雲のように風のように(1990年) | 勝手に映画紹介!?

雲のように風のように(1990年)

雲のように風のように

 

昨晩、BS12(トゥエルビ)で放送されたアニメ作品「雲のように風のように」をエアチェックしておいたのでさっそく鑑賞…これは今から約30年前に、日本テレビ系列でスペシャルアニメとして放送された作品なんだけど、何がすごいって、やっぱり作画のクオリティだろうな。ジブリ作品の多くにメインスタッフとして参加している近藤勝也さんがキャラクターデザインと作画監督を担当…今見ても、画(え)がバンバン動きまくってて、最近のCGアニメなんかでは味わえない爽快さだ。話は一見、中国の史劇っぽいけど、架空のファンタジー…中華風“大奥”みたいな感じ?

 

素乾国皇帝が急逝し、宮廷は新たな皇帝の擁立と、それに伴う宦官や官吏の権力争いが勃発していた。そんな中、新皇帝の妃候補探しが始まり、地方のとある県に住む天真爛漫な少女・銀河が、宦官・真野の目に留まった。銀河は皇帝の妃になれば“三食昼寝付き”という話に惹かれて、自ら志願してきたのだ。都に上ることになった銀河…都では同じような妃候補と一緒に、大学で知識を身につけなければならなかった。セシャーミン、江葉といった個性的なライバルや、謎の美女コリューンと出会う銀河…やがて銀河は、正妃の座を見事射止めるが…。

 

30年前、アニオタ全盛期だったオイラも…一応、リアルタイムで見てはいるんだけど、正直、当時のオイラが好き好む内容ではなかったですね。だから、記憶の片隅に、こういう作品を見たというのは残ってたけど、話の内容も忘れちゃってたし、今さらDVDなんかで見返そうとは思ってもいなかったんだけど…そこは無料BSでタダで見れるとなれば話は変わってくるわけで、30年前のアニメ作品が、テレビ放送で見れるというのも、このご時世では珍しいことなので、エアチェック魂が揺さぶられまして、アナウンスがあった1か月前から放送を楽しみにしていた。

 

そんなわけで、本当に30年ぶりくらいの再鑑賞だったんだけど…前述の通り、近藤さんがキャラデと作監を担当しているので、ジブリ作品と見まがってしまうんだけど、実際のアニメ制作は“スタジオぴえろ”なんで、動きのあるモブキャラとか、ときどき「うる星やつら」とか「御先祖様万々歳」とか、どこか押井アニメみたいになってるところもある(笑)メインのアニメーターさんは、ジブリ系の人と、ぴえろ系の人が混在している感じだったかな?他にも「電脳コイル」の監督の磯光雄さんとか、“エヴァ”の鶴巻さんとか…今でも一線で活躍されている方が多数参加してた。

 

ストーリーは急逝した皇帝の後継者とされる、新皇帝の妃候補が、各地から集められ…皇帝の妃になれば“三食昼寝付きの楽な生活ができる”という庶民の与太を、すっかり信じ込んだ馬鹿な田舎娘が、実際に妃候補に名乗り出て、その他大勢と一緒に…妃になるための教育を受けるんだけど、後継を巡る宮中の陰謀とか、そんな宮廷に対する不満を抱いた庶民たちの反乱が起き、主人公も翻弄されていく。オイラ的にはある人物が呟いた“皇帝になるには、器量が必要”という言葉が印象に残った。これからの日本のトップに立つ人間にもよーく当てはまる。

 

放送前に…昔の作品なので“不適切な表現がある”という説明テロップも入った通り、確かに…今の世の中だと、女性蔑視だとか、セクハラ、パワハラととられかねない表現も無きにしも非ず、中学校の時に受けた保健体育の授業のようなこっ恥ずかしさを思い出したりもする場面もあったのだが、活発で、天真爛漫な主人公の影響もあって、そこまで気にはならなかった。全体的にコミカルな作風ではあるものの、時に性的なものや、人の生き死にをにおわせ、そしてさりげなくだが、そういったものを逃げずに描くことで、しっかりと最後で胸を打たれる仕掛けだ。

 

本作を見ていて、ジャンルこそまったく異なるものの…日本の戦争をたくましくいきた女性の姿を描いた「この世界の片隅に」あたりにも通じる、アニメーションとしての良作だなって、あらためて思った。本編が約80分しかないので、わりとダイジェストっぽいところもあるんですけど…キャラクターの魅力だったり、作画力だったりで、そういうものを感じさせない、むしろ心地よいテンポの良さになっていたかな?監督は、押井守の師匠としてアニメファンに知られている鳥海永行さん。こう見ると、押井さんとは、ぜんぜん作風が違う…「ダロス」がああなったのも必然か?

 

主人公の声をあててるのが当時はアイドル、今は武豊の嫁、佐野量子…エンディングで流れる主題歌も担当しているのだが、これがなかなかの名曲。思わず、配信でやってないかとAmazonとか探してしまったんだけど見つからない。CDで入手するしかないんだけど、もちろんだけど現在は廃盤…この楽曲が収録されているアルバムなどはプレミアがついて、軒並み高額になっている始末。きっと、昨日の放送を見た人の多くは、オイラと同じような行動をしたに違いない(笑)仕方がないので、録画した放送のエンディングを繰り返し聴いてました(泣)

 

今まで見直してこなかったオイラが言うのもなんですけど、アニメ史的に見ても、けっこうすごい作品ですよ。アニメ放送を得意とするBS11ではなく、BS12での放送ってことで…見逃してしまった人も多いのではないだろうか?あと、昨日はあいにくの大雨で、BS放送の受信に影響が出てしまった人も少なくないんじゃない?幸い、オイラは無事に全編録画できたんですけど…その後、WOWOWで放送したスコット・アドキンスの「デンジャラス・チェイス」が雨による受信障害で録画できず…今のところリピート予定もなく、ショックを受けている。雨なんか嫌いだ!

 

 

監督:鳥海永行

出演:佐野量子 市川笑也 井上瑤 麻上洋子 高畑淳子 田村錦人 小林昭二 京田尚子 三ツ矢雄二

 

 

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