先週の読書:「風よ僕らの前髪を」「銀狐は死なず」「彼女の背中を押したのは」 | 勝手に映画紹介!?

先週の読書:「風よ僕らの前髪を」「銀狐は死なず」「彼女の背中を押したのは」

 

この間“あけおめー”とかって言ってたと思ったら、早いね…GWに突入だもん。なんだ、かんだで…4月ももう終わりですなぁ。今月は、一度も映画館へ行けなかったよ。っていうか、もともと見たい作品があまりなかったのもあって…面倒になって、別にいいいやって思っちゃった。「スーパーマリオ」や「聖闘士星矢」が話題になってるのは知ってるけど…オイラ的には無理して見に行く気にならなかった。一応、5月は…「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」と「PSYCHO-PASS サイコパス」は見に行く予定、「PSYCHO-PASS サイコパス」は既にムビチケ購入済み。

 

さて、先週は…中頃まで“Apple TV+”の7日間無料トライアルを利用してて、“Apple TV+”独占配信の長編映画を中心に鑑賞していた。ネットフリックスやアマプラなんかと比べると…見たいオリジナル映画の数がそれほど多いわけでもなく、あまり課金して継続利用したいなとは思わなかったな。まぁ、いくつかドラマフォーマットの作品だと気になる作品もあったんだけど、無料期間でエピソードを全話消化できる気がせず、たとえ見終わっても続きのシーズンがありそうなので、あえて手は出さなかったよ。結局、7日で合計6本の映画をタダで視聴できましたね…。

 

GW中は…だいぶWOWOWの方のエアチェックがたまってきちゃったので、気になってるものをいくつか消化しようと思っている。そんなわけで、読書の話…先週は久々に3冊ほど読了できた。2月の母親の入院、そして退院後のサポートの関係で、どうも自分のプライベートのペース配分が、前ほどうまくできなくてね、試行錯誤してるんですけど、ようやく、無理せずに、映画鑑賞や読書の時間がとれるようになってきたかなと。また、5月末には母親の“退院後、2度目の外来診療”もあり…その結果次第で状況が変わるなけど、しばらくは今のペースを維持したいな。

 

えーと、読み終わったのはすべてブックオフで古本入手した単行本です。今回は初めて読む作家さんが2人、そして読んだことがあるけど、今回のを入れてまだ2冊目の作家さんが1人。まず1冊目は「風よ僕らの前髪を」…初めて読む作家さん。探偵事務所で働いた経験のある主人公青年が、伯父殺しの真相を探るんだけど、なんと容疑者は伯父の養子、主人公の従弟(?)とにかく家庭環境が複雑で、その従弟…本当は伯父夫婦の娘の子供なんだけど、訳あって養子になっていると。さらに調べていくと…彼の周りで色々な不審死が起きていてという感じの話。

 

2冊目の「銀狐は死なず」は…堅気になるための最後の強盗(狙ってるのはヤクザの金)を企てた犯罪者が、何者かの罠にはまり…金は盗めなかったのに、強奪犯にされ、ターゲットのヤクザ連中からは金の奪還と報復のために命を狙われてしまい、とりあえず金の在り処と罠に嵌めたヤツを探り出そうとするという…裏社会の人間たちのバトロワ的クライムサスペンス。3冊目の「彼女の背中を押したのは」も初めて読む作家さん…ビルから転落した妹が、自殺なのか、それとも故意に突き落とされたかのかを、姉が調べる話…一応、ミステリー風なんだけどね…。

 

3冊の中で、一番好みだったのは、やっぱりアクションメインだった「銀狐は死なず」…なんか全体的に深見真っぽい、深町秋生っぽいとかって印象も強いし、クライマックスが若干、雑な締め方で…続編ありそう感とかも気になるっちゃ、気になるんだけど、他の2冊よりも面白かった。「風よ僕らの前髪を」も地味ながら、ミステリーとしてはそこまで悪くはなかったんだけど…「彼女の背中を押したのは」の方は、扱ってるテーマとかが自分には合わず、全体的に辛気臭く、ちょっと苦手。今回の“推しの1冊”はドンパチ多めの、鷹樹烏介「銀狐は死なず」に決めました。

 

 

 

2021年5月発行の弥生小夜子著「風よ僕らの前髪を」…初めて読む作家さん第30回鮎川哲也賞優秀賞受賞作とのこと。ちょうど5月に受賞後初、2冊目の作品が発刊予定。探偵事務所で働いたことがある青年が、伯母からの依頼で…伯父殺しの真相を探り始める。伯母は一緒に暮らしている息子=養子=訳あって引き取った自分の娘の子供が怪しいと疑っている。かつて主人公青年も、容疑がかかっている従弟(実際は従姉の子供)の家庭教師をしたことがあるという…微妙な関係性。はたして、本当に複雑な家庭環境の従弟が事件に関与しているのか?

