先週の読書:「火曜新聞クラブ 泉杜毬見台の探偵」「夏の王国で目覚めない」「夏至のウルフ」 | 勝手に映画紹介!?

先週の読書:「火曜新聞クラブ 泉杜毬見台の探偵」「夏の王国で目覚めない」「夏至のウルフ」

 

相変わらずコロナ関連のニュースで憂鬱なところに持ってきて、ロシアによるウクライナへの侵攻が現実に…そして気がつけば、もうすぐ2月も終わりじゃないかと。ついこの間、正月じゃなかったっけ?今年もこのままあっという間に過ぎそうだけど、コロナにさえ罹らなければ、とりあえずいいやと思うことにした。ここまできたら、何が何でも罹りたくないな(っていうか、1回や2回、無症状や軽症で本当は罹ったことがあるんじゃないかって思うよね)…ワクチンだって3回目を早よ打ちたいけど、高齢のオカンが打った以外は、兄もオイラもまだ接種券は届いていない。

 

あー、先週は25日(金)に「富野由悠季の世界 ~Film works entrusted to the future~」のブルーレイ(もちろん早期予約特典の「【オープニング記念トーク】富野由悠季とは何者なのか?」付き)が届いてるけど、まだ見てない、開封もしていない。商品と特典ディスク…合計3枚合わせて、けっこうな収録時間ですよ。ネットの仕様で確認すると本編ディスク203分、特典ディスク235分、早期特典ディスク120分…全部足すと558分、どひゃー約9時間?情報あってる?計算あってる?どうやって見るんだよ、ただでさえドラマや映画のエアチェックがたまってるのに!

 

これは事件だ…今日から少しずつ消化していこうと思ってます。そんなわけで、いつもの読書の報告に移ります。先週もまた3冊どまり…いや、本当は金曜日まで“1冊しか読んでなかった”んだけど、冊数を稼ぐために、土曜日に頑張って2冊消化したという。今回はいつものようにブックオフの古本110円に加え、1冊は電子書籍です。ソニーの電子書籍“Reader Store”で50%OFFクーポンを入手、さらにキャンペーンで元から30%引きになっている中に読みたい作品があったので、両方の割引が適用され、682円の本が238円で購入できたという、超ラッキー♪

 

1冊目は「火曜新聞クラブ 泉杜毬見台の探偵」という、キャラミス、学園ミステリ…高校新聞部の部員と、もう1人謎の少年(部員と同年代だが、同じ高校の生徒ではない部外者)が校内で起きた殺人事件の真相に迫る。2冊目の「夏の王国で目覚めない」は…ある作家のファンサイトで知り合った人たちが、奇妙なミステリーツアーに参加するも、そこで“事件”が起きてしまう!狙ったわけではないんだけど、この2冊はどちらも早川書房(ハヤカワ文庫)の作品…キャラで読ませつつも、どちらも根底にあるのは“本格ミステリ”だなっていう共通項があった気がする。

 

3冊目が前述の通り…電子書籍で購入したばかり(発刊は2021年だけど)の「夏至のウルフ」…最近読み始めた柏木伸介という作家さんの警察小説で、共通したキャラクターが登場する短編集。柏木伸介先生は、前に読んだ作品の感想をアップした時に、Twitterにご本人が反応してくださってね、めっちゃ恐縮してしまった。だからって、別に忖度するつもりじゃないけど(笑)…今週の推しの1冊はやっぱり「夏至のウルフ」かな?実際に読みやすかったし、面白かったし…先週読んだ3冊の中で唯一の警察小説だったしね。今なら“Reader Store”で安くなってます。

 

 

 

2018年11月発行の階知彦著「火曜新聞クラブ 泉杜毬見台の探偵」…文庫書下ろしだそうです。この作者は前に1冊だけ「シャーベット・ゲーム オレンジ色の研究」という作品を読んだことがる。幼少期の経験からフィクションが苦手になってしまった(というか、嘘をつくこと、つかれることが嫌いになってしまった)女子高生が、高校に入学してから知り合った友人と一緒に新聞部を新たに立ち上げるも(中学時代も新聞部)、開始早々に、学校内で起きた殺人事件に巻き込まれる。やがて、校外で出会った聡明な謎の少年が、抜群の推理力で事件の真相を看破する。

 

表紙は“そこまで萌えな感じではない”もののアニメ絵っぽいし、裏表紙書かれている説明によると、どうやらジャンル的には“キャラミス”に該当するということだったのだが、なんだかんだで中身は古風、王道な本格ミステリーのスタイル。個性的な名探偵に、密室トリック、アリバイ証明などなど。フィクション嫌いになってしまった狂言回し的ヒロインの生い立ちにも迫りつつ、最後の最後に伏線回収とどんでん返し!一番の謎である、探偵役の少年の正体はひとまず保留にしておいて…続編だってイケる隙間も残している(現段階では続編はまだない)。

 

そういえば、前述の「シャーベット・ゲーム オレンジ色の研究」も、ベタなりにけっこう面白かった記憶がある。何気にもう1人のキーパーソンである顧問の女教師なんかの設定や人間関係もちょっと盛り過ぎなところもあるけど…最近のキャラミスは、いわゆる日常系も増えてきて、ミステリーなのに、人が殺されなかったりすることも多く、不謹慎な表現だけど、ミステリーはやっぱり殺人事件が起きてなんぼだと思った。少しくらいご都合主義があっても、それが味ってもんだよな。ライトな感じもするけど普通に面白く読めた。実は表紙イラストの絵柄も好み。

