WOLF -殺人鬼の狂宴-(2023年) | 勝手に映画紹介!?

WOLF -殺人鬼の狂宴-(2023年)

 

海外ドラマのミニシリーズを一挙放送するWOWOWのWOWOWプレミアで「WOLF -殺人鬼の狂宴-」がオンエアされたんだけど…録画予約し忘れる。予告を見た時から気になっていたのだが…。仕方がないので、オンデマンドのアーカイブ配信で全6話を視聴…面白かったら、3月12日に予定されているリピートをエアチェックしようかなと。原作はモー・ヘイダーという英国人作家のミステリー小説だそうで…日本でも「虎狼 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)」のタイトルで翻訳済みだが未読。ちなみに原作のAmazonの評価だと★3.0と、そこまで評価は高くない。

 

最近、ロンドンに戻って来た刑事のジャック・キャフェリーは、幼い頃に兄が失踪…そのせいで亡き両親とも関係がギクシャクし、今でも事件の真相を一人で追いかけていた。かねてから容疑者は隣人の小児性愛者アイヴァンと信じているのだが、証拠がなく手詰まりだ。ある日、情報を求め、ある人物と接触するが…。一方、オリヴァー、マチルダ夫妻と娘ルシア…アンカー・フェラーズ一家は、久しぶりにモンマスシャーの屋敷に帰宅。その直後…ハニーとモリナと名乗る刑事が来訪。近くで殺人事件が起きたという。実は5年前にも猟奇事件が発生しており…。

 

※感想内で全6話のうち…序盤のネタバレを記述しますので、気になる方はご注意ください

 

幼い頃に兄の失踪を経験している黒人刑事が主人公…いまだ事件は未解決、兄は死体すら発見されていなかった。事件発生当時から、犯人は隣人の小児性愛者と言われてきたのだが、証拠がなく、そのままずっと野放し。しかし主人公はそれを信じていて…その隣人を監視するために、地方の警察に勤務してたけど、実家のあるロンドンに戻って来たのだ。どうやら両親が他界し、実家を相続したようだ。でもって…付き合い始めの彼女がいるんだけど、この彼女からは、“事件=兄のことを忘れろ”としつこく言われ続け、そのせいで関係がギクシャクしてる。

 

失踪当時そのままになっている兄の部屋とかを、彼女が勝手に掃除しちゃったり…確かにやり過ぎ感ある。急に彼女面して、こっちのテリトリーに土足で踏み込んでくるデリカシーのない女だなと。でもね、それには理由があって…彼女は大病を経験した過去があり、なんと再発の可能性が出てきたのだ。だからこそ“いなくなった兄より私を見て=結婚考えてのサイン”だったわけ…さすがにそれで、ヨリが戻りかけるんだけど、なんと“病気の再発はウソだった”と判明…怒った主人公は、友達が招待されているパーティー中に、みんなの前で別れ話を切り出す。

 

確かに…彼女の態度はかなり“重たい”、イラっとする…オイラもこんな女は願い下げだ。でも、大病を経験してるのは本当のことであり、主人公を好いてる気持ちが行きすぎちゃったという面も少なからずあり、そんな相手を人前でなじり倒す主人公も人としてどうなのよと…仮にもお前は刑事だろと。なんか、初っ端からすげー人間ドラマを見させられる。ちなみに、兄の事件は最後まで尾を引くんだけど…彼女との関係は、途中で、ちょっとだけ話に関わる程度で、きれいさっぱり忘れ去られる。っていうか、話が進むと…捜査のために別の女とヤリまくる主人公。

 

失踪した兄の呪縛から逃れられないと、一見、繊細に見えるけど…わりと鬼畜な部分も持ち合わせてるんだよな。そして物語は…問題を起こして、上司から停職をくらった主人公が、がっつり兄の事件と向き合おうとしはじめたところで、今回の本筋の事件にぶつかるんだ。それは主人公と彼女の揉め事と同時進行して描かれていた…ある一家に降り注いだ災難だ。夫と妻、年頃の娘が1人という構成の金持ち一家が…都会から、実家の屋敷がある田舎町に戻ってくる。しかし、庭に“動物の臓器”が放置されるなど、不可解な悪戯をされていて、困惑し、怯える…。

