ペインテッド・デザート タフ劇場版(1994年) | 勝手に映画紹介!?

ペインテッド・デザート タフ劇場版(1994年)

ペインテッド・デザート タフ劇場版 [DVD]

 

「ヘルドッグス」の初放送に合わせたWOWOWの原田眞人監督特集で「タフ」シリーズの一挙放送…Vシネ版、劇場版を合わせた全6作を完走!存在自体は知っていたが、シリーズに触れるのは今回が初めてだった。一部、違う監督のものが混じっていたり、前半と後半ではだいぶ作風、毛色も変わり…5作目なんかはちょっと肩透かしな総集編だったりで、作品によっては落差もあったけど、トータルでVシネ版はけっこう楽しめた。そして、いよいよ最終作となる、オールアメリカロケが売りの「ペインテッド・デザート タフ劇場版」ということで、期待して挑むが…。

 

砂漠の中にポツンとたたずむ一軒のカフェ…日系女性サリ・ハタノがオーナーを務めていた。そしてサリは、車椅子に乗る白人女性バーバラの介護もしていた。店の近くには大きな牧場があり、最近になってマフィアのボス、ヴィターリが部下を引き連れやって来て、身を隠すようになっていた。やがてヴィターリのボディガードの1人、アルが店の常連となり…何かとサリを気にかけるようになる。そんなある日、サリは…砂漠で倒れていた日本人・ジローを見つけ、店で介抱。意識を取り戻したジローは、そのまま店に住み込み、シェフとして働きだすのだが…。

 

Vシネ版の主人公・次郎…木村一八が同じ役で登場するも、どちらかというと脇役に回り、カフェオーナーの日系人女性と、ギャングの部下(ボディガード)のオッサンの“老いらくの恋”的人間ドラマを中心に物語は描かれる。やたらツンケンしてる日系人のオバチャンに、ギャングのオッサンがフレンドリーに接してくる。粗雑な同僚たちの振舞を窘め、時にはオバチャンが一緒に住んでいる病人の介護まで手伝い、ゆくゆくは飲食店を開きたいと引退後の夢を語る。直ぐにどうこうしてやろうという露骨さがあるわけではないが、最初からなんとなく下心は見え隠れ。

 

なんか、こうやって見ると…数年前にイーストウッド御大が撮った「クライ・マッチョ」を彷彿とさせるような気がしないでもないが、これを今から30年も前、まだ40代だった原田眞人が撮っていることが、凄いなと感心する。ただ、しかし…イーストウッド御大の映画ほど、エンタメとしての面白さが感じられない…若い世代には伝わらなそうな地味さだ。前半などは、ギャングの手下どもが…アメリカンジョークを語り合って、大笑いしてるようなシーンが垂れ流されたりするんだけど、タランティーノ映画のセリフのまくしたてのような小気味よさもあまり感じられなかった。

 

そしてVシネ版「タフ」シリーズの主人公、次郎ことジローも途中から物語に絡みだすも…建前上は、フラリと流れ着いた謎の料理人ってことになってるけど、Vシネ版を続けて見てきていると、どうせマフィアの命を狙うヒットマンで、料理人のフリして、ボスに近づこうという魂胆なんだろうっていうのが一目瞭然なわけで、日本料理といいながら、やたらアートな創作料理ばっか作ってる木村一八に、“早く本性を現して、本当の仕事をしろよ!”って言葉を投げかけたくなった。せっかくアメリカロケしてるのに…Vシネ版1作目よりもショボイ、銃撃戦で拍子抜けだ。

 

殺し屋・次郎もVシネ版では…銃に拘って仕事をしていたのに、あえてその方法を捨てるのよね。フラリと現れた青年が、現地民と打ち解けて、仕事の機会を探るあたりは…地味になった日活映画、渡り鳥とか流れ者シリーズみたいなんだけど、最後は現代版の仕事人、仕掛人みたいな展開やったなと。原田眞人作品を続けて見ていて、作中でトイレとか排泄にやたら拘ってるなっていうのを今さらながらに気づいたんだけど…本作でも、身体が不自由な白人のおばあちゃんが“おもらし”するシーンを描いてましたね。キャストが思いのほか有名人ばかりで驚く。

 

 

監督:原田眞人

出演:ノブ・マッカーシー ジェームズ・ギャモン 木村一八 アーヴィン・カーシュナー ヴィンセント・シアヴェリ

 

 

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