 

小中高時代の友人やガールフレンドといった、従弟と関わりのある人たちに聞き込みをしながら、外堀を徐々に埋めていく過程で…新たな事件が発生、さらには過去にも色々な不審な事件が起きていたことが明らかになっていく。事件を解くカギは、従弟が唯一、心を開いていたらしい親友の存在にあるんだけれども…この親友の家庭環境も複雑で、色々と関係者の不審死がつきまとっていた。正直、素人探偵が容疑者に近しい人間に聞き込みをしているだけな感じもするんだよ。事件の周りに、不幸な家庭と不審死がたくさんありすぎて、ごちゃごちゃしすぎだし。

 

主人公も思わせぶりに“過去を引きずっていたり”して、余計にややこしく感じた。ただまぁ、そこがミステリーらしいといえばらしい。本当に従弟が犯人なのか、そうじゃないのか…もし犯人だったら動機は何なのかなどといった、物語としての核心部分はそれなりに面白く読ませる。線が繋がり、“事件の全体像が解っちゃった”って思わせてからの…こんな話もありますよという畳みかけは素直に驚く。地味で暗い話ではあったし、読者の想像に委ねる部分も残ってる…探偵役の決断も思っていたよりも“煮え切らなくて”イラっとしたけど、全否定するほどじゃない。

 

 

 

2022年2月発行の鷹樹烏介著「銀狐は死なず」…この著者を読むのは、デビュー作の「ガーディアン 新宿警察署特殊事案対策課」以来となるが、前述作品の内容は、もううろ覚えだ(汗)なんか色々な作品のいいところどりな感じの作品、アクションメインで、若干、ラノベ寄りな内容…強いてあげれば深見真っぽいなって評した記憶がある。さて本作ですが、やっぱり“何かに影響を受けていそう”な感じ…深見真っぽさに今度は深町秋生テイストも加わった感じかな(笑)実際に作品名を出すのは控えるけど、映像化もされてるあの深町作品っぽい設定が入ってる。

 

ベテラン犯罪者、通称“銀狐”が、引退して堅気になるため…最後の大仕事として、ヤクザが運ぶ大金の強奪を計画するも…なぜか輸送車の中は空っぽ。ガセ情報だったのか?しかし…襲われた方のヤクザは、“銀狐”が犯人といち早く悟り、報復、現金の回収に乗り出す。さらにはヤクザ組織の内紛が絡み…現金の争奪戦も勃発。“銀狐”は金を持っていないのに、ヤクザが放った追っ手に狙われてしまう。この騒動に、師匠的存在でもあった馴染みの情報屋が巻き込まれて、命を落としてしまったことから…“銀狐”自身も、容赦なくヤクザ連中に牙をむく!

 

ひょんなことからハッキングが得意な(戸籍がなく…育ての親がどこぞの国の工作員でもある)不思議な少女と出会い、なぜか相棒に…どうにかして奪うはずだった金を探し出して、手に入れようと奮闘する。自分で前に書いた「ガーディアン 新宿警察署特殊事案対策課」の感想を読み返すと…「ニキータ」っぽい設定もあったみたいだが、こちらでは「レオン」設定が入ってるよね、絶対!やっぱり何かに影響を受けたごった煮作品であることは間違いない。ただし、マニアックな銃器描写と、導入部のテンポの良さが相まって物語にはグイグイと引き込まれた。

 

悪党たちによるバトロワ展開も悪くなかった。なにより主人公“銀狐”のパートナーになる訳あり少女の存在がいいんだよな、キャラ立ってる。主人公と対峙する強烈な敵が何組も登場し、直接対決なんかもあるんだけど…そこだけは、中途半端な勝敗で肩透かしに終わる。一応、金を盗んだ“真犯人”の正体なども判明するんだけど…続編を意識した終わり方だなという感じがしないでもない。物語の畳み方が中盤までと比べるといささか雑な印象。正直、金を盗んだ“真犯人”もなんとなく読めちゃったけどな…。現時点では、まだ続きは書かれてないみたいだ。

 

 

 

2022年2月発行の宮西真冬著「彼女の背中を押したのは」…初めて読む作家さん。帯にある“メフィスト賞作家が描く”の謳い文句に誘われる。メフィスト賞といえば、昔は本格ミステリの登竜門的なイメージもあったんだけど…最近はそういうわけでもなくて、肩透かしを食らうことも多々あり。お初なので、この作家さんがどういう書き手なのか、まったく未知数だった。内容は…まぁ、タイトルの通りといいましょうか、結婚を機に東京に出た女性主人公の妹が、“ビルから転落”したと連絡があり、実家に帰省。妹が自殺なんかするはずないと…真相究明に奔走する。

 

ちょっと帯に書いてある“あらすじ”で騙されたのが、あくまで妹は“転落”したのであって、死んだわけではないってこと。意識不明だから、真相がわからないってことなんだけど…序盤で“命に別状はない”とも断言されており、正直…殺人事件の話じゃないのかよと。でもって、自殺未遂なのか、それともなければ何者かが故意に押した事件なのか…どっちなんだろうという、一応ミステリー仕立てにはなっているものの、妹の現在や過去と対峙しながら、主人公自身や現状を見つめ直すみたいな内容の比重が大きくて、家族の確執だったりを延々と読まさせられる。

 

妹が意識不明に陥ったことで、それまで以上に家族関係がガタガタになったりするんだけど…ぶっちゃけ、自分も、ついこの間、母親の入院を機に、家族間(兄弟間)でこういう諍い、確執があったんで、そういうのを思い出しちゃって…小説でまでそんな話を読みたくないなという気持ちになった。また、妹の“転落”には職場の人間関係なんかも影響があるのではないかとなって、妹の職場であり、主人公自身もかつて勤めてた書店の内幕をリアルに描くことで、書店業界の厳しい現状を焙り出し、果ては女性の社会進出に関する問題とかを、けっこう熱く語りだす。

 

いや、言ってることは解るのよ…そうだよ、俺らみたいな頭が固くて、古臭い考えのジジイどもが、我が物顔で社会を回してるから、何も変わらないんだって。そして、愚痴を言い合って、お互いに傷をなめあってたってしょうがないよねっていう答えに行きついたりもするんだけど…作品を通じて、作者の男性社会への批判という愚痴を読まされている男性読者の気持ちも考えてくれよと。仕事や職場、男性上司に不満のある女性なんかが読めば、きっと共感できる部分もたくさんあると思うんですけど…全体的に辛気臭い話で、自分には合わなかったですね(汗)






 

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