先週の読書:「スリープウォーカー」「殺人都市川崎」「超短編! 大どんでん返し」 | 勝手に映画紹介!?

先週の読書:「スリープウォーカー」「殺人都市川崎」「超短編! 大どんでん返し」

先週の読書:「スリープウォーカー」「殺人都市川崎」「超短編! 大どんでん返し」

 

この間まで、アマプラで有料チャンネルのお試しキャンペーン…“最初の2ヶ月間は月額99円で楽しめるキャンペーン”を実施していたので、なんとなく利用したことがなかった“dアニメストア for Prime Video”に登録してみた(もちろん2か月で解約するつもり…見るものがなきゃ1か月で解約するかも)。本家の“dアニメストア”と同じラインナップ数なのかと思いきや…微妙に少なくて、たまに“見たかった作品がないぞ”なんてことも。基本、昔(80年代、90年代)好きだったTVアニメやOVAをダラダラとながら見しようかなと、お薦めがあればたまに紹介するかも?

 

っていうか、映画も見る本数減ってるのに…なに新しい動画配信サービスに登録してるんだよ!って感じだよね。さて、読書の話…先週はなんとか3冊読了。その前の週に読み切れなかった、“エイダン・ウェイツ”シリーズ3部作の最後の1冊をなんとか読了しまして(これまた読み応えがあった)、残りの2冊はあえてすぐ読める薄目の本を選択。実際に昨日、土曜日に…イッキに2冊読了した。まぁ、薄目の本も…1冊は本当に1時間もあれば読み終わっちゃうもので、もう1冊の方は…そこそこ内容はディープなものだったけどね。では、実際に読んだタイトルを紹介。

 

1冊目は前述の通りエイダン・ウェイツシリーズの3作目「スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ」(ブログの記事タイトルでは、文字数制限のためシリーズタイトルを割愛)…インパクト大でミステリアスな事件に挑みながら主人公刑事エイダンは今回もまたドツボにハマっていく。これでシリーズ完結なのかな?って思わせるような内容、結末でもありました。2冊目は2020年2月に他界してしまった浦賀和宏の「殺人都市川崎」…とにかく出てくる登場人物たちが、“治安が悪い”とメタクソに酷評し、嘆きまくる“川崎”を舞台にした、スプラッターな内容。

 

3冊目は…ページ数も180ページくらいで、1時間もあれば読めちゃうショートショート集の「超短編! 大どんでん返し」。有名な作家さんばかりで、中には“おおっ!”って思うような作品もあるけど、もともと短編もあまり好きじゃないので、さらに短い作品だとね、なんか物足りないものも多かった。作家開拓としても、ベテラン、中堅が多いので知ってる人、読んだことがある人の方が多く…まぁ、本当に暇つぶし程度な1冊。そんなわけで今回の“推しの1冊”は問答無用に「スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ」だけど、前2作品を先に必読です。

 

 

 

2021年9月発行、ジョセフ・ノックス著「スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ」…このところ続けて読んでいた“エイダン・ウェイツ”シリーズの3作目。本来なら1~2作目の感想を書いた前回の投稿で一緒に紹介したかったけど、1週間で3冊全部を読み終わることができず、持ち越しになっていた。実は、一番最初に古本入手したのは本作だったんだけど、シリーズものは発刊順に読みたい派なので1~2作目を入手するまで手を出せずにいた。やっぱり順番通りに読んで正解…単独で先に読んでたら、きっと話がチンプンカンプンだっただろう。

 

主人公刑事のエイダンと相棒のサティは、余命少ないということで、病院に収容されることになった一家惨殺犯の警護を担当していたが…謎の襲撃犯により警護対象者が火だるまにされ、一緒にいた相棒まで重体に陥る。さらにはもう1人、別の警察官も犯人によって殺されてしまった。エイダンは新しい相棒の若い女刑事と、この事件の真相はもちろん、過去の一家惨殺事件まで遡って事件の詳細を調べることに。実は…“殺された”とされながらも、死体が見つかっていない一家の娘もいて、警察の威信にかけて、その娘の行方(死体探し)もしなければならいと。

 

メイン事件も非常にミステリアスで、インパクトが大きかったが…いつものようにドツボにハマっていくエイダン。警察組織内の足の引っ張り合いなんかが捜査に大きな影響を与え、やっぱり1作目から続いてきた家族のしがらみや、麻薬組織(のボス)との因縁もより深刻な状況になっていく。物語の後半…捜査線上にあがった関係者が一堂に会し、7~8割の真相が次々に解明していくところは、ミステリーとしての王道な面白さを感じたんだけど(いくつかの謎は見破れたものもあった)、その後も、まぁ、色々と驚きの仕掛けがあり、ハラハラドキドキとさせる…。

 