 

その悪戯は、5年前に近所で起きた猟奇殺人を想起させるものだった。その直後…2人組の刑事が来訪し、近くで殺人事件が起きたと警告。一家は…5年前の事件の犯人が釈放され、再び犯行を始めたのではないかと憤り、刑事たちは避難を促すんだけど…さらに異変が!車のキーがなくなり、外部とも連絡ができない!まずい、本当に殺人鬼が跋扈してるんじゃないか?はい、ここで序盤の最初の大きなネタバレなんですけど…事件を報せに来た2人の刑事が、なんと偽刑事でして…いきなり態度を豹変。一家を屋敷の中に監禁し、拷問を始めてしまうのだ!

 

うぉっ?こいつらが犯人だったのか!?っていうか…どの事件の犯人なのよと、とにかく物語の混迷が始まる。この「ファニー・ゲーム」みたいな監禁事件が進行する中で、“こういう事件が起きているらしい”という情報だけを、兄の失踪を調べていた主人公がたまたま知ってしまう。そして兄の事件の情報収集にやって来た場所、一家が巻き込まれた事件が進行している場所というのが、ロンドンに来る前に主人公が勤務していた土地。どうやら進行中の“監禁事件”には、解決済みの“5年前の猟奇殺人”が関わっていると…古巣を巻き込み、真相究明に奔走。

 

主人公刑事の捜査の方は、わりとシリアストーンで、色々と過去が紐解かれていくんだけど、監禁事件の方は2人組の男の言動がおかしくなり、不条理コメディのような雰囲気もあったり。こいつらの正体、目的もとにかくミステリアスであり、そもそも監禁されている被害者一家にも何かありそうだ。そして主人公が紐解いていく過去の方でも、胡散臭い連中がいっぱい出てきて、何度も何度も壁にぶち当たる。5年前の事件を調べる過程で…“当時の若者が「スクリーム」に影響を受けていた”なんていうのも、謎の2人組の存在があるから、これ見よがしな話題。

 

本当に6話で終わるのかな?って心配になるほど…クライマックスまで大風呂敷を広げ続け、二転、三転の驚き、誰が生き残るかなサバイバル感も味わえる。ただし…主人公の兄の失踪に関しては、全てを解き明かさないまま終了となってしまい、かなり不満が残った。原作小説がどうやらシリーズものらしく、もともと“引っ張るネタ”なんだと思われる。もしかしたら、投げっぱなしな今カノとの関係も続きがあるのかもしれないよね。現段階で、ドラマの作り手側(英国BBCのドラマ)からは続編に関する情報はまだ出ていないみたいだが…可能性はなくはないと思う。

 

主人公の黒人刑事を演じていたウクウェリ・ローチは…「ブラインドスポット タトゥーの女」にレギュラーで出ていたらしい、あまり覚えてないのだが、そういえば、こんな顔の人がいたような気もする。どちらかというと…2人組監禁犯の片割れ、偽刑事モリナを演じていた役者さんの方に見覚えがあり…ドラマを見ながらスマホでフィルモグラフィを調べたらマーベルのドラマ作品「インヒューマンズ」に出ていたよ。そう、マーベル作品に出るくらい有名な役者さんなら、チョイ役で終わるはずないよなという…メタ的な論法で、色々と推理を巡らせたのであった(笑)

 

 

監督:クリストファー・ニーホルム リー・ヘイブン=ジョーンズ

出演:ウクウェリ・ローチ  サッシャ・ダーワン イヴァン・リオン ジュリエット・スティーヴンソン アネス・エルウィ

 

 

【原作小説はこちら】

虎狼 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

虎狼 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)






 

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