ワンダーガールズ 東方三侠２（１９９３年）

ＷＯＷＯＷのミシェル・ヨー特集でエアチェックした「ワンダーガールズ 東方三侠2」（ＡｍａｚｏｎのDVD販売ページは“”という表記なんだな）を鑑賞…昨日鑑賞した「ワンダーガールズ 東方三侠」の続編。金城武、ラウ・チンワンなどの新たなキャストも加わっているが、アニタ・ムイ、ミシェール・ヨー、マギー・チャンといった主役3人を含むメインキャストはほぼ同じ役で続投…監督も変わらずチン・シウトンとジョニー・トーが共同で務めている、ちゃんとした正規続編作品だ。1作目も2作目も…ブルーレイ化はされていない。

核爆発が起き、放射能によって全ての水源が汚染されてしまった近未来…キムという1人の科学者が浄水装置を発明するも、その後、浄水会社を設立して、水を支配してしまい、世界征服を目論む。一方、親友のチンチン、チャットと共に世の悪と戦ってきた“ワンダーガール”ことトントンは、出産を機にヒーローを引退…刑事である夫ローにも“二度とワンダーガールにはならない”と誓いを立てていた。しかし、世の中は核爆発で状況が一変…より殺伐とした世界になってしまった。チンチンはキムの野望を阻止するため、トントンとチャットに協力を依頼するが…。
 

冒頭、核爆弾が爆発し、世界が荒廃してしまった旨を伝える、“前作にはなかった”設定・世界観説明から始まる…主人公の女子3人が仲良しになり、ヒーロー（ヒロイン）として活躍しましたという前作を踏まえた、その後の話なんだけれども…そこで核爆弾の爆発があり、今まで以上に世界は混沌、香港もご多聞にもれずということらしい。未曽有の事態に…水が枯渇してしまい、生活がままならなくなっている。3人組の中でも、中心人物…仮面姿のヒーロー（ヒロイン）“ワンダーガール”こと、人妻アニタ・ムイは出産を機に、ヒーロー稼業から足を洗っていた。

他の2人、悪党の一味から改心して正義の味方になったミシェール・ヨーは凛々しく軍服を身にまとい、どうやら政府関係の仕事に就いている様子。もう1人、一番蓮っ葉な雰囲気だったマギー・チャンは引き続き賞金稼ぎとして腕を鳴らしながら、時に…非合法に金を稼いだり、貴重な水を略奪したりしていた。やがて…水源の確保、政権の掌握などを巡る陰謀が動き出し、3人組も巻き込まれていく。ミシェール・ヨーは国のため、民のために“ワンダーガール”の復帰を望むも、アニタ・ムイは刑事の夫に誓った“二度とやらない”という約束を貫き通そうとする…。

マギー・チャンも…我が道を行く選択をし、仲良し3人組が決別してしまうんだけど…その間に、陰謀がどんどん進行していってしまうという感じ。前作でもマギー・チャンの浅はかな行動が…事態をより悪くしていたけど、ぜんぜん学習能力がなく、今回も似たような失態をしでかす（笑）シリアス展開＋荒唐無稽さで…いったい何が起きるのか、先読みしにくいカオスな面白さがあった1作目に比べると、世界観こそよりカオスになったものの、ディストピア的な辛気臭さが前面に出てきて…だいぶ雰囲気が変わった。本作も面白かったけど、自分は1の方が好み。

始まってすぐの頃に…医療品の運搬業務に携わるミシェル・ヨーが、自らハンドルを握って、トラックを運転しているところに敵が襲撃してくるというシーンがあり、その後、別のシーンに変わって、今度は…浄水会社の高価な水を運搬するトラックを、マギー・チャンが略奪しようとして、途中から出てきたラウ・チンワンと争奪戦を繰り広げる様子も描かれる。一連のアクションが、走行中のトラックと絡めたものであることから…なんとなく「マッドマックス 怒りのデスロード」感もあったりして、よりディストピア、ポストアポカリプスな世界観が印象強くなるのであった…。

重要人物然として序盤から出てくる金城武とラウ・チンワンだけど…思いのほか間抜けな退場の仕方だった。いや、物語的にはいたって真面目なのだが…マジかという、変な失笑が漏れてしまう。特に、ＷＯＷＯＷの解説で“新興宗教の教祖役で本作が映画デビュー…出番は少ないながら印象に残る”と紹介されていた金城武…確かに印象には残るよ、アレするシーンは！あと…それこそ見た目は、後にジョン・ウー御大が監督した「レッドクリフ」で演じた諸葛孔明みたいでもあり、劇中でもイケメン呼ばわりされていて、デビュー作にして大物感はあった。

1作目で間抜けな警察本部長を演じてた人が、極悪非道な軍の将軍になって、今回は完璧に敵側なんだよ…同じ人物が警察から軍に乗り換えたという解釈でいいのだろうか？アニタ・ムイに前作終了時点ではいなかった娘が生まれ、その娘が物心がつくくらいまで成長しているので…劇中でかなりの年月は経過しているはずだから、職業が変わってるくらい当たり前だろうし。ちなみにアニタ・ムイの夫を演じたダミアン・ラウは、ヒラ刑事から警察署長に出世してる。また前作で死んだアンソニー・ウォンは全く別役で登場…キャスト調べるまでわからんかったよ。

監督：チン・シウトン　ジョニー・トー

出演：アニタ・ムイ　ミシェル・ヨー　マギー・チャン　アンソニー・ウォン　ダミアン・ラウ　金城武　チョン・プイ

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