先週の読書:「デビル・イン・ヘブン」「スノウ・エンジェル」 | 勝手に映画紹介!?

先週の読書:「デビル・イン・ヘブン」「スノウ・エンジェル」

先週の読書:「デビル・イン・ヘブン」「スノウ・エンジェル」

 

前は良く…近所のブックオフへ行く度に、100円本(税込み110円)を500円分、1000円分、気になるものは見境なしに買いまくって、読まなくても、とりあえず積読っていうのが当たり前だったんだけど…最近は文庫本も220円が主流となり、ちゃんと吟味してから買うようになった。ブックオフ自体へ行く回数も減らしてるし、行っても買わないで出てくることもしばし。もちろん、220円だって今の定価から考えると、かなり安価だけど…前は550円あれば5冊買えたのに、今は2冊しか買えないからね。そう考えると…古本も高くなったなぁって実感する、今日この頃だ。

 

まぁ、昨年…思い切って積読本をかなり処分したんだけど、それでも、まだまだ読み切れない本がたくさん、自室や物置部屋の段ボールにしこたま入ってる。そんなのをほじくり返していると…意外と読みたい本、読み逃していた本も出てきたり。これからは、いつ買ったのかまったく記憶にない、値札シールが105円とか108円なんてついている古めのものも率先して読んでいこうかななんて、ちょっと思ってたり。今の読書ペースだと、きっと5年、いや10年分くらいの未読本はあると思う。でも、さすがに全く新しい古本を買わないのはさすがに我慢できないよな。

 

このところ、なんとか“先週の読書”の記録を毎週つけられているが…相変わらず、消化できる冊数が増えてないですね(汗)先週も読了は2冊だけでした。今回読了したのも、長い間、積読本の中にあった古本…2冊とも河合莞爾の小説で、シリーズものです。河合莞爾はデビュー初期の「デッドマン」「ドラゴンフライ」「ダンデライオン」の3冊をかなり前、読書ブログで記録を残す前に読んだことがあるんだけど、それ以来かもしれない。今回の2冊も、入手はけっこう前だった気がするなぁ…でも、1冊は2021年発行だから、そこまで古くはなかったのかな?

 

ということで、まずは1冊目の「デビル・イン・ヘイブン」…発刊当時は近未来だった2013年が舞台、日本初のカジノ、ラスベガスみたいな街になっている臨海地区で、大規模な陰謀が進行しており、警察官の主人公が巻き込まれ、別の元刑事の復讐劇も同時に描かれる。そこまでではないが、やはり近未来を扱った話なので、若干SFっぽさも感じるか?2冊目の「スノウ・エンジェル」は「デビル・イン・ヘイブン」の前日談…前作に登場した元刑事にスポットをあてた話。「デビル・イン・ヘイブン」に至るまでに何をしていたか?その間に関わった事件が紐解かれる。

 

「スノウ・エンジェル」は発刊時でも近未来設定ではなかったんだけど…シリーズものの繋がりは色々と仕込んである。前日談なので、意外と2作目→1作目という順番でも読めそうな気はするが、オイラは発刊順がお薦めかな?どちらも面白かったんだけど、全体的なボリューム、読み応えは1作目の「デビル・イン・ヘイブン」に軍配。書かれたのは、最初に発刊されたのは10年以上前なんだけど、未来として描いていた“2023年”をとっくに通り過ぎてしまった今、それを踏まえて読むのもけっこう乙。今回の“推しの1冊”は「デビル・イン・ヘイブン」を選びます!

