タフ ＰＡＲＴⅣ 血の収穫篇（１９９１年）
「ヘルドッグス」の初放送に合わせたＷＯＷＯＷの原田眞人監督特集で「タフ」シリーズの一挙放送…連日、1作ずつ放送されているので追いかけている。劇場版も含めて（最後の1作以外はVシネ）全部で6作あるけど…あっという間に折り返し地点も過ぎ、本日鑑賞したのはシリーズ4作目となる「タフ PART IV-血の収穫篇-」です。先に目を通したＷＯＷＯＷの解説によると…次の5作目はシリーズの名場面＋新規映像による番外編的な作品になるそうで、劇場版もどうやら独立した話なので…実質、Vシネ版シリーズのクライマックスといった感がある作品。
殺し屋の次郎は、ゆきという女性エージェントと契約を結ぶのだが…引き換えに、5人の同業者の抹殺を命じられる。4人までは素性がわかっている相手であり、無事に次郎は仕事をやり遂げていたが、残りの1人については…ゆきにも正体がわかっていなかった。そこではゆきは、自身を囮にすることを提案。闇の組織と接触したゆきは、謎の殺し屋に…自分を襲わせる契約を結ぶ。次郎は、ゆきを尾行しながら警護…5番目の殺し屋が近づいてくるのを待ち構える。ゆきは、わざと隙をつくるため…カーフェリーに乗船し、ボーイフレンドとの密会を楽しむが…。
本格的に殺し屋業を始めた木村一八が、新しいエージェント根岸季衣からの交換条件、正式に契約を結ぶかわりに“同業者を5人ぶっ殺せ”という指示を実行中で…3作目では先に素性が判明していた4人の殺し屋を仕留めたところまでが描かれていた。そして…残りの1人の正体が不明でして、そこで根岸季衣が考え出した作戦が、自分を囮にするという方法だった。殺し屋組織に“自分の命を狙うよう”にと依頼…そうすれば残りの1人が、必ず根岸季衣を殺しに来るはず、その時に、殺し屋の一八が…先に“正体不明の殺し屋”を排除すればいいじゃないかと。
根岸季衣は…命を狙われる“ヤリマンばばぁ”に成りすまし、さっそくボーイフレンドとのカーフェリーデートを実行！しかし、ボディガード兼敵の殺し屋を排除する役目を担っているはずの一八がどこにもいない…何やってんだ、やべぇ、姿を現した敵殺し屋がすぐそこまで迫ってるじゃん…な展開に！とにかく、敵を誘き出すため…根岸季衣が尾行されるシーンがやたらと長い。でもね、映り込んだ人が時々カメラ目線になり、エキストラじゃないのがわかり、どうやらゲリラ撮影っぽいなと理解してからは、色々な意味で急に緊張感が増し、映像に引き込まれた。
地下鉄表参道駅から半蔵門線に乗り、青山一丁目で下車…銀座線に乗り換え外苑前に移動。今度はタクシーで、どこぞの公園に向かって、中をうろつき…次のカットでは東急電鉄の川崎・宮前台駅に現れる。そこから再びタクシー移動…敵を迎え撃つために選んだ木更津行きフェリーに乗船するために、川崎ターミナルに向かう。なんか、当時の東京とその近郊の空気感もバンバン伝わってきて、妙なノスタルジーも味わえたんだよ。途中、不審な尾行者が、一般人に痴漢と間違えられるも、その相手をぶち殺すなんてシーンがあり、展開的にも意外と面白い。
一見、ダラダラとしたシーンを長々と見せせられた気もしたんだけど…気がつくと、二転、三転する、すっかり騙されてしまった驚きの展開もあり！そして…作戦通り、一八と根岸季衣の計画は一区切りがついたんだけど、今までの一連の“殺し”を経て、逆恨みなんかもされてしまい、今度は一八たちが別の殺し屋に狙われるんだ。この後半パートが、なんだ、忘れてなかったのかな、1～2作目で、ちょっと投げっぱなしだった複数のネタの回収にもなっていて、これまた驚かされた。ここでその”しがらみ”を持ってくるかと。さらに、1作目の冒頭にも繋がるのね…。
アクション映画として一番派手で面白かったのは、1作目だと思うんだけど…作風がガラリと変わった3～4作目、特に…この4作目は、より渋さも増して良かった。90年代の映画（Vシネだけど）を見ているという気分に浸れたし。でもあれだ、やっぱり何かあるとトイレがキーポイントになることが多く、前作を見て掲げた“原田眞人のトイレフェチ説”の信憑性が増すのだった（笑）昨年話題になったトイレ掃除のあの映画…ヴェンダースじゃなくて、原田眞人が撮るべきだったんじゃないか？根岸季衣がギャル風喋り口調で放つ“バイニーオ●ニー”のセリフに爆笑！
監督：原田眞人
出演：木村一八 根岸季衣 矢島健一 ベンガル 長谷川公彦 岩波多香子 小川真司 柳ユーレイ 吉澤健
【DVDソフトの購入】
