先週の読書:「共謀捜査」「東京輪舞」「凍結事案捜査班 時の呪縛」 | 勝手に映画紹介!?

先週の読書:「共謀捜査」「東京輪舞」「凍結事案捜査班 時の呪縛」

 

今月はまだ1度も映画館へ行けてない…上旬は母親の検査入院もあってバタバタしてたし、その後は、見たい作品がなかったり。そういえば…ちょうど母親の検査入院があったころに、お隣の市にあるイオンシネマで、007のリバイバル上映の第2弾(他の劇場は昨年の11月頃にやっていた)が実施されてたんだけど、1日1回の夜とかしかなかったので、結局…ひとつも見に行けなかった。第1弾の時は、もう少しスケジュールがちゃんと組まれていて、なんとか「女王陛下の007」は見に行けたんだけどな。ああ、「リビングデイライツ」をスクリーンで見たかった。

 

一応、今週末は「マダム・ウェブ」を地元のシネプレックスに見に行く予定なのだが…マーベル作品なのにスクリーン小さいし、初回の上映開始時間も早めだし、なんか天候も悪いみたいな予報なので、わざわざ祝日に見に行かないで、来週…連休が明けてからゆっくり見にいくかもしれないな。でもな、新作をぜんぜん見てないので、早く行きたい気持ちもあり…大いに悩んでいる。えーと、今日は久しぶりに読書ネタを更新、前回の記事アップから1か月以上経ってしまった。一応、母親の検査入院も無事に済み、余裕ができたので、ボチボチと読書を再開したよ。

 

そんなわけで1冊目…堂場瞬一の「共謀捜査」、●●捜査シリーズの6作目にして完結編。フランスで起きた日本人警察官僚拉致事件と、日本で起きた元神奈川県警刑事の殺しが、最初は別件として同時進行で描かれていくが…シリーズ過去作の色々なしがらみも関わって、最終的に繋がる感じの作品。2冊目は月村了衛の「東京輪舞」…警官人生の多くを公安に捧げた主人公が、昭和、平成の実在する事件にその都度関わっており、さらにそれらの事件の背後にはソ連・ロシアの女スパイの暗躍も絡んでいて…という、虚実入り混じった警察ミステリー。

 

3冊目は麻見和史の「凍結事案捜査班 時の呪縛」…数十年前の未解決の小学生殺人事件、いわゆるコールドケースを専門の部署の刑事たちが調べる話なのだが、それと並行して…主人公の中年刑事が妻の死に直面し、仕事と向き合うことで悲しみを乗り越えようとする姿も描かれる。どの作品も読みごたえはあったんだけど、やっぱり印象に残ったのは麻見和史かな?自分は独身だけど、奥さんを亡くした主人公刑事と年齢も近く、ちょうど病気の母親に置き換えることで、より感情移入してしまった。久々の推しの1冊は「凍結事案捜査班 時の呪縛」です!

 

 

 

2020年12月発行の堂場瞬一著「共謀捜査」…巻末のあとがきで、著者本人は“シリーズものではない”と否定してたけど(正式には兄弟編みたいな括りになってる)、「検証捜査」から始まる”捜査シリーズ”の6作目にして、一応の完結編となるそうだ。今までも「検証捜査」で寄せ集められた刑事たちの1人がメイン主人公として扱われ、他のメンバーがその都度サポートするスタイルで展開されてきたが…今回は前作の「凍結捜査」同様、紅一点の保井凛がメインで活躍。一方、シリーズで一番出番が多い警視庁の神谷吾郎も同格くらいの扱われ方をする。

 

実はフランスのICPOに出向中だった凛が、同じくICPOに出向中、現在は直属の上司にあたる「検証捜査」の時の仲間、警察庁のキャリア官僚・永井の誘拐事件を捜査することになる。実際はICPOに捜査権限はないんだけど、地元警察と連携をとりながら、特例で現場にも出向いていく。日本にいる神谷の方は、永井の誘拐を知らされながらも…別件で検察庁からの特命が下り、やはり再招集された「検証捜査」の時のメンバー(1人は既に定年退職してるが、結果的に非公式で協力関係を築く)と…再び他県系の不祥事に端を発する殺人事件の捜査を行う。

 

最初は、まったくバラバラの話だったが…どこでどうなったか、最後は話が一つにまとまり、神谷たちも海外へと飛び出し、ちょっとえ~なところもあるけど、どんでん返しもあったりする。堂場瞬一の警察小説で、日本人の登場人物が、海外で活躍する作品は…意外と自分の中で“当たり”が多いんだよな。著者が海外ミステリーにも造詣が深いので、ハードボイルド調のものも多かったりして、面白かったんだけど…今回はそこまでではなかったかな?そうだな、今回は海外ドラマの「クロッシング・ライン~ヨーロッパ特別捜査チーム~」の雰囲気に似てたかも?

