先週の読書:「地獄の犬たち」「邪神の天秤 警視庁公安分析班」「偽神の審判 警視庁公安分析班」 | 勝手に映画紹介!?

先週の読書:「地獄の犬たち」「邪神の天秤 警視庁公安分析班」「偽神の審判 警視庁公安分析班」

 

早いもので、2021年もあと1週間をきった…来週の今ごろは、もう年を越しちゃってるんだな。もともと、読書量が減ってたんだけど、特に今年は5月の後半から、半年近くに渡って、読書らしい読書をしてこなくて、11月以降、読書のペースを取り戻そうとがむしゃらに色々と読みまくって猛チャージを図ったんですけど、さすがにここ数年で、一番読書量が少ない1年となった。読書量は減ったんだけど、ブックオフに行く回数も減ってた(緊急事態宣言とかあったし)ので、意外と積読本は増えてない。増えてなかったけど、最近はまた、ちょっと本が積み重なってきたか?

 

残り数日でラストスパート、年内にあと何冊くらい読めるか?どれだけ積読を消化できるか?そんなわけで…先週は3冊の小説を読み終わった。映画見に行ったり、やっぱりこの時期だといつも以上にネットで配信の特番を見ちゃったりしてるからね…読書に割く時間にも影響してくる。今回は“ちょっと意識的に狙った”部分もあるんだけど…来年、2022年に映画やドラマで映像化が予定されている作品をあえてチョイス。まず1冊目は深町秋生センセイの「地獄の犬たち」…もう文庫で出てるんだけど、オイラが持っていたのはかなり昔に古本で購入したハードカバー。

 

映画化のニュースを知って、“早く読んでおこう”と思って、長らく積読にあったものを引っ張り出す。そして、後から思いだしたんだけど、実は、電子書籍でも入手していたのを思い出した…どっかの電子書籍サイトで割引になってる時に買ってあったんだけど忘れてたよ。ちなみに、時と場合によっちゃ(割引セールをやってる時やクーポンを貰った時)電子書籍も利用するけど、基本…紙の本の方が好き。映画は岡田准一主演(オイラ的には微妙)、原田眞人監督(こっちも微妙だな)で2022年の秋公開予定…岡田准一以外の配役はまだ未発表みたいだよね。

 

2冊目と3冊目は麻見和史の「邪神の天秤」と「偽神の審判」…こちらはWOWOWで来年の2月からドラマがスタート予定。著者の代表シリーズである“警視庁捜査一課十一係シリーズのスピンオフ的な新シリーズで、捜査一課十一係にいた鷹野秀昭警部補が、公安に異動になり、新たな仲間と事件に挑む。鷹野警部補が公安に異動する設定は、ドラマ版の「蝶の力学」(十一係シリーズ)に出てきた設定であり、当初は著者自身もドラマだけの設定だと公言してたんだけど、結局…ドラマの方の設定を原作シリーズに取り入れることになったみたいですね。

 

ドラマを見る前に原作を読んでおきたかったので、2作目「邪神の天秤」はAmazonで新品をポチり、3作目「偽神の審判」はブックオフの古本520円で購入…珍しく100円(税込110円)の古本じゃないという(笑)オイラにしては奮発したでしょ?いや、できれば両方とも、安い古本探したかった、待ちたかったけどね…ドラマがなければ、もうちょっと我慢したと思う。年末だから1年のご褒美だよ(笑)今週の推しの1冊は、読み応えって点で考えると深町センセイの「地獄の犬たち」だな。ちなみに文庫タイトルは「ヘルドッグス 地獄の犬たち」、映画タイトルは「ヘルドッグス」。

 

 

 

2017年9月発行の深町秋生著「地獄の犬たち」…2020年7月に「ヘルドッグス 地獄の犬たち」と改題され、既に文庫化されている。けっこう前に入手してたんだけど、ずっと積読だった(実は、電子書籍版も持ってたけど、買ったの忘れてた)。先日、本作の映画化が発表された(個人的には監督と主演が微妙で不安なのだが)のを機に思いだして、読んでみた。帯とか、あらすじに書いてあるので、ここでも書いちゃうけど…武闘派ヤクザに潜入した警視庁の警官、潜入捜査官の話。簡単に言うと、めっちゃハードで、リアルで、バイオレンスな“土竜の唄”って感じの話。

 

冒頭、めっちゃヤクザな仕事をこなした後に…一転して、実は潜入捜査官なんだよねっていうバラしが入るので、終始、ヤクザになり切ってる主人公の大変さが、読んでる側としては緊張感を高めてくれて面白く読める。ただ、他の深町作品に比べると、主人公以外の脇役キャラ(特に極道関係者)を深掘りしてて、全体的なテンポは緩めかなという印象も。でも、途中で明かされる“警察側の最終目的”などの設定、展開がわかることで…もしかして正体バレてるんじゃね?とか、このままヤクザな世界に堕ちるんじゃね?なんて想像もでき、最後まで引っ張る。

 

主人公以外の極道関係者たちがとにかくキャラが濃い(主人公を潜入に抜擢した組織犯罪対策部特別捜査隊の“隊長”もヤクザに劣らぬ個性の強さ)…映画の主人公役は発表されているが、それ以外のキャストの情報がまだあまり出ていないようなので、このキャラ誰が演じるんだろ?など想像、予想しながら(自分はVシネ系の役者さんなんかを色々当てはめていた)も読めて、そのあたりも楽しかったな。個人的には潜入中の主人公の極道側の相棒で、周囲からサイコパスと認知されている“キラー”室岡秀喜がお気に入り、どんな人が演じるのか楽しみだ。

