少女は卒業しない（２０２３年）

ＷＯＷＯＷでエアチェックしておいた「」を鑑賞した…予備知識なしで、なんとなくタイトルに惹かれて予約録画。ワンチャン、なんかちょっとHな話かなと期待しつつ（爆）…たぶん、季節柄、卒業をテーマにした青春ストーリーだろうと想像。あくまで、オイラが“若手の役者さんをあまりよく知らないから、本当は今売れてるめっちゃ旬な人たち”なのかもしれないけど…そこまでのビッグネームがキャスティングされていなかったのも、見てみようという後押しにはなった。監督さんも…商業映画デビューということで、オイラはよく存じ上げない人でした。

翌日に卒業式を控えた、山梨県のとある高校…式の準備のため、3年生たちも続々と登校してくる。校舎は移転が予定されており、今回の卒業生が、この校舎で卒業を迎える最後の生徒たちだ。料理部の山城まなみは、恋人・瞬への複雑な気持ちを抱えていた。そんな彼女が卒業生代表の答辞を担当することに…。バスケ部の後藤由貴は、進学で離れ離れになる恋人・寺田賢介とギクシャク、軽音部の神田杏子は同じ部の森崎剛士に中学の頃から片思い…そして、3年間クラスになじめなかった作田詩織は、思い出の図書室で教師・坂口と対話するが…。

卒業式の前日と当日の2日間…卒業生を中心とした、複数の生徒たちが繰り広げる青春群像。直ぐに読書に逃げてしまうコミュ症の女の子、異なる地区の学校に進学することでカレシとギクシャクする女の子、卒業式で答辞を読む役に選ばれた女の子、卒業式の後に行われる発表会の仕切りを任されている軽音部部長の女の子…それぞれの話はそこまで深く絡むことはなかったけど、適度にニアミスなんかもして…卒業の瞬間までを描く。まったく気づいてなかったんだけど…なんか「桐島、部活やめるってよ」みたいだなと思ったら、同じ原作者だったのね。

編集、構成の巧さなんかもあり…中盤で明かされる、ある女生徒が抱える“悩み、事情”はすっかり騙されたね。他の女生徒が、“一歩前に踏み出そうとする決意”を…その女生徒の行動から貰ったと告白したり、別の視点でも“何か事件があったらしい”という匂わせの会話なんかもあって、いったい何があったのか気にはなってたんだけど…ネタバらしのちょっと前くらいになるまで、完璧に油断してた。さすがに、あの直前あたりは…“もしかして、そういうこと？”って、やられたなって気分でいっぱいだった。そういう仕掛けがある映画だとまったく思わなかったよ。

逆に…軽音部で起きるトラブルの真相は、まぁ、だいたい予想通りだったかな…でも、選曲には驚かされたね。それにしても…たぶん、描かれているのは今、原作があるので何年か前が舞台なのかもしれないが、少なくても、そこまで昔の話じゃない現代（当たり前のようにスマホを持ってたし…20年、30年前の話ではないはずだ）の若者だけど、アラフィフおじさんのオイラから見ても、そこまで変わってない、やっぱり高校生は高校生だなみたいな妙な安心感も味わえる作品だったな。オジサンになると“最近の若いヤツら”という言葉を使いがちだが…間違ってた。

意外と…あの卒業式前の独特な空気感、自分が経験したものと違ってない。いや…おじさんにもあるんですよ、片思いの女子にあの時、コクっておけば、もしかしたら今とは違った未来があったかもしれないという、キラキラとした思い出が（笑…どうせコクっても、玉砕して、もっと悲惨な未来になっていた可能性が大）。そういう懐かしい気分に浸らしてくれた。あの校舎がなくなるって気持ちも解るなぁ…オイラの母校は、最近になってだけど、近所の別の学校と統合され、母校の方が使われなくなったらしい…その話を聞いて、ちょっと寂しい気分になったもんなぁ。
 

監督：中川駿

出演：河合優実　小野莉奈　小宮山莉渚　中井友望　窪塚愛流　佐藤緋美　宇佐卓真　藤原季節

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