地球外少年少女(2022年) | 勝手に映画紹介!?

地球外少年少女(2022年)

地球外少年少女 前編「地球外からの使者」劇場公開限定版 Blu-ray地球外少年少女 後編「はじまりの物語」劇場公開限定版 Blu-ray

 

再加入中のネットフリックスで…独占配信の「地球外少年少女」(全6話)をイッキ見完了!「電脳コイル」の磯光雄監督の新作ということで話題になったジュブナイルSF。この作品は、配信と同時に各3話ずつ、前後編に分割した形で劇場公開されており、その後、“地球外少年少女 前編「地球外からの使者」劇場公開限定版 Blu-ray”、“地球外少年少女 後編「はじまりの物語」劇場公開限定版 Blu-ray”として円盤化、当初は劇場での鑑賞者を対象にした販売を予定していたらしいが(最近のガンダム映画と同じ手法)、Amazonなんかでも入手可能になっている。

 

2045年の宇宙、日本製宇宙ステーション“あんしん”…人類初の月で生まれた子供の生き残りである、相模登矢と七瀬・Б・心葉は、史上最高と謳われたAI“セブン”によって設計されたインプラントが埋め込まれていたが、その不具合に直面。さらに、地球へ移住するためのリハビリも行わなければならなかった。ある日、ディーグル社の未成年宇宙体験キャンペーンに当選し、“あんしん”を訪れていた宇宙チューバーの美笹美衣奈、弟の種子島博士(両親の離婚で苗字が違う)、筑波大洋と対面をしている最中に、“あんしん”と謎の彗星が衝突事故を起こし…。
 

簡単に言うと…「電脳コイル」+「プラネテス」かなと。なるほど、ちゃんと公式サイトに「プラネテス」の原作者・幸村誠からの推薦コメントが掲載されていた。あと、アニメ手法的には、専門用語、造語的な作品ならではの固有名詞を第1話冒頭からまくしたてる情報量の多さ、世界観説明を意識した妙な独り言つぶやき、それらを把握できないまま進む怒涛のテンポ感など、富野アニメ的(振り返ってみると「電脳コイル」もそうだったけど)、強いては“Gレコ”っぽさを感じたりもしたのだが、キャラデザが“Gレコ”と同じ吉田健一さんだったかと、思わず納得してしまう。

 

全26話あった「電脳コイル」と比べると…こちらは全6話しかないので、見やすさはある。その分、キャラクターのバックボーンなど細かい部分の深掘り要素は、若干物足りなさを感じてしまうかなと。あんしんくん(主任)と呼ばれる不気味なゆるキャラの存在なんかも…本来なら、正体をもっと引っ張ってもいいと思うんだけど、わりと序盤のエピソードで種明かしをしてしまっていたりして勿体ないなと。後に判明する、陰謀を企てた“モノ”の協力者の存在なんかもわりとわかりやすく、見抜きやすかった。全6話の物語だが、イッキ見することで単発映画のような味わい。

 

宇宙ステーションでトラブルが発生、巻き込まれてしまった“少年少女”が、生存をかけたサバイバルを行うなんてあたりは…宇宙版「ポセイドン・アドベンチャー」、「デイライト」といったパニック映画風だった。携帯電話やVR技術的なものを当時の近未来的世界観に融合させて見せたのが「電脳コイル」だったが、今回はそれがスマホになり、ネット配信になりといった…まさに「電脳コイル」を一歩進めた進化系の世界観といった印象。でも、そういう技術を駆使して子供同士がバトってみたり、テクノロジー自体が都市伝説っぽかったり、お約束的に同じこともやってる。
 

セリフの中で“ネットの噂…”なんて飛び出し、思わず、「電脳コイル」でエピソード毎の導入部に入る、主人公のモノローグが頭をよぎったりしたよね。配信に命を懸け、何よりもフォロワーの数が大事な今風少女を“バカチューバー”と何度も蔑み、世相を皮肉るセンスがやっぱりいい。最初こそ、男性主人公・登矢の言動に「電脳コイル」のダイチっぽさを感じたのだが、あの物語一番のトラブルメーカーぶりを見ていて、本当のダイチポジは、宇宙チューバー・美衣奈の方だったかと思いなおした。とにかく美衣奈の馬鹿っぷり…破壊力がハンパなくて素敵でしたね。

 

通信障害に陥ることで、様々な事柄に影響が波及していくという描写を見ていて、この前の“auの事故”をダブらせる。他にも、“アレ(作品見た人ならわかると思うけど、見てない人にはネタバレせずにどうやって説明したらよいやら)”が浸食していく様などは…ウィルス感染を可視化しているような不気味さも感じる。一見して、見た目や描き方はフィクショナルなんだけど…現実への問題提起がしっかり盛り込まれている。子供向けに見えたりして、実際に子供が見ても楽しい画(え)作りをしてると思うが、SFならではの読み解いていく面白さは大人でも楽しめる。

 

地球や人類を救うために、その地球や人類を破壊しようとするという本末転倒な行為に…やっぱりガンダム(隕石を落とすシャア)っぽさを感じたのはオイラだけか?ああ、そうだ…よく喋るドローン(AI)の描写は、本作よりもちょっと先にテレビ放送された「Vivy -Fluorite Eye's Song-」と被り気味なところがあったね。どうしても今描く“本格的なSFアニメ”ではああいう表現になってしまうのだろうなと…「Vivy -Fluorite Eye's Song-」も、かなり秀作なガチSFアニメなので、見てない方はぜひ、お薦めです。ラストにプロローグ的なものもあり、しっかり見終わった感。

 

活発な主人公男子の声を女性声優が違和感なく演じているという、お約束も、より良質なアニメを見ているなと実感できる部分かと。女性声優は似たような萌え声だけじゃない…登矢役の藤原夏海という女性声優さんのことは、あまりよく知らなかったんだけど…田中真弓や松本梨香、朴璐美あたりのベテランを彷彿とさせる、確かな演技力だ。毎回エンディングで流れる主題歌“Oarana”が、エンディングというより…オープニング(オープニングは主題歌やクレジットなし)の方が似合いそうな独特な曲調だが、あれのおかげで、続けて見ちゃおうという気にさせられる。

 

 

監督:磯光雄

出演:藤原夏海 和氣あず未 小野賢章 赤崎千夏 小林由美子 伊瀬茉莉也 川島得愛 斉藤茂一 花輪英司

 

 

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地球外少年少女 前編「地球外からの使者」劇場公開限定版 Blu-ray

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