女囚さそり 殺人予告（１９９１年）
U-NEXTのリトライキャンペーン（リトライは2回目、計3度目の31日間無料トライアル）で「女囚さそり 殺人予告」を鑑賞…前に見ていた梶芽衣子姐さんのオリジナルシリーズ、今回のリトライキャンペーンで鑑賞した2つのリブートとは、またちょっと毛色が違い、東映が十数年ぶりにシリーズを復活させたというＶシネなんですね。主演は岡本夏生…若い人は“ふかわりょうとのいざこざ”しか知らんかもしれんけど、当時はわりと人気があった人。今まで同様、アマプラでも配信はあるが、有料または別途、オプションチャンネル“JUNK FILM by TOEI”への加入が必要。
男たちに乱暴された挙句、コンクリ詰めにされた“女”は、なんとかドラム缶の中から這い出ることができ、たまたま通りかかった男に助けられる。しかし、その男はヤクザであり…“女”はそのヤクザの恋人になりながら、殺しのテクニックを学び、後に専属の殺し屋となった！ある日、ヤクザの元へ県会議員の郷田武がやって来て仕事を依頼される。“女”に刑務所へ入り、そこである人物を殺してほしいと。実は、“さそり”と呼ばれた伝説の女囚人・松島ナミが刑務所の地下に幽閉されており、刑務所の元所長だった郷田はそれが明るみになったら困るのだという…。
コンクリ詰めにされそうになりながら、ドラム缶からなんとか脱出した女がさ迷い歩く冒頭（ホラーみたい）…そこからホームレス姿の岡本夏生のカットに変わる。どうやら、岡本夏生が過去を回想しているシーンだったようで、後に…岡本夏生が、ヤクザに拾われて、女殺し屋になるまでの経緯が説明されることで、冒頭の意味が理解できるという寸法。ということで、ホームレスに変装した岡本夏生が、鮮やかに人を殺し、バイクに乗って颯爽とその場から立ち去るというオープニングのアクションで、女が殺しを生業にしている、女殺し屋だというのが判明すると…。
殺し屋“ナツキ”は、ヤクザの寺田豊に雇われてまして、実は“いい関係”でもある。殺し屋“ナツキ”は、そのヤクザの専属の殺し屋だった。そこに偉い県会議員の先生から依頼が舞い込む…殺し屋“ナツキ”に、刑務所へ入ってもらって、女囚たちの間で伝説の人物として“神格化”されている“さそり”こと松島ナミを暗殺してほしいと。最初は渋る殺し屋“ナツキ”だったが、断るに断れなく、とんとん拍子で刑務所への収監まで進む。そこで雑居房に入れられた殺し屋“ナツキ”は、あえて他の囚人とトラブルを起こすことで独房に入れられ、暗殺の機会をつくるが…。
まぁ、案の定…“さそりシリーズ”らしい謀略が張り巡らされていて、殺し屋“ナツキ”はまんまと騙され、刑務所内で酷い目に遭うことになる。そこからなんとか脱出し、自分をハメた男たちへの復讐だという…これまたお馴染みの展開になっていくわけだけど、“主人公の岡本夏生＝松島ナミ”ではないというのが、なかなか大胆なアレンジである新要素。じゃあ、本当の“さそり、松島ナミ”はどこにいるのか？という部分でも、段階を追ったどんでん返しが用意されており、劇中でなかなか本名を明かさない主人公が正式に“さそり”を襲名するお膳立てにもなっている。
梶芽衣子姐さんだったり、その後を継いだ多岐川裕美姐さん、夏樹陽子姐さんの作品ともだいぶ雰囲気が違うし、最初は“所詮Vシネだろ、岡本夏生だろ？”って、正直オイラもナメてたんだけど…これはこれで、なかなか面白い。獄中では、女囚人・岡本夏生（レースクィーン）VS看守・ダンプ松本（女子プロレスラー）のタイマンなんていう異種格闘技戦（笑）なんかも拝めたり。冒頭、コンクリでドロドロのヒロインがさ迷い歩く姿は、それこそ貞子みたいだったけど、復讐シーンで刃物を振りかざし、男どもを追い回す“ナツキ”の姿は口裂け女のようでマジ怖い。
旧シリーズにはなかった、ホラー色もあって迫力満点なんだけど…県会議員をぶっ殺す復讐シーンの舞台は、「新・女囚さそり 特殊房Ｘ」でも触れた、なぜか“横浜ドリームランド”という、拘りの“お約束”でして…それが、周りにいる“まばらの一般入園者の姿”と相まって、なんともシュールで、より不気味さを演出。ちなみに県会議員の名前は郷田武…ゴウダタケシ。字が違うけど「ドラえもん」のジャイアン（剛田武）と一緒。岡本夏生がカバーした主題歌“怨み節”も思いのほかかっこよく、今ごろ欲しいと思ったが、CDは入手困難、今のところ配信も行っていない。
監督：池田敏春
出演：岡本夏生 西川峰子 宮下順子 網浜直子 ダンプ松本 水島裕子 寺田農
【Amazonでも有料配信中】
女囚さそり 殺人予告 U-NEXT
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