白鍵と黒鍵の間に(2023年) | 勝手に映画紹介!?

白鍵と黒鍵の間に(2023年)


「白鍵と黒鍵の間に」DVD(特典なし) [DVD]

 

アニメ映画「BLUE GIANT」の初放送に合わせた、WOWOWのジャズ映画特集でエアチェックしておいた「白鍵と黒鍵の間に」を鑑賞…昭和63年の銀座を舞台に、キャバレーで働くピアニスト志望(またはクラブで働くジャズピアニスト)の主人公が珍騒動に巻き込まれる、ちょっと不条理なドラマなのだが…原作は実在するジャズピアニストの方が書いた回想録なのだそうだ。「シン・仮面ライダー」で本郷猛を演じた池松壮亮が、ピアニスト志望の冴えな若者と、それなりに経験と積んだピアニストを池松が1人2役で演じるも、両方とも作者がモデルなんだそうだ。

 

昭和63年の年末…ピアニストを夢見る若者・博は、キャバレーでピアノの伴奏をする仕事に就いていたが、理想を追求するあまり、他の歌い手やバンドメンバーと軋轢が生じてしまう。そんな時、店にいた怪しげな風体の男から「ゴッドファーザー」の“愛のテーマ”のリクエストを受けるが、何故か周囲から猛反対される!その曲は…銀座界隈を仕切る大物・熊野のお気に入りで、彼が寵愛するピアニストの南だけが、演奏することを許可されていた特別な曲だった!そうとも知らずに“愛のテーマ”を弾こうとした博は、その後、大変なトラブルに巻き込まれる!

 

作品の規模なんかはぜんぜん異なるものの、昭和60年代のバブリーな銀座の喧騒の様子などは、1920年代のハリウッドの光と闇を描いたデイミアン・チャゼル監督の「バビロン」をどこか彷彿とさせる。現代の感覚で見ちゃうと、あの時代そのものが“夢物語”だったんじゃないだろうかと思えてくる…。「ゴッドファーザー」の“愛のテーマ”を弾いちゃいけないという暗黙のルール…てっきり、執拗にリクエストしてくるヤクザものの森田剛あたりが、その曲を聴くと豹変しちゃうような展開なのかと想像していたが、さすがにそこまで漫画チックな設定ではなかったのね。

 

後に、銀座を牛耳るドン・松尾貴史のお気に入り曲だったことが判明、そしてドンのお気に入りのピアニストしか弾くことができないんだけど、そのピアニストが、最初に出てきた冴えない若者と瓜二つの池松壮亮。この映画の中では、同じ時間に存在しているけど…きっとモデルになった作者の表と裏、使用前・使用後(ってなんだよ)みたいな関係性なんだろう。どこまでが現実でどこまでが夢なのか…理屈で考え始めると頭がこんがらがってくるけど…夢見ていた世界にも厳しい現実があるってことを、ああいう幻想的な展開で描いてたんだろうと、なんとなく納得。

 

作り手が言いたいことを全てを理解できてるのかというと、正直、そこまでの自信はないんだけど…こういう作品、けっこう好きです。普通に、個性的な役者陣の演技を見ているだけでも面白かったもん。男性陣はみんな強烈なキャラクターが多かったけど、スーツをバッチり決めた仲里依紗がビジュアル的には“一番男前”に感じるカッコよさ。どちらの池松壮亮にとっても、ターニングポイントで現れ、渦中に引きずり込んでいく、ある意味、女神のような存在。序盤の回想シーンに出てくる、学生時代の眼鏡をかけた仲里依紗も、全く雰囲気が異なってて良かった。

 

 

監督:冨永昌敬

出演:池松壮亮 仲里依紗 森田剛 松尾貴史 高橋和也 Crystal Kay 松丸契

 

 

【DVDソフトの購入】

DVD 白鍵と黒鍵の間に(特典なし)

白鍵と黒鍵の間に」DVD(特典なし) [DVD]






 

人気blogランキング 参加中 -クリック- ご協力ください!