 

 

 

2017年6月発行の河合莞爾著「デビル・イン・ヘブン」…2013年12月にハードカバー単行本で出ていたものの文庫化。実は、ハードカバーの方も結構前に古本で入手していたのだが、ページ数が多く、厚めの本で、重たかったので、後回しにしていたら読む機会を逸してしまい、そのままになってしまった(そっちも積読のどこかにあるはず、処分はしていないと思うんだよな)。今回は…本作の後に書かれたシリーズ続編の文庫版も入手できたので、一緒に購入しなおす。シリーズものは判型をなるべく揃えたい派なので、両方とも文庫で入手できてよかったよ。

 

単行本、文庫共に…発刊当時は“近未来”だった2023年をメイン舞台に…日本初のカジノを管轄下に置く“聖洲カジノ特区”というリゾートシティ(現実の世界の“海の森公園”あたり)で、とてつもなく大きな陰謀がうごめき、そこの警察署に赴任することになった刑事(もとい、前の署では刑事だったんだけど、異動先では生活安全課なので正確には刑事という呼称ではなくなる…と、作中でも説明)が、その渦中にどっぷりと浸かってしまう。一方、遡ること15年前…別の刑事が、別の事件を追いかけてる最中、真犯人の罠にハマり、とんでもない状況に追い込まれる。

 

その刑事は…真犯人を見つけ出し、復讐するために、警察を離脱…“逃亡者の身”になりながら、真実を追求していたんだけど、どうやら謎を解くカギ、真犯人が“聖州”にあるらしいということで…この街にたどり着き、もう一方の主人公である現役警察官が巻き込まれている陰謀とバッティングしていく。事件の内容などはあまり細かく触れないでおくが…ギャンブル依存に対する警鐘を真っ向から描いた社会派な面を前面に出しつつも、現実と虚構のバランスが程よく、普通の警察小説ではありえない展開になりながらも、そこまでアンリアルってほどでもない感じ。

 

もちろんコロナ前に描かれているので、“2020年に予定通りオリンピックが東京で開かれた”という設定なんだけど、あえて今読むことで“現実と似て非なるIf感”がより強調され…でも、オリンピックにも汚職が絡んでるみたいな、10年以上も前の作品で描かれていて…こういうところは現実を予見したようなリアルさで、けっこう不思議な感覚を味わえたかなと。過去の事件の真犯人、陰謀の首謀者の正体は…正直、予想の範囲内ではあったものの、一介の警察官や逃亡者の身の元刑事がどこまで立ち向かえるのか、最後までしっかりと緊張感は持続する。

 

 

 

2021年5月発行の河合莞爾著「スノウ・エンジェル」…2017年6月にハードカバー単行本で出ていた作品を文庫化したもの。「デビル・イン・ヘブン」のシリーズ続編、物語的には前日談になる。「デビル・イン・ヘブン」では15年前に巻き込まれた事件のせいで、刑事の職と共に、自分の存在もすべて捨て、逃亡者の身となり、自分を陥れた事件の首謀者、真犯人への復讐に燃えていた元刑事の男にスポットをあてた話。逃亡者の身となり数年経ち…復讐の目途もぜんぜんたたず、諦めかけていた時に、刑事時代の元上司に居所を知られてしまい、久々に再会。

 

その上司の薦めて…女性麻薬取締官が主導する潜入捜査に協力することになる。ちょうど世間では麻薬中毒者が起こした凄惨な事件が注目されており、どうやら背後には“依存度がとてつもなく高い新種ドラッグがからんでるらしいと。その供給者を突き止め、根絶したいと…女性麻薬捜査官は言う。その依頼を受けた元刑事…既にマトリが狙いを定めていたプッシャーに近づき、そこからドラッグの供給者に迫ろうという作戦。元刑事の男は、日常に蔓延するドラッグの現状を目の当たりにし、そして身を引き締めて、ドラック撲滅に心血を注ごうとするんだけど…。

 

発刊当時は“近未来”を描き、SF的な要素も少なからずあった前作「デビル・イン・ヘブン」と比べると…そこまで現実離れもしてなくて、普通に現代ものとして読める。しかし…シリーズもの、シリーズ続編だというのも忘れていなくて、前作に関連するネタはけっこう入ってる感じ。若干、こじつけ感もありつつも…そういう繋がりなのねという驚きも待っている。全体的に本作の方がテンポもよく読みやすいが…読み応えは前作の方が上。前作ではギャンブル依存症、本作では薬物依存症を真っ向から描いていた本シリーズ…共通するのは社会に対する矛盾なのかな?






 

人気blogランキング 参加中 -クリック- ご協力ください!