 

一応、捜査シリーズ(だから著者は違うと言ってるだろ)の集大成的な部分も含んでおり、「検証捜査」で問題になった神奈川県警の不祥事が再び関連してきたり(神谷たちが特命で動くスタイルも似ていて、意外と原点回帰な面もあったのかも)、かと思えば…他の作品で対峙したロシアンマフィアも絡んできてと…読むまですっかり忘れていたようなネタや登場人物も多かったですね。今回の結末を踏まえた続編だって、まだまだいけそうだと思うんだけど…あとがきで、著者本人が完結だって言い切ってたからな…。シリーズが終わってたの知らなかった(汗)

 

 

 

2021年4月発行の月村了衛著「東京輪舞」…2018年にハードカバー単行本で出たものの文庫版。現役総理大臣時代の田中角栄を襲撃者から守った(正確に田中邸への侵入者を阻止した)警察官が主人公…後に公安へと異動となり、警察人生の多くを公安の仕事に捧げることになる。昭和、平成で起きた様々な実在事件にも時には深く、ときn関わっていたという…虚実入り混じった物語となっており、事件の多くに、旧ソ連・ロシアの女スパイの関与もあったというお話。主人公はロッキード事件関連の捜査をしている時に、初めてこの女スパイに接触…。

 

以降、ソ連崩壊、オウム事件、阪神淡路大震災、警察庁長官狙撃などなど時代の節々で何度もすれ違い、時には深く交わることもあったのだが(といっても、007みたいにロマンスが生まれてしまうようなことはなく、読者はプラトニックなのを理解)…そのせいで同僚や上司から疑いの目で見られてしまうこともあり、主人公の警察人生にも影響していくと。いつの時代も金に汚く、国民を置いてきぼりにする無能な政治家への批判…正義感だけでは、とても組織、国、世界には太刀打ちできないという厳しい現実と虚しさが強く伝わってくる作品だったな…。

 

さすがにロッキードは物心がつく前だし、COCOMの時はまだ小学生だからね、歴史の一つとしてあとから得た知識だったり、そんなこともあったなぁ程度の記憶で読んでたけど…オウムの捜査がメインとなる中盤あたりからは、当時の空気感なんかも思い出しながら、よりリアリティを感じながら話にのめりこんだな。ディズニーランド目当てに不法入国した金正男。そこばかり注目されちゃったけど、確かに…当時の政府が舵取りを失敗してなければ、北朝鮮との関りも、まったく別なものになっていたはずという“かもしれない”を考えずにはいられなかった。

 

 

 

2023年8月発行の麻見和史著「凍結事案捜査班 時の呪縛」…文庫書下ろしよる警察小説新シリーズとのこと。妻に先立たれ、仕事のやる気をなくした中年刑事が、コールドケース専門部署に配属され、捜査と向き合うことで、徐々に、前向きになっていく。部署自体が“掃き溜め”的に揶揄されることも多く…実際に他の同僚たちも訳ありで一癖ありそうな感じなことろは堂場瞬一の“警視庁追跡捜査係シリーズ”、被害者家族への思いやりが前面に出てきたりするところは、やはり堂場瞬一の“警視庁犯罪被害者支援課シリーズ”に、なんとなく似ている感じ…。

 

その両方を足して二で割ったみたいな作品だなって思ったんだけど、主人公たちが向き合うコールドケース事案の被害者の耳が損壊されていたりと、猟奇的な要素があったりするのは、やはり麻見作品らしいなとも思う。講談社ノベルスの“警視庁捜査一課十一係シリーズ”のように登場人物の一覧こそついていないものの、ちゃんと物語の中で自然と触れ合っている相手の中に“真犯人”がまぎれていて、それなりに驚きもあるという…推理小説としてのフェアなところも同様だ。作中の刑事が、真犯人にたどり着いた時の、お馴染みの思わせぶりな文章がいい。

 

また事件捜査と並行して、妻の死を乗り越えようとする中年主人公の葛藤も克明につづられているのが特徴の一つなのだが、これは実際に著者が奥さんを病気で亡くしているのが大きく影響してのことなのだろう。主人公の心情が著者と大いにダブる。きっと著者も、小説と向き合うことで、日常を取り戻そうと必死になっていたに違いない…そんな風に感じながら読み進める。自宅で看病し、看取った亡き妻に思いを馳せる中年主人公…年齢は近いが独身の自分なんかは、病気療養している高齢の母親に置き換えて、色々と将来のことを考えてしまったよ…。






 

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