Ｔｈｅ Ｃｒｏｓｓｉｎｇ－ザ・クロッシング－ＰａｒｔＩ（２０１４年）
ＷＯＷＯＷでジョン・ウー御大のスペクタクル大作2部作「The Crossing－ザ・クロッシング－」の一挙放送があったのでエアチェックし、さっそく「The Crossing－ザ・クロッシング－PartI」から鑑賞する。チャン・ツィイー、金城武などアジアのスターがこぞって出演、日本からは長澤まさみ、黒木瞳なども参加している。PratⅠが2014年、PratⅡが2015年に製作されているが…両方とも日本で公開されたのは2019年6月のことだった。DVDやブルーレイのパッケージソフトはⅠ&Ⅱパックしかなく、個別のジャケ画像がなかったので、Ａｍａｚｏｎの配信版画像を拝借。
1945年…国民軍将校のレイ・イーファン、台湾人医師のイェン・ザークンはそれぞれ最前線の戦場にいた。その後、英雄として功績を称えられたレイは上海の舞踏会で銀行頭取の令嬢チョウ・ユンフェンと出会い、結婚。一方、イェンは捕虜収容所に送られながらも、日本人の恋人・志村雅子に思いを馳せていた。翌年、国共内戦が激化し、レイは再び最前線へ…ユンフェンは母親とともに台湾へと移り住むことに。同じ頃、イェンも故郷に帰ってくる。そしてもう1人、上海には…出征したまま行方不明になった恋人を探す中国人ユイ・チェンの姿があった。
日中戦争（太平洋戦争）からはじまり、その後の国共内戦を主軸に…翻弄される人々の姿を描いた群像劇って感じかな？メインキャラが複数いるんだけど、みんな戦争のせいで、それぞれの恋仲の相手と会えなくなったり、すれ違いが起きたりという…「君の名は」（新海誠のアニメじゃなくて、NHKのラジオドラマや朝ドラの方）チックなロマンスが複数、同時進行していて、それらが互いにニアミスすることもあったりする。恋愛部分に関しては、ハリウッド映画の「パールハーバー」を見ているような“こそばゆさ”もあったりして、ウー御大らしからぬグダグダ感も。
それでも…ウー御大は過去に「ウインドトーカーズ」なんていう戦争ものも撮ったりしてるいるので、戦場シーンに関しては、それ相応のクオリティだ。冒頭、華東で繰り広げられる戦闘シーンから、死体の山。「プライベート・ライアン」よろしく、兵士が銃弾、砲弾に吹き飛ばされまくる地獄絵図。物語の後半…国共内戦に話が移って以降は、ホアン・シャオミン演じる司令官率いる部隊が、どんどん疲弊し、とうとう自分たちが乗る馬まで殺して、食料にしなければならない過酷な状況に陥るところなど、なかなか切なく、グっとくるシーンもあったりする。
ただ、やっぱり…登場人物の多さから、各エピソードが散漫になりがちで、全体的にダイジェストっぽさが否めなかった（中国の歴史を知ってて当然という体であるのも影響しているだろう）。特に、出兵した恋人を探すチャン・ツィイーのエピソードなんかが、全体を俯瞰してみると、浮いてる印象もある。他のカップルに比べて、相手の顔があまり見えないのも影響しているのか？嫌々身体を売ってまで、会いたい男がいったいどんな人物なのか？PratⅡでその続きが描かれるのかどうか、現時点ではわからないが…もう少しつっこんでほしい部分だと思った。
監督：ジョン・ウー
出演：チャン・ツィイー 金城武 ソン・ヘギョ ホアン・シャオミン 長澤まさみ トン・ダーウェイ
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