男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年) | 勝手に映画紹介!?

男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年)

男はつらいよ お帰り 寅さん

【鑑賞日:2019年12月27日】

約1日でシリーズ末期5作品のおさらい鑑賞を無事に終え…満を持して新作を見てきました!ということで、地元シネプレックスの朝イチの上映回で「男はつらいよ お帰り 寅さん」を鑑賞…会員デー1100円。年末ということもあり、家族連れの姿も多く見られ、劇場は混雑…チケット売り場や売店には長蛇の列。今日の上映スクリーンは、劇場内で2番目に大きいキャパ、定員254人に対し、3~4割は埋まっていた感じ。しかし、周りを見渡すと“ジジババ”ばかり、もしかして客の中でオイラが最年少だったのでは?中学生以下100円鑑賞キャンペーンの成果は?

車寅次郎の甥・諏訪満男はサラリーマンを辞め、作家になっていた。6年前に妻に先立たれ、現在は一人娘のユリとマンションで一人暮らし。担当の美人編集者・高野からは新作の執筆を依頼されているが、あまり乗り気じゃなかった。そんな時…妻の七回忌が行われ、家族や知人が一堂に会す。みんなで昔話に花を咲かせるが、ふと、長い間不在の伯父・寅次郎のことを思い出し、寂しく思う。数日後、満男は書店でサイン会を開くことになったが、サインを待つ人の中に…かつて結婚の約束をしたイズミの姿があった!満男は驚き、再会を喜ぶが…。

前とは多少は勝手が違うが…一応は“夢シーン”で始まるという、お約束でスタートしたことは評価。おなじみの“男はつらいよ”のタイトルが、今の時代にシネコンのでかいスクリーンに投影されてることに少なからず感動を覚える。が、しかし…新録された桑田佳祐による主題歌にギャフン。オープニング映像には、桑田佳祐本人の顔出しもあり、さながら安っぽいPV状態でとにかくうんざりした。日本人の誰もかれもが、サザンを好きだと思うなよ!湘南地区に住んでたってサザンなんか興味ない人間だっているんだぞと、声を大にして叫びたくなった。

「ALWAYS 三丁目の夕日」で吉岡秀隆の演技を見た時は…明らかに寅さんのパロディをやってるなって思ってたんだけど、まさか本家が「ALWAYS」の設定を逆輸入?あの満男が駆け出しの作家になってると知って、思わず大笑いしてしまう…山田洋次、確信犯だろ。どうせなら、死んだ嫁さんは小雪にすればよかったのにな(笑)てっきり、荒波を乗り越えて、くっついたと思った満男とゴクミだが…結局は別れてしまったらしい。今まで映画を5本も使って2人の関係を描いたのに、初恋なんて成就しないという答え…山田洋次は、思いのほかリアリストなのね。

でも…妻に先立たれた可哀そうな満男には、ものすげー可愛い一人娘・桜田ひよりがいる。後に、元カノ、ゴクミとの再会とか色々な展開はまっているわけだが、オジサン的には、メインのマドンナより、満男の親子関係に妙にほっこりさせられた…羨ましい、あんな娘が欲しい(その前に、お前は結婚相手だろ)。それこそ現実だったら、こんな可愛い顔した娘にも“親父くせー、うぜー”って言われちゃうんだろうな。やっぱり年寄りから見たファンタジーも入ってるだろ。明らかに満男に惚れてるっぽい、美人編集者の池脇千鶴の言動もいじらしく…けっこう気になった。

初登場の「ぼくの伯父さん」では…可憐な女子高生役だったゴクミ。再登場を重ねるごとに、“女の顔”をのぞかせるようになり、作品によっては下着の透けが妙に色っぽく見えたこともあった。一連のシリーズをイッキに続けて見ると、けっこうめんどくさい女だななんていうツッコミどころも見えてきたけど…この最新作では、中途半端に美熟女・美魔女化してて、よりめんどくさい女感が増してた印象。「寅次郎の青春」では満男との不器用なキスシーンが印象に残ったけど、本作では完璧に男をリードする感じのチューだったな…父親の不倫を否定してたのになぁ。

満男を中心とした寅さんシリーズのキャラクターのその後が色々と垣間見れる現代パートの合間、合間に、回想として過去の名場面、歴代マドンナたちもスクリーンに映し出されるが、決してダイジェストっぽくは感じず、違和感なく新旧の映像を楽しむことができた。もし、寅さんを知らない若い人が見たらちょっと戸惑うかもしれないが、映像の“繋がり”など一切気にせず…回想パートでは歴代の“おいちゃん”、森川信、松村達雄、下條正巳がしっかりと登場。こういう開き直りが伏線か?ゴクミの父親が寺尾聰から橋爪功に変更されてて、ここはいささか残念だ。

ゴクミの父親って、浮気して、女房と子供を捨てたけっこう悪い男なんだけど、過去作では寺尾聰が演じることで、いやらしさをうまく軽減してたんだよな。で、不倫相手は宮崎美子だったんだけど、けっこう劇中では、正妻の夏木マリよりもお似合いのカップルって感じだった。それを見て…ゴクミも、両親のヨリを戻すことを諦めたんだけど、急に橋爪功になっちゃうとな。確かに、橋爪のボケ演技は秀逸であり…結局、浮気相手にも捨てられたという、惨めさはよく伝わってくる。満男の初恋が成就しないのと同じで、約30年越しで不倫の代償を描く山田洋次。

ちなみに、法事のシーンに出てくる笹野高史演じる“御前様”は…セリフで“先代の代わりに”という断りをご丁寧に入れているので、笠智衆とは別人と考えていいだろう。笹野高史は、過去シリーズで毎回、違ったゲストキャラを演じていたけど、「ぼくの伯父さん」の時なんて、満男を襲うホモオヤジの役だったんだからな…まさか御前様になるなんて(笑)倍賞千恵子、前田吟ら、まだまだご存命のレギュラーメンバーたちは、存在感だけで、一気に寅さんワールドへと誘ってくれる。亡きタコ社長の代わりに、美保純(タコの娘)がお暴れしていて懐かしい。

今までのフォーマットにのっとって、本当はエンディングロールも要らないかなって思ったりしたけど、そこは色々と事情があるんだろうな。オープニングの桑田佳祐の主題歌にはガックリさせられたが、どこかで渥美清の歌声も聴けますので、最初のあれもまた、やっぱ本物がいいなと思わせる演出だったと思って我慢かな…。メロンやバターネタといった名場面に大笑い(個人的には「寅次郎春の夢」で外人に梅干し食わせるシーンも見たかった)…本編時間115分…意外とあっという間であった。このパターンで、もっと続編を作ってもいいんちゃう?


監督:山田洋次
出演:渥美清 倍賞千恵子 吉岡秀隆 後藤久美子 前田吟 池脇千鶴 夏木マリ 浅丘ルリ子 美保純


【ノベライズが出てます!】
男はつらいよ お帰り 寅さん







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