特にある方法で“ピッキング”をするところなんて、想像するだけで、とにかく痛々しすぎる、えー、そんな方法で?って驚いたよ。そしてメイン事件の残りの真相なんかも忘れず提示。過去2作からの引っ張りネタなんかもちゃんと拾い、きっと…このシリーズはこれで最後なんだろうなと思わせるような結末に。冒頭で、女性が殺し屋に殺されるという独立した話が挿入されてて、どのように本筋に繋がるんだろうと思ったら…なるほど、そこと繋がるのか。そして、この冒頭とクライマックスが対になってることで、色々と想像させるのが、読み物として非常に巧いなと…。

 

 

 

2020年5月発行の浦賀和宏著「殺人都市川崎」…2020年2月に他界してしまった著者の遺作。昨年、同じ著者の「デルタの悲劇」をやはり古本で読んでいて、その時に“もう2年も前(今からだと3年前)”に亡くなっていたことを知り驚いたもんだ。本作はこれまたインパクトのあるタイトルで浦賀和宏の遺作に相応しいなと。出てくる登場人物たちがこぞって“川崎の治安の悪さ”を嘆く…そんな“川崎”に住む中学を卒業したばかり、“武蔵小杉”に引っ越してしまった元カノに未練たらたらな不良少年が、伝説の殺人鬼と鉢合わせしてしまい、何故か執拗に命を狙われる。

 

その度に一緒にいた新しいガールフレンドや家族が事件に巻き込まれてしまうが…というのがまず一つ目の視点。もう一つ、“武蔵小杉”に引っ越してきた少女が…川崎時代の元カレや友達に思いを馳せながら、従弟と一緒に前述と同じ殺人鬼の調査、事件の真相を調べるために、“川崎”に足を踏み入れることになるという視点…それらが交互に、同時進行で進む。両方の情報から”川崎”の少年と、“武蔵小杉”の少女がどうやら元カレ、元カノの関係らしいということはわかり…2人がお互いに再会を望んでるっぽい、無事に再会することができるのだろうか?

 

なんて考えながら読み進めるわけですが、浦賀作品ではなんとなく同じみな“あの違和感”、イコールで結びつかない、なんだか話が嚙み合わない感が所々にありまして…案の定、驚きの仕掛けが!何かあるだろうというのは見抜けるけど、さすがにあんな真相までたどり着ける人は、多くはいないんじゃないか?スプラッターな展開をしながら…ミステリアスな謎にも挑むという構成は、綾辻行人の「殺人鬼」を彷彿とさせるけど、オチに関しては「殺人鬼」を遥かにしのぐ“飛び道具”。ただし、ミステリーとして美しさ、鮮やかさを感じられるのは綾辻作品の方か?

 

 

 

2021年2月発行の小学館文庫編集部(編者)による「超短編! 大どんでん返し」…総勢30名の人気実力派作家による、“大どんでん返し”をテーマにしたショートショート集。2000文字という制約があるようで、ページ数だと1作品あたり4ページほどの短い作品ばかりが収められている。とにかく内容は千差万別…ミステリーとしてけっこう直球、王道のものもあれば、変わり種まで幅広い。確かに、最後で“やられた”って思うものもあれば、オチは読めちゃったけど“綺麗に決まった”なというもの…はたまた複数回読み直してようやく理解できたものと色々あったな。

 

各作品の内容をいちいち説明するのは割愛するが…とりあえず、掲載順に作家名を羅列。“乾くるみ、蘇我部健一、似鳥鶏、米澤穂信、日明恩、田丸雅智、辻真先、井上真偽、東川篤哉、葉真中顕、法月綸太郎、呉勝浩、翔田寛、下村敦史、上田早夕里、白井智之、西澤保彦、恩田陸、深縁野分、大山誠一郎、青崎有吾、青柳碧人、伽古谷圭市、柳広司、北村薫、夏川草介、乙一、門井慶喜、曽根圭介、長岡弘樹”。ほぼ1冊以上は読んだことがる作家さんが多く…読んだことがなくても、どんな作品を書いてるか名前くらいは把握してる人ばかりだったな。

 

個人的に一番印象に残ったのは辻真先先生の「忘却とは」…最近の若者言葉を批判したり、自分の記憶力の低下を嘆いたりと、年寄りのじーさんの愚痴が延々と語られてるんだけど、オチも解りやすくて楽しめた。あと初っ端…乾くるみの「なんて素敵な握手会」なんかも、最近のアイドル事情をただ説明しているだけのようにも思えたけど、読み終わってしばらくしてからジワジワとブラックさが理解できてニヤリとしちゃった。ほか、ミステリーとして面白かったと思ったのは、日明恩、東川篤哉、法月綸太郎あたり。好みじゃなかったのは青柳碧人と門井慶喜。






 

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