ガスパールとの２４時間（２０２４年）
再加入中のネットフリックスでインドネシア映画の「ガスパールとの24時間」を鑑賞…右に心臓がついているという特殊な身体的特徴のため、“あと1日しか生きられない”と余命宣告を受けてしまった探偵が、幼少期からずっと抱える“ある心残り”をやり遂げようと奔走するクライムサスペンス・アクション。ガスパールというのは男性主人公の名前。知らない役者さんばかりだなって思ったけど…主人公役の人は、前にＷＯＷＯＷで見たインドネシア映画（シンガポール、ドイツとの合作）「復讐は私にまかせて」に出てたらしい…どんな役だったか直ぐ思い出せん。
探偵のガスパールは…幼少期に仲の良かった女の子キラナが、突然、自分の前から消えてしまったことをずっと気にかけていた。どうやらキラナの失踪には父親であるワン・アリが関与していたのではないか、現在は宝石商を営む彼が、いつも大事そうにしている“黒い箱”にその答えがあるのではないかと考え、なんとか奪取できないかと考えていた。そんな時、心臓の病によって“余命1日”を宣告されてしまったガスパール。自分が死ぬまでになんとしてもキラナの消息を掴み、ワン・アリに復讐しようと…探偵志望のアフィフ（アグネス）と共に行動を開始する…。
若干SF設定が入っているのかな？世界観説明代わりの序盤あたりだと、デジタルによる情報化が進んでいるような近未来っぽさを感じる部分もあるんだけれども、主人公が目的に向かって進み始めたあたりからは…あまりそういうSF、近未来的な要素は顔を出さなくなる。探偵である主人公は、どうやら天涯孤独のようで…血の繋がりのない大人によって育てられたんだけれども、幼少期に仲の良かった幼馴染の女の子が、ある日を境にバッタリと姿を消してしまい…いなくなる前に“私を捜してね”って意味深なお願いもされていて、ずっとそれを気にかけていた。
幼少期の夢や約束を果たして探偵になっている主人公だが…ずっと抱えている病のせいで、いきなり“余命24時間”を宣告されてしまう。そこで、なんとしても幼馴染の女の子の失踪の謎を解こう、そして探り当てた真相から女の子の失踪に関与している人物に復讐しようと思い立ち…自分の近しい仲間や、主人公の他にも復讐相手を恨んでいる人物に声をかけて、チームを結成。復讐相手は宝石店を営んでいて…そこを襲撃しようって話になったんだけれども、もちろん準備から計画実行まで24時間もないわけで、はたしてそんな杜撰な計画が成功するのか？
主人公をとりまく人間関係がけっく複雑でドロドロしている…まず主人公を慕っている、探偵志望のガールフレンドがいて、“余命宣告”の事情なども知っているので、色々と後押ししてくれて、積極的に計画にも協力してくれる。このガールフレンドだけだと心もとないので…なんと元カノと、その元カノの今カレにも声をかけるんだけど…元カノの今カレっていうのも、どうやら主人公の友人らしいと。さらには、その元カノっていうのも…失踪した幼馴染の女の子を知ってるっぽい。そして死を目前にした主人公が一番求めているのは失踪した女の子という事実…。
ね、思いのほかドロドロでしょ？“あと1日で死ぬよ”って言われた主人公も切ないけどさ…時々、なんとも言えない悲しそう、寂しそうな表情をする女性陣もとにかく可哀そうで見てられなくなる。そしてそれは、過去シーンに登場するいなくなっちゃった幼馴染の女の子にもあてはまるわけで…失踪直前の、何か言いたそうな目、表情が胸に突き刺さる。その他、知人以外の人物も…最終的にはみんな“納得”して主人公に協力したわけだけど、計画がうまくいかないで、犠牲が出てしまうあたりでは“昔話にとらわれないで、勝手に死ねや”と主人公を責めたくなるのよ。
劇中でも“善が常に悪を滅ぼす”なんて絵空事だというメッセージを放っており、最後まで、救いようのない展開が多めだったけど…奴らの犠牲も報われたなと思える部分もちょっとあって、そこだけは復讐の意味もあったんじゃないかと…。今まで見てきたインドネシアのアクション映画ってもっと派手で壮絶なものが多かったけど、アクション自体はわりと控えめな作品だったかな？でも、予定調和じゃない“えーーっ？”って展開がわりとあって、気になって見ちゃえる。あと、主人公たちが使う銃のデザインが変で…そこもちょっとSFの色が出てたのかなと思った。
監督：ヨセプ・アンジ・ノエン
出演：レザ・ラハディアン シェニア・シナモン ラウラ・バスキ デヴィ・イラワン クリスト・インマヌエル
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