 

 

 

2018年8月発行の彩坂美月著「夏の王国で目覚めない」…この間、「サクラオト」っていうこの著者の作品をはじめて読み、けっこう面白かったので…他の作品を読んでみたいと思っていたところ、なんと積読本の中から本書を発見!ブックオフの値札シールが“110円”ではなく“108円”だったので、かなり前に入手していたはず…それなのに今までずっとスルーしてしまっていた。たぶん、タイトルをパっと見た時に、“間違えてファンタジー小説で買っちゃったかな?”と錯覚し、ぜんぜん手に取っていなかったんだと思うが、ちゃんと本書も本格ミステリーであった。

 

家庭の悩みを抱えている女子高生が、出入りしている“お気に入り作家”のファンサイトを介し、奇妙なミステリーツアー(オフ会兼推理ゲーム)に参加…決して本名を名乗ってはならず、主催者側に指定された設定や行動に沿って即興芝居を演じなければならないのだが、なんとそのツアー最中に本当の“事件”が起きてしまう!さらに主催者の策略により、そのツアー(ゲーム)を途中で降りることもできない。さぁ、どうする…無事に生き残って、日常に戻れるのか?ハンドルネームしかわからない連中と、更に“即興芝居を演じる”という劇中劇的に物語が進行。

 

その物語の事件と現実で起きている事件を解決しなければならないという、とにかくややこしい設定があり、さらには物語的には主人公が抱えている問題も解決しなければいけないという、なかなかの大風呂敷。ただし…ハンドルネームしか知らない、推理劇の役名しか使っちゃいけないという“縛り”も…本格好きとしては、ちょっと懐かしさもある“定番”として、素直に受け入れられてしまったりもする。文庫は2018年発行と今から3~4年前のものなんだけど、もともとは2011年に発表されていた作品とのことで、重要になるネットコミュニティの描写も今読むと古臭い。

 

本作では掲示板の書き込みだけど…今だったらTwitterやLINE、その他のSNSで表現されただろう…そのあたりも作品自体の“いい意味での古風さ”に拍車をかけた。走行中の列車内からの“人間消失”“殺人事件の発生”、最後は怪しげな別荘で真犯人と対峙…とか、“ツボ”はけっこうおさえてて、個人的には“いいな”って思ってたんどけど…最終的なオチ、終わらせ方が“綺麗にオシャレに終わらせよう”、そこまで含めてどんでん返しだみたいなところで、肩透かし、拍子抜け。技巧的には先に読んでいた「サクラオト」の方がミステリとしての円熟味を感じた。

 

 

 

2021年12月発行、柏木伸介著「夏至のウルフ」…ソニーの電子書籍“Reader Store”で使える50%OFFクーポンを入手、この書籍はもともとキャンペーンで30%OFFになっており、そこからの50%OFF…最終的に238円で購入できた。この作者は、最近になって読みだした…「ドッグデイズ 警部補 剣崎恭弥」「バッドルーザー 警部補 剣崎恭弥」というシリーズものの警察小説が面白かったので、他の作品も読みたいと思っていたところだった。本作は松山のショカツ警察署で“ウルフ”とあだ名されるエース刑事が様々な難事件に挑む短編集…表題作ほか5編。

 

バツイチであり、普段はその時に付き合っているカノジョか、ピンク映画専門の映画館を根城にするという不良中年なのだが、ひとたび“狩りモード”と呼ばれるゾーンに入ると、瞬く間に真相を見抜き、事件を解決に導く。まずは、デリヘル嬢殺しを、同格、同年代の女刑事(通称ゴリ子…でも主人公曰く、容姿は美人の部類)と共に捜査する表題作「夏至のウルフ」…キャラ紹介的な意味合いもありつつ、さりげなく後半エピソードの伏線もあったり。続く「酒涙雨の夜」は県庁長寿介護課に何故か“強盗”が入り、親睦会費の残が盗まれるという奇妙な事件が発生。

 

それでも歴とした強盗なのでしっかりと捜査をしなければならず、ついでに被害に遭った県庁職員の1人がゴリ子の元カレだったりもするのだが…いつもは男勝りのゴリ子の“女の一面”が覗ける。平凡な主婦が通り魔に襲われ、スーパーで食用に購入した泥鰌が盗まれる「燕と泥鰌」は…主人公の後輩の若手刑事が手柄を立てようと躍起になり、地元有力者の息子(もともと評判が悪く確かに怪しい)を犯人と決めつけて追い回すが…。田舎町のキャンプ場で続発する“ソロキャンプ客”を狙った強盗傷害事件に主人公たちが応援に駆け付ける「満月の町」。

 

キャリア署長の勇み足に現場が混乱するも、ウルフが本領を発揮する。これは犯人がちょっと分かりやすかったな。ラストは、いつもの主人公ウルフが脇に回る形で、同僚の若手刑事が別の署の刑事と合同の特別捜査本部で逃走中の連続殺人犯を追う「初雪の宴」…事件の真相も含め展開の意外性もあり、語り口としては他と比べると異色なんだけど、結局はウルフの“いつもの能力”がピカイチで冴えわたるエピソードでもあった。愛媛県が舞台ということで…登場人物の多くが方言を喋り、最初は会話の読み辛さもちょっとあった。次はぜひ長編が読みたい。






 

人気blogランキング 参加中 -クリック- ご協力ください!