ナイル殺人事件(2022年) | 勝手に映画紹介!?

ナイル殺人事件(2022年)

ナイル殺人事件

 

【鑑賞日:2022年2月25日】

 

公開初日の「ナイル殺人事件」をシネプレックスの会員デーで見てきた…これまたコロナでだいぶ待たされた映画の1つ。映画サイトによっては製作年の表記が2020年になってるところもあり、本来ならその頃公開されるはずだったのだろう。一方で、製作年=本国公開年での表記になってるケースも多く、オイラの場合、迷った時は映画データベースサイトの“IMDb”準拠とするようにしている…そんなわけで“IMDb”調べでは2022年でした。えーと本作は2017年公開、クリスティ原作の古典を再映像化したケネス・ブラナー版「オリエント急行殺人事件」の続編です。

 

親の遺産を継いだ富豪の娘リネットは、親友ジャクリーンから恋人のサイモン・ドイルを紹介されるのだが…その6週間後、エジプトのナイルで結婚式を挙げていたのはリネットとサイモンだった!一方、私立探偵のポワロはエジプト旅行中に親友ブークと再会。ブークは母親のユーフェミアとリネットの結婚式に出席することになっており、ポワロも同席することになった。やがて式場にサイモンの元恋人ジャクリーンが現れたことで混乱が生じる。リネットとサイモンは招待客と共に、新婚旅行を兼ね、クルーズ船に乗り込むが、招待客の中にも彼女を怨む人間が!

 

原作は未読だがピーター・ユスティノフが名探偵ポワロを演じた1978年の映画版は過去に鑑賞経験あり。前作、ブラナー版の「オリエント急行殺人事件」は、有名どころじゃない作品のリメイクだっただけに、ストーリーやミステリー的なオチなんかに関しては、それこそアルバート・フィニーがポワロを演じた1974年版「オリエント急行殺人事件」とそう大差もなく、むしろ現代の豪華キャストと、“世界の車窓から”感たっぷりな美しい風景映像を、劇場の大きなスクリーンで堪能するのが一番の醍醐味だったよね。今回はだいぶアプローチの仕方が違うなという印象も。

 

冒頭、若き日のポワロが戦場でも…名推理を披露して、周囲から称賛される姿が紐解かれる。同時に、“犯人は見抜けても、決して悲劇を食い止めれるわけではない”という名探偵の宿命が既に提示されており…トレードマークの口髭に関わる、“そんな理由があったの?”という真実まで描いて見せる。78年版にこんな話はなかった。そんなわけで…ポアロ自身の心情も、やたらと掘り下げていくのが本作の見所。それがいいかどうかは、原作ファンとオイラのような“俄か”では感じ方も変わってくるだろう…オイラは78年版とだいぶ違うなと思いながら見ていた。

 

大まかなストーリーに関しては、そこまで大きな変化はないものの…登場人物同士の関係性とかは、78年版よりも丁寧でわかりやすく感じる。わりと人種なんかも変更を加えているので…78年版だと、正直、“似たようなオバサンキャラがいっぱいで、誰が誰だかわからなくなる”こともあったりしったが…その辺の差別化はしっかりしているなという。最近の映画で主流、流行りになっているといっても過言じゃない“多様性”という表現、テーマが本作でも大きく影響していて、“その設定いる?そしてそれをポワロがこれ見よがしに暴く必要がある?”って思う箇所も。

 

あとは…前作、ブラナー版「オリエント急行殺人事件」に登場したポアロの親友ブークが再登場…てっきり78年版映画でデヴィッド・ニーヴンが演じたレイス大佐のような“ナイス相棒”ポジかと思いきや、別の役割もあって…そのあたりの変化球は、素直に違いと驚きを楽しめる部分かなと。バンバン人が死ぬ割りに、コミカルな部分もあった78年版に比べると…見終わった後は、妙に重たい感じがした(劇場の中もまるでお通夜かお葬式かってくらいドヨ~ンとしてた)。それは独自の変更点だったり、ポアロに関する新解釈だったりが大きく影響している部分だと思う。

 

富豪の娘役のガル・ガドットは相変わらずお美しく…そんな神聖な場所で“おっ始めよう”とするから命を狙われるんじゃいというビッチなエロさも兼ね備えなかなかです。“真犯人”に関しては…そこは作り手も隠す必要がないっていうのを割り切ってるのか、演じている役者さん(たち←サラリと重要)の、やりすぎなくらい胡散臭い芝居が、見事にハマって、オチを知ってる人ほど楽しめるのかもしれない。そこ、そんなに丁寧に“見せたら”、万が一いるかもしれない原作未読者、旧作未鑑賞者の観客に“例のトリック”がバレちゃうだろという、妙なヒヤヒヤも味わう。

 

ああ、大きな違いがもう1点…78年版だと、ポアロと容疑者たちが対峙した時に、ポワロの指摘した“可能性”も映像で表現され(真相っ違ってもポワロの想像がそのまま映像化される)、メインキャストの多くが犯行を犯すシーンなんかを演じてたんだけど、本作はセリフと、その時の役者同士のやり取りだけで、見せてました。こういうところも、やっぱり…無理に観客を惑わせようという気持ちが薄いってことの現れなんじゃないかな?犯人当て、トリック当てなんかよりも、人間関係のドロドロしたところをもっとよく見てくれっていう、監督の演出意図なのかしらね?

「オリエント急行殺人事件」よりもオールスター感は薄れたし(自分は字幕版で見たけど、吹替版は声優陣のオールスター感がある)、時世的なものもあるのか、俳優陣が演技をしているシーンはエジプトで撮ってない感、セットや合成です感を強く感じるなって思っちゃったけど(コロナ禍の今であるからこそ、風光明媚な現地ロケシーンを味わいたかった)…クルーズ船に乗船以降は、そのあたりの違和感もだいぶ軽減しはじめ、本来の物語の面白さに集中できた。やっぱりブラナー版「オリエント急行殺人事件」と78年版「ナイル殺人事件」は見といた方が楽しめる。

 

 

監督:ケネス・ブラナー

出演:ケネス・ブラナー ガル・ガドット アーミー・ハマー エマ・マッキー トム・ベイトマン アネット・ベニング

 

 

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