 

 

 

2021年3月発行の麻見和史著「邪神の天秤 警視庁公安分析班」…来年、WOWOWでドラマ放送が決定。著者の代表シリーズである“警視庁捜査一課十一係シリーズのスピンオフ的な新シリーズで、十一係で主人公・如月塔子の指導係を務めていた鷹野秀昭警部補が、公安に異動になり、新たな仲間と事件に挑む。ドラマが始まる前に原作を読みたいなと思っていたんだけど、なかなか古本で見つけられず、なぜかシリーズ2作目の「偽神の審判」を先に古本で入手してしまい、思い切ってAmazonで今年の3月に出ていた「邪神の天秤」の新品をポチった。

 

実は先日、早くも文庫が発刊されたんだけど(ドラマ放送との兼ね合いで文庫化がいつもより早いのだろう)…これまでの十一係シリーズ、そして先に入手した「偽神の審判」とサイズを揃えたかったので、あえて新書で。“警視庁捜査一課十一係”の方の最新刊である「賢者の棘」では、特に鷹野の公安への移動については触れられていなかったんだけど、本書の冒頭では既に異動済みになっていた。シリーズを追いかけてきたファン目線では”昔の仲間への別れの挨拶”くらいあっても良かったのになと思う一方で、安易に如月を出さない著者の心情も察したいなと。

 

鷹野の公安異動後、初の事件は…ビルの爆破事件と同時に、近くで起きていた政治家の惨殺事件!もちろん両方の事件に関連があると睨み、公安は動く…そして公安とは別に殺人事件の捜査として十一係も動いてるらしく、十一係時代の上司である早瀬係長が登場するも、ほぼほぼバッティングはしない。部署が違うので、今までとは捜査の手法もまったく違い、作品の印象もだいぶ異なるように感じる。今までは主人公を指導する立場にいた鷹野自身が主人公となり、それでいて慣れない公安で周りの同僚たちから“ひよっこ”扱いされる姿が新鮮で面白い。

 

ただし、持ち前のマイペースさで、生粋の公安刑事たちを自分の領分に引きずり込もうとしており、そのあたりがシリーズを重ねていく上での読みどころになりそうな予感。また、後半では同じようにシリーズを通じて強敵になるような“人物”の存在も明らかになる。“十一係”シリーズの方でのお約束でもあった、ミステリーらしい謎解きや意外な真犯人という要素は一応残っていたが、今までに比べると、とってつけた感が否めなく、若干、弱いかなという印象もある。シリーズものとしては充分に面白いので、古本入手済みの「偽神の審判」も続けて読むことに…。

 

 

 

2021年5月発行の麻見和史著「偽神の審判 警視庁公安分析班」…いつもながらブックオフの古本入手だが、奮発して税込み520円で購入(近所のブックオフ、昔は新書がオール250円の時期もあったんだけど、今は値段の付け方が変わった)。こっちを先に見つけてしまったので、なかなか古本入手できなかった「邪神の天秤」を新品で購入する羽目に。現在は未文庫化だが、来年2022年1月に文庫化予定…やっぱりドラマ放送との兼ね合いで1年経たずに文庫になる模様。そんなわけで新シリーズの2作目ですが、完全に1作目「邪神の天秤」の続きの内容。

 

一応、前作では犯人が捕まって事件に一区切りがついたものの、長年公安部が追っていた謎の殺し屋”葬儀屋”とは別人だった、どうやら実行犯の背後に、黒幕として“葬儀屋”が関与しているのではないかという推測の元、引き続き一連の事件の背景に迫っていき、新たな事件も起きるという感じ。タイトルこそ違うが、同じ作品の前編後編、上下巻みたいな扱い…2つの作品で1つの事件と考えて構わないと思う。なんとなく、前作だけだと物足りなさもあった。WOWOWの情報を確認すると、どうやらドラマ版の方もワンセットで両方映像化するみたいだ。

 

公安に異動後も、刑事部時代の経験を活かし、失敗と成功を繰り返しながら、段々と能力を発揮し始めた鷹野だが、やっぱりまだ公安の捜査での甘さや青さが目立ち、読んでいてイライラ。っていうか、シレっと“お前が犯人だったか”な驚き展開を演出してるので騙されそうになるが…鷹野が“ちゃんと相手の身元を調べておけよ”なだけの話だったような気がしないでもない。そこ、気になったんですよ…公安の仕事として、いくら鷹野が新人(公安として)だとはいえ、杜撰すぎるぞって。あの辺の違和感で…既に“コイツ怪しい”って真犯人の目星をつけていた。

 

ただ、前述の通り“お前が犯人だったか!”展開を含み…犯人がトチ狂った思想の持ち主だったり、麻見和史のミステリーとしては、わりと原点回帰(十一係シリーズ)っぽい雰囲気もあり、犯人逮捕に目星をつけてからの、まだオマケの展開があるのかな感じとか、読み物としてはそれなりに面白い。この物語の中では“コロナウィルス”は蔓延していないものの、現実の状況を反映させたようなネタを盛り込み…ちょっとトム・クルーズの某スパイ映画の何本目かみたい(言わなくてもわかっちゃうな)なクライマックスだなぁなんて思いながら、ページをめくっていた。






 

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