ラブ・レター(1998年) | 勝手に映画紹介!?

ラブ・レター(1998年)

 

ちょっと前に放送されたWOWOWの浅田次郎特集で、唯一エアチェックした「ラブ・レター」を鑑賞…約26年前の旧作だったが、WOWOWでは今回が初放送。実は公開時に鑑賞している…はずなんだよな。当時、新宿の金券ショップで招待券がバカ安で売られていて…それを買って見た記憶があるんだけど、どんな映画なのか覚えていなくて、この機会に再鑑賞しておこうと。ちなみに、今現在、Amazonで通常購入できる商品ページ(あの頃映画 松竹DVDコレクション ラブ・レター)のジャケ画像がなぜかVHSのものなので、中古扱いのジャケ画像を貼った。

 

佐竹興業が経営する新宿歌舞伎町の裏ビデオ店で店長を任されている高野吾郎…ある日、社長の佐竹義則と、ブローカーの穴吹樟雄の勧めで、中国人女性・康白蘭と偽装結婚をすることになった。80万円の謝礼と引き換えに、戸籍を貸すことにした吾郎。なんとか入管審査もパスすることができ…吾郎がまともに白蘭と言葉を交わせたのはその1回だけだったが、健気な白蘭にどこか惹かれる部分があった。しばらくして吾郎は留置場に入れられてしまうのだが、釈放後に待っていたのは白蘭の死だった。佐竹から遺体の引き取りをしてこいと命じられ…。

 

チンピラの中井貴一が、親分(社長)・根津甚八の命令で偽装結婚をすることになったんだけど…相手の中国人が、優しくて美人だったことから、一瞬、マジ惚れしかける。結局、それ以上の進展もなく…まともに言葉を交わしたのは入館審査の時だけ。その後、刑事の大杉漣さんの言いがかりで臭い飯を食わされてしまったこともあり…しばらく留置場に入れられ、すっかり偽装結婚のことも忘れてしまうんだけど、シャバに戻って来たのと同時に、相手の中国人女性の死が耳に入る。そして、またも親分の無茶ぶりで、今度は遺体の引き取りをする羽目に…。

 

偽装結婚等…中井貴一以外の加担した連中は、まるで他人事のように、淡々と、事務的に“中国人女性”の死を処理しようとするんだけど、中井貴一は変な情が芽生えてしまい、自分たちの態度、行動が何かおかしいのではないかと、疑問を持ち始める。それに追い打ちをかけるのが、死んだ中国人女性が中井貴一に宛てた手紙(=ラブ・レター)だった。という感じの話ですね。序盤は、チンピラの日常、それをとりまく人たちをユーモラスに描いていて、喜劇として面白い。とにかく中井貴一演じる主人公のチンピラがお人好しで、他人からの押しに弱いんだよな。
 

後半はシリアス度も増し、外国人労働者の実態に迫るような社会派な面もあったり…間抜けで愚かなチンピラ主人公が、一連の経験から、己の人生を見つめ直していったりする姿に、素直に感動できたりもする。26年前…まだ20代前半だったオイラがこの映画を見て、楽しめたかどうか、ぜんぜん記憶にないのだが、オッサンになった今だと、主人公に感情移入もしやすく、けっこう沁みる内容だったな。中井貴一に偽ダイヤを売りつける宝石のセールスレディ洞口依子のシーンが好き。あと、現参議院議員・山本太郎の眉毛剃ったチンピラ役がマジ怖すぎ(笑)

 

大杉漣、名古屋章、根津甚八…故人も多く出演しており、そういえば監督の森崎東も亡くなっているなぁ。この頃の邦画って…フィルムでちゃんと撮られてるし、やっぱり情緒も感じられたよな。新宿が舞台の一つでもあるんだけど…ちゃんと新宿でロケやってる感も良かった。最近だとWOWOWの日米合作ドラマ「TOKYO VICE」とか、ネトフリ映画の「シティーハンター」で新宿がちゃんと描かれていて、よくやってるなって思ったけど…この頃の邦画ってこれが普通だった。崔洋一の「月はどっちに出ている」や「犬、走る」を今見ることに近いノスタルジーを感じた。

 

 

監督:森崎東

出演:中井貴一 耿忠 山本太郎 根津甚八 大地康雄 倍賞美津子 柄本明 大杉漣 笹野高史 六平直政

 

 

【Amazon、なぜかVHSのジャケ画像だけどDVD】

あの頃映画 松竹DVDコレクション ラブ・レター

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