれたサスペンス、ミステリー。これも地元のシネプレックスで上映があって、予告を見て気になってたんだけど、見に行く機会を逸しちゃったヤツだな。昨年の10月に円盤化されてるけど、DVDのみで、ブルーレイは出てないのね。なんか最近、話題作でもブルーレイで出ないのが多いな。

 

イランの聖地マシュハドで…連続して娼婦が殺される事件が起きていた。捜査関係者やマスコミの間では“蜘蛛殺し”と呼ばれており、警察では単独犯の可能性を考えていたが、なかなか犯人の正体を掴めないでいた。女性ジャーナリストのラヒミは、事件の真相を追うことを決意。電話を介し犯人と接触していた現地記者と一緒に取材を開始する。一方、娼婦殺しの犯人サイードは…普段は妻子と一緒に暮らしているが、家族が留守の間に、自宅に娼婦たちを呼び寄せ犯行を繰り返していた。彼には“街を浄化する”という使命があり、犯行を止める気はなかった!


食うため、子供を養うために、仕方なく“身体を売る”1人の娼婦の日常が冒頭で描かれる…どの国でも決して誇れる職業、自ら進んで就きたい職業ではないんだろうけど、こと女性軽視が根強く残るイスラム系の文化圏などでは、より蔑まれることも多いのだろう。そのくせ金で女を買う男ももちろんいる。横柄な客にもジっと耐え、時には薬物等に逃避しながら、淡々と仕事をこなしていく娼婦…やがて1人の金払いがいい男が近寄ってきて、その男の部屋へと向かうんだけど、そこで娼婦は何らかの危険を察知、すると男は態度を豹変させて襲い掛かってきた!

 

この男こそ…世を震撼させる連続娼婦殺しの犯人!最初の犯行こそ、あまり顔が見えない感じだったが、犯人はその後も頻繁に、続けて事件を起こすので、直ぐに正体は判明。普段は妻子と暮らしている、一見、平凡そうな中年男なんだけれども、実はけっこうな闇を抱えていた。戦争に行ったものの“殉死”できなかったことを恥じていて、そういう屈折した想いから…“汚らわしい娼婦を街から一掃することが天命”だと間違った悟りを開き、犯行を繰り返していた。犯行自体は大胆で杜撰なんだけど、被害者が娼婦なので、捜査当局もなかなか本腰を入れない。

 

そこへ1人の女性ジャーナリストが乗り込んでくる…彼女自身も、取材の過程で“あからさまな差別、侮辱”を受けるんだけれども、持ち前の行動力でそれを跳ね返し、遂には“自分を囮にする”ことで、犯人をおびき寄せようという危険な賭けに出る。要は現代版、イスラム文化版の“ジャック・ザ・リッパー”なお話。ジャーナリスト視点も、犯人視点も淡々と物語が進んでいく印象…視聴者的には、犯人探し的な仕掛けがあるわけでもないので、そこまで驚きがある話じゃないけど、犯人以外にも、お国柄で、女性ジャーナリストの身に危険が迫るので、緊張感はある。

 

犯人を逮捕して終わりって話ではなく、むしろその後もけっこう重要…国や文化、民の1人1人が抱える思想なんかの問題点が色々と浮き彫りになる。捕まった後の犯人にいったいどんな判決が出るのか、どんな扱いを受けるのか…このあたりは思いのほか二転、三転したな。犯人逮捕後も、女性ジャーナリストがなんらかの陰謀に巻き込まれるのではと心配になったが、さすがにそれはなかったな。犯人が捕まっても、また同じような事件が起きるのではないかという、やるせなさや怖さをジワジワと噛みしめて、エンディングを迎える…見応えは充分にあった。

 

 

監督:アリ・アッバシ

出演:メフディ・バジェスタニ ザーラ・アミール・エブラヒミ アラシュ・アシュティアニ シナ・パルヴァーネ